【漫画 薬屋のひとりごと】最新話36話までの全話・全巻ネタバレまとめ

ビッグガンガンにて連載中の漫画「薬屋のひとりごと」の全話・全巻ネタバレまとめ。

「薬屋のひとりごと」第1話〜最新話36話(前編)までのネタバレをまとめているので、ぜひチェックしてください!

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【漫画 薬屋のひとりごと】最新話36話までの全話・全巻ネタバレまとめ

下記の青文字をタッチすると、その話のネタバレをチェックできます。

1巻
1話2話3話4話
2巻
5話6話7話8話
3巻
9話10話11話12話
13話14話
4巻
15話16話17話18話
19話20話21話
5巻
22話23話24話25話
26話
6巻
27話28話29話30話
31話32話
7巻(未発売)
33話34話

※8月25日更新
▶▶薬屋のひとりごと最新話(36話前編)のネタバレを更新しました。詳細はこちらから。

【漫画 薬屋のひとりごと】1巻ネタバレ

1巻
1話2話3話4話

【漫画 薬屋のひとりごと】1話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第1話のネタバレです。

1巻
1話2話3話4話

〜薬屋のひとりごと第1話ネタバレここから〜

(露店の串焼きが食べたいなぁ)

いきなりひとりごとでタイトル回収かと思いきや、声に出てないのでひとりごとではありません。

後宮の下女として生活する主人公と思しき17歳の少女、猫猫(マオマオ)。

何と薬草採取中に誘拐に遭い、はや三か月、といったところから物語は始まります。

後宮とは原則男子禁制の女の園、薬師として育ってきた彼女はできることなら関わりたくなかった場所のようです。

ですが何の因果かそんな場所で下女として仕事をしている猫猫、字は読めるものの、自身の容姿への自己評価はソバカス顔の肉なし体型。

見た目重視の後宮では役に立ちそうもないので、ここから出られるようになるまでおとなしく働くことにしているようです。

【後宮の噂話】

その日、食堂にて同僚の小蘭(シャオラン)が興奮気味にとある噂話を持ってきます。

後宮で生まれる帝の子供が連続死している、呪いのせいか?と、

現状は、『東宮』という生後三か月の男の子の宮(跡継ぎの事)と『公主』という女の子で生後六か月のの二人の宮が存命とのこと。

呪いなんてくだらないと一蹴しつつも、好奇心が旺盛な猫猫は皇位争いや毒殺、病気や血筋などを疑います。

そして小蘭にほかの子たちがどうゆう風に死んだのかを訪ねました。

小蘭自身も詳しくはないらしく、だんだん弱って言った。としかわかりませんでした。

ですが今回も似たような様子。

また、母親も体調不良を訴えている…という話を聞くことができました。

体調不良の、頭痛、腹痛、吐き気、三つに引っかかりを覚えた猫猫は、

(たかが噂話に何を真剣になってるんだ。こんなのはただの憶測にすぎない・・・すぎないが、ちぃとばかし行ってみるか)

【宮の母たちの言い争い】

好奇心の強い猫猫は後宮の中央へと足を運び、そこで、人混みを発見ました。

その中心から言い争う声が聞こえてきます。
それは東宮の母:梨花(リファ)妃が、公主の母:玉葉(ギョクヨウ)妃を責め立てているところでした。

梨花妃は、男の子である我がの子を呪い殺す気なのだろう、と

それに対し玉葉妃は、そんなわけがないと貴女も分かっているはずだ。我が子も同じように苦しんでいるのだから、と反論

さらにそれに対して猫猫の反応はというと…

(・・・ド、ド修羅場)

と周囲の人々とともに引き気味。

渦中の二人のを仲裁しようとしている人物を見て、医官だろうかと当たりをつけますが、そのあとの心中が辛辣です。

(莫迦だろうあのヤブ)

それだけ二人のそばにいて病状について本当に気づいてないのだろうかということのようです。

幼児の死亡、頭痛、腹痛、吐き気、何より梨花妃のげっそりとした様子を見て猫猫はやはり呪いでもなんでもないことを確信します。

ほんの少しの正義感からか、どうにかして二人に伝えたいと考えました。それも、伝えたのが自分だとわからないように。

「・・・書ける物さえあれば」

考え込み、もう周りの人など見えないほどでした。

結局、簡単な手紙を石楠花に結い付け、2人の妃の元へこっそり置いておきました。

それから一月もしない頃、東宮が亡くなったと聞き、

「端女である自分の警告など何の意味もなかった。そんなものだ」

と、割り切ったように思うものの、一方で玉葉妃の娘、公主も時間の問題だと物憂げな表情で考えているのでした。

【美男子からの呼び出し】

そんな中、下女何人かが中央の宮官長室へ呼び出しがかかり、猫猫もその一人でした。

おそらく人手が足りないのだろうと考え、宮官長の部屋へと向かいある人物と出会います。

猫猫の最初の印象としては偉そうな女性でしたが、肩幅が男性のそれであることに気づきました。

周りの下女たちはその容姿端麗な男性に釘付けです。

男性はおもむろに筆を取り、

[そこの ソバカス女 お前は 居残りだ]

猫猫は硬直しました。

それだけを書いた紙を見せつけるように掲げた後、これで解散だ、戻って良いと言います。

下女たちは頭に?マークを浮かべながら退出していきますが、猫猫は何か目を付けられるヘマをしたのかと焦ってしまいました。

先日の妃への手紙が脳裏をよぎりかけたところで男性の真意に気づきます。

(・・・この部屋で文字を読めるのは私だけ)

まんまと炙り出されてしまったようです。
男性は壬氏(ジンシ)と名乗り、黙ってついてこい、とだけ言い放ち猫猫を部屋から連れ出しました。

道すがら猫猫が字を読めないことになっていることを不思議だと壬氏が話します。

ですが彼女は、卑賤の生まれなので何かの間違いでは?とシラを切ります。

世の中、無知なふりをしていた方が立ち回りやすいもの。

そもそもなぜ手紙のことがバレているのか、気を付けていたが誰かに目撃されていたか、それでも細やかな情報しか出ていないはずなのに・・・

(なんて疑り深いんだ!・・・ってか暇人過ぎるだろ!)

と猫猫が悶々としている間にも歩みは止まらず、目的の部屋までたどり着きました。

壬氏がノックをして入った先では玉葉妃が娘を抱いて待っていました。

猫猫の顔を見るなり一礼、玉葉妃は当然のごとく手紙の主を探していたのです。

[おしろいはどく、赤子にふれさすな]

それは下女の仕事着を割いたものに書かれており、猫猫のスカートには繕った跡が残っています。

それを指摘された結果、猫猫は手紙を送ったこと、白粉による毒で死んだ人を知っていたこと、元が薬屋だったことを白状しました。

完全に誤魔化しの効かないあきらめの境地に達した猫猫は呼び出された要件を玉葉妃にたずねました。

「それで私は一体何をすればよろしいのでしょうか?」

玉葉妃は穏やかさと快活さが入り混じったような笑顔でこう答えます。

―私の侍女になってもらいます―

これは一瞬にして出世した元薬屋、現下女、これから侍女の物語になるのでした。

〜薬屋のひとりごと第1話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第1話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】2話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第2話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第2話ネタバレここから〜

玉葉妃の侍女となり出世した猫猫は、寝台付きの部屋を与えられ、1人もの思いのふけっていました。

玉葉妃のいる翡翠宮の侍女は4人おり、猫猫が仕事をしようとしても、

「手が足りているから大丈夫」

と部屋に戻されてしまいます。

翡翠宮の侍女たちはとても働き者で、通常は専門の下女たちが来る部屋の掃除も、すべて侍女たちで終わらせていました。

もともと少数精鋭だったところに新参者が来ても、いい顔をされないのは分かっていた猫猫でしたが、侍女が猫猫に見せた表情に引っかかっていました。

「むしろあれは、同情。…なぜに?」

猫猫は考えを巡らせます。猫猫の唯一の仕事は、玉葉妃の食事を毒見することでした。

毎度、妃のために作られる食事は、部屋に運ばれてくるまでに何人かの手に渡り、寵妃としては、その過程で毒を入れられる可能性も考えなくてはなりませんでした。

実際に玉葉妃がお姫様を懐妊したころは、2回ほど毒が盛られていたことがあったそうです。

毒見役の一人は、軽く済んだのですが、もう一人は神経をやられて手足が動かなくなってしまったそうです。

東宮の件で、みんな神経質になっており、そこに毒見役として送られてきた猫猫は使い捨ての駒として見られて当然だったのです。

猫猫は玉葉妃の食事を毒見します。

そんな様子を、壬氏は微笑みながら見守ります。

壬氏としては上級妃である玉葉妃の侍女が少なくて、矜持が保てないと考えていました。

壬氏にしてみれば猫猫はとても都合のいい存在で、猫猫がさらに都合よく動くよう「色目」をつかっておこうと微笑みかけたのでした。

しかし、猫猫には不気味にしか映らないのでした。

猫猫は、玉葉妃の食事に毒がないことを確認します。

実験と称し、様々な毒を試してきた猫猫の腕は傷だらけでした。

嬉しそうに毒を試すその姿は狂科学者そのものです。

少しずつ毒に慣らした体は本来なら毒見にはむかないけれど、幸運な役職に就いたものだと笑みを浮かべるのでした。

そして、その様子を玉葉妃、侍女、壬氏は不気味そうに見守るのでした。

猫猫は、侍女頭の紅娘(ホンニァン)に、

「皿は銀製のものに変えたほうがいいと思います」

と報告します。

紅娘はため息をつきながら、

「本当に壬氏様の言ったとおりね。今回はわざと銀食器は使わなかったのよ」

と猫猫に話します。

「その毒にも薬にもなる知識と、字が書けることを言っていれば、お給金はもっともらえたはずだけど」

と続ける紅娘に、

「かどわかされて(誘拐されて)後宮へ連れてこられたのに、今も人さらいに給金の一部が送られているなんて、はらわたが煮えくり返ります」

と話す猫猫。

紅娘は、

「給金を減らしてでも、そいつらに酒代を与えたくないのね?」といって、水差しを床に落として見せます。

呆然とする猫猫に、紅娘は続けます。

「結構高いのよこれ。これじゃ実家へ請求するくらいじゃないとだめね」

と目配せをするのです。

「申し訳ありません。仕送り分から差し引いてください。足りなければ手持ちからも」

猫猫は続けます。

さらに紅娘は、毒見役の追加給金の明細、つまり危険手当を猫猫に手渡します。

それは給料とほぼ同額で、人さらいたちに金が入らない分、猫猫は得をすることになるのです。

「飴の使い方がうまいな」

と猫猫は感心して、その場を去ります。

侍女たちは実は、猫猫の腕を見て、

「親に虐待され後宮に売り飛ばされ、果ては毒見役なんてかわいそう」

と猫猫に同情していたのでした。

猫猫は毒見役としての仕事を続けていきます。

しかし、呼ばれるのは二回の食事とお茶会、そして数日に一度訪れる帝の滋養強壮料理を食べるくらいでした。

ほかの時は休まされ、家畜にでもなった気分だと思う猫猫。

しかし、以前は薬屋として人が目を背けるような傷を作り、新しい薬を開発してきたというのに、ここへ来てからは甘茶くらいしか作れていないことに不満を抱く猫猫なのでした。

以前は仲間たちと同室で、材料はあっても道具もなく、薬を調合したりすることができなかったのです。

せっかく個室になったのだから、実験をしたいと、うずうずします。

そこへ壬氏が訪れます。

「ある武官にもらったものなのだが、味見をしてほしい」

と包子(パオズ)という肉まんを差し出します。

匂いを嗅いだだけで、

「これは催淫剤入りですね」

と答える猫猫。

「食べなくてもわかるのか」

と驚く壬氏。

「害はないので、持ち帰りおいしく頂いてください。」

という猫猫に、

「もらった相手を考えると素直に食べられないだろう」

と複雑な表情を見せる壬氏。

「今夜あたりお相手から訪問があるかも知れませんね」

と毒づく猫猫でした。

そして壬氏は猫猫に

「媚薬を作ってくれないか」

といいます。

一体何事かと驚く猫猫でしたが、作るということは調薬ができる!と目をキラキラさせます。そ

れを壬氏が使うのかどうかは知らないが、と考えたうえで、

「時間と材料さえあれば、準ずるものなら作れます」

と答えるのでした。

〜薬屋のひとりごと第2話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第2話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】3話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第3話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第3話ネタバレここから〜

日も暮れ、廊下を歩く壬氏に、中級妃が声をかけます。

「壬氏さま、これからどちらへ?」

「宮廷へ戻るところですが、何か用でも?」

と答える壬氏。

良ければ部屋でお茶でも、と誘う中級妃を笑顔でかわし、壬氏はうんざりとした様子で、ため息をつきます。

壬氏はその美貌のおかげで、狙われることが多かったのです。

殿中では文官に声をかけられ、武官には催淫剤入りのおやつを渡され、下級妃2人・中級妃にまで誘われていたのでした。

妃の位は家柄に加えて、美しさ・賢さを基準に選ばれるものでした。

国母にふさわしい教養に加えて、貞操観念が求められる「賢さ」は一番難しいところです。

さきほどの中級妃のように、帝の御通りがないからと他の男を寝所に引き入れようとするのは、もってのほかです。

壬氏はその男女問わず虜にしてしまう美貌を買われ、女官を選定するために後宮に置かれていたのでした。

「わが主も意地の悪いことを考える」

と壬氏は思いますが、この主というのは、帝のことを指しています。

壬氏は皇帝に、これまで二人の妃を推薦しました。

一人は思慮深く聡い玉葉妃、もう一人は感情的な面もありながらも、誰よりも上に立つ気質を持つ梨花妃でした。

二人とも帝に対して、邪な感情が見当たらないどころか、梨花妃に至っては心酔の域に達していて、適任といえるところでした。

しかし、今後の帝の寵愛は玉葉妃に傾くだろう、と壬氏は考えます。

痩せ細った梨花妃のもとに帝が通ったのは、東宮(梨花妃の息子で、王位継承者)が亡くなった時が最後でした。

自分と国に都合の良い妃をそろえさえて、子を産ませ、その能力がなくなれば切り捨てるのが帝なのです。

そして、必要のなくなった妃は、通常実家に戻されるか、官に下賜される(身分の高い人が身分の低い人に何かを与えること)です。

「わが主ながらひどい方だ」

と壬氏は思いを巡らせます。

「なんにせよ、計画通りにことを運べば問題ない。それにはあの薬師の協力がいくらか占めているかもしれないが…」

そこで壬氏は猫猫のことを思い浮かべ、思った以上に使える存在だ、とにやりとします。

モテモテの壬氏にとって、欲情してこないばかりか、まるで毛虫を見るかのような目をむける猫猫は、珍しく面白い存在でした。

「新しい玩具を手に入れたようだ」

と嬉しそうに思い浮かべます。

そして、

「今晩あたり(催淫剤いりのおやつくれた武官から)訪問があるかも知れませんね」

という猫猫の言葉を思い浮かべ、念入りに自室に鍵をかけるのでした。

一方、壬氏から媚薬の調合を頼まれた猫猫は、籠をしょって医務室へとやってきました。

そこにいたのは、白粉事件を見抜けなかったヤブ医者と、壬氏の付き人をしている高順(ガオシュン)でした。

その精悍な様子から「…武官?」と思う猫猫でしたが、後宮にいるのだから宦官に違いないなと思い直します。

二人は初めてのあいさつを交わしました。

「こちらへどうぞ」

と、高順に薬剤室に案内しようとすると、ヤブ医者は面白くなさそうな顔をします。

ジェラシー丸出しの様子で、猫猫をじろじろと見るのでした。

「薬剤室にあるものは、自由にしていいと言われています」

高順がそう告げて薬剤室の扉を開けると、そこには壁一面の引き出しにしまわれた薬剤が…!

猫猫は顔を輝かせ、嬉しさのあまり小躍りをします。

「その踊りは呪いか何かか?」

と部屋へやってきた壬氏にツッコミを入れられるのでした。

猫猫は材料を紙に包み、準備を進めていきます。

届かない引き出しのものを高順にとってもらっている様子を、壬氏はにこにこと見つめています。

「何もしないならどこか行けよ」

と猫猫は心の中で毒づくのでした。

猫猫が高順に頼んで取ってもらったものが最後の材料だったのですが、引き出しの中にはもう少ししか入っていませんでした。

「これでお望みのものが…」

と言いかける高順に猫猫はこれでは足りないと言います。

「形は杏仁に似ているが、匂いが独特だな。これはなんというのだ?」

と尋ねる壬氏。

「カカオというものです」

と猫猫は答えました。

「足りないのなら、用意すればいいだけだ。交易品を探せば見つかるだろう」

と壬氏は笑顔で言うのでした。

猫猫が用意した媚薬の材料は、

  • 牛乳
  • バター
  • 砂糖
  • 蜂蜜
  • 蒸留酒
  • ドライフルーツ
  • におい付けの香草油
  • 粉末状カカオ

でした。

猫猫は一度だけ、カカオを食べたことがありました。

猫猫がまだ幼いころ、花街の妓女がお客様にもらったと言って猫猫に食べさせたのでした。

カカオを食べた猫猫はぽ~っと酔っ払ったようになり、ちょっとした騒ぎになったのでした。

のちに、交易商が媚薬として売り出しているものであることを知ったのです。

猫猫は媚薬づくりを開始します。

出来上がったものはドライフルーツにチョコレートをかけて固めたようなものでした。

あとは冷えるのを待つだけ…

のところで、猫猫はあまった液状のチョコレートをパンに浸して、置いておきました。

洗い物を済ませ、ついでに薬草を摘んで帰った猫猫が戻ると、青ざめた顔の高順に、頭を抱えた紅娘(侍女頭)の姿が…。

何事かと慌てて部屋へはいると、3人の侍女たちが顔を上気させ、衣服も乱れた様子で横たわっていたのでした。

3人の様子を見て、大きくため息をついた壬氏は「とりあえず効力は分かった」と言います。

紅娘は怒りながら

「どういうことなの!?」

と猫猫に詰め寄ります。

猫猫は3人の侍女のスカートをめくり確認すると

「大丈夫です。未遂です」

と答え、紅娘にはたかれるのでした…。

3人の侍女は猫猫が作ったチョコレートを浸したパンを、おやつと間違って食べてしまっていたのでした。

猫猫はこれをおやつとして食べようと思っていたと話します。

酒や刺激物になれているとそれほど効かないと言うのです。

猫猫は出来上がった媚薬を壬氏に渡します。

効き目が強いので、一粒ずつを目安に食べること、使用する際は意中の相手と二人きりの時に食べること、と注意を添えました。

みんなが騒動を見届けて去ると、猫猫は例のパンを片付けをしようとします。

そこへ一度席を離れた壬氏がすっと背後から近づいてきます。

「手を煩わせたな、ありがとう」

と言って、猫猫のうなじにそっと口づけました。

驚き目をむく猫猫。

手元のお皿を見ると、パンがひとつ無くなっていたのでした。

去っていく壬氏の背中に、

「なるほど。…被害者が出なければいいけど」

と猫猫はつぶやきます。

〜薬屋のひとりごと第3話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第3話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】4話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第4話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第4話ネタバレここから〜

月明かりの夜。

宮中を歩く女官がふと外壁を見上げると、壁の上に女の姿が浮かび上がります。

女官は叫び声をあげ、新たな事件の幕開けです。

ここ1か月、夜な夜な城壁で踊る女の霊が現れると宮中で噂になっていると、猫猫は侍女から聞かされます。

後宮は城壁と堀に囲まれていて、四方の門以外からは出入りができません。

脱走も侵入も不可能となっています。

塀の向こうの深い堀には、かつて後宮から出ようとした妃が沈んでいるという怪談話まであるのです。

「今回の噂も、珍しくもない怪談話だろう」

と猫猫は思います。

猫猫は医務室を訪れ、

「薬を見てもらえませんか」

とヤブ医者に声を掛けます。

以前と違って、ヤブ医者は友好的な態度です。

猫猫が薬を作れると分かったからか、歓迎されるようになったようです。

ヤブ医者が猫猫にお茶とお煎餅を用意してくれたのですが、そこで声をかけてきた人物がいました。

壬氏です。

悲しいことに、猫猫のおやつは、そのまま壬氏のもとへと行ってしまいました。

「お仕事ご苦労」

「それほどではございません」

壬氏はキラキラとした笑顔で猫猫に挨拶をします。

「この男はどれだけ暇なんだ」

宦官ならば内侍省にいるべきだろうに、どこの部屋にも所属しないで、後宮全てを監視しているように見える壬氏。

猫猫は壬氏の役職は何なんだろうと不思議に思います。

「宮官長よりも上の立場だろうか、帝の後見人の可能性もあるがそれにしては若いし…」

そこで猫猫はひらめきます。

「皇帝の愛人ということにしておくか」

壬氏はヤブ医者に用事を言いつけて別室にやると、

「幽霊騒ぎは知っているか?」

と猫猫に尋ねます。

噂程度には、と答える猫猫に

「じゃあ夢遊病というものは?」

と重ねて尋ねました。

夢遊病に覚えのあった猫猫の表情を壬氏は目ざとく読み取り、美しい顔を近づけて

「何なら治るんだ」

と迫ります。

と近づかれるのが心底嫌そうな猫猫を

「…努力します」

と、降参させるのでした。

夜になると、猫猫は高順をお供に、例の幽霊を見に行きます。

城壁の上で月を背に舞い踊る一人の妃―芙蓉妃がそこにいました。

「彼女は芙蓉妃。来月、功労として武官に下賜される姫です」

と高順は猫猫に説明します。

ヤブ医者の話によると、芙蓉妃はここのところ元気がなかったようです。

お目通りの時に舞踏に失敗して以来、部屋に籠り気味だったそうです。

小さな属国の第三公主の身分だが、入内から二年お手つきもないとのことでした。

「下賜されるのは幼なじみの武官だと聞いているし、幸せになれればいいけどね」

とヤブ医者は言いました。その言葉を聞いて猫猫は「なるほど」とうなずくのでした。

夢遊病とは、寝ているのに起きているような動きをする病気です。

原因は心の軋轢であり、薬では治せません。

花街にいたころ、猫猫は妓女の夢遊病患者を診たことがある、と猫猫は壬氏と玉葉妃に話をします。

その妓女は、身請け話が持ち上がったころ、毎晩とりつかれたように妓楼を散策し始めます。

止めようとした楼主は、爪で肉をえぐられました。

翌日。

妓楼のものはみんな不審な行動に詰め寄ったのですが、彼女は昨夜のことを一切覚えていませんでした。

「それでどうなったんだ」

と、壬氏が猫猫に尋ねると

「何もありません。身請けが破談になった後、徘徊はなくなりましたので」

と彼女は答えます。

「身請けが嫌だったのかしら?」

と玉葉妃がいうと、おそらくは、と猫猫が続けます。

「相手は大店ですが、妻子どころか孫までいる身分でした。結局、その妓女には新しい身請け話もなく年季が明け、この話は終わりです」

「本当に?」

とまた美しい顔で迫る壬氏。

この手でたいていの女性は秘密を吐いてしまったのでしょう。

猫猫はまた毛虫を見るような目で

「終わりです」

と言います。

立ち去る猫猫の背中を、玉葉妃は目線で追いかけます。

そうして、夢遊病の芙蓉妃は、武官に下賜されるために宮中を去っていきました。

その表情は晴れ晴れとしていて、乙女の喜びをたたえたものでした。

遠くから芙蓉妃の旅立ちを見送る、猫猫と玉葉妃。

「私にくらい話してもいいんじゃないかしら?」

にっこりと笑みを浮かべ、猫猫に玉葉妃は言います。

「あくまで推測ですので、気分を害されないでくださいね」

猫猫の推測はこうです。

芙蓉妃を下賜されることになっている「幼なじみ」は、一武官にすぎません。

とても姫に求婚できる立場にはないのです。ゆえに武勲を立てて、いつか姫を迎えに行くつもりでした。

しかし、姫は後宮に入ることになります。

武官を思う姫は、得意の舞踏をわざと失敗し、皇帝の気を引かない様にしたのです。

目論見の通り、夜伽は行われず、芙蓉妃の身はきれいなままでした。

武官が武勲を立て芙蓉妃の下賜が決まると、姫は怪しげな徘徊をするようになります。

間違ってもお手つきにならないようにです。好色な皇帝が、武官がそれほどまでに望む姫に興味を持たないとは言い切れなかったからです。

猫猫の話を聞いて、

「芙蓉妃が羨ましいなんて言ったら、私はひどい女かしら」

と玉葉妃はつぶやきます。

寵愛を受けていると言われる玉葉妃のもとを帝が訪れるのは、数日に一度です。

来ない日は公務が忙しい場合だけではありません。

多くの子を残すことは帝の義務でもあり、他の妃のもとを訪れているのです。

「そんなことはないと思います」

と猫猫は答えました。

外壁で踊る芙蓉妃の姿は美しかった、と猫猫は思い浮かべます。

恋が女を美しくするのなら、それはいったいどんな薬になるだろう…と猫猫は思うのでした。

〜薬屋のひとりごと第4話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第4話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】2巻ネタバレ

2巻
5話6話7話8話

【漫画 薬屋のひとりごと】5話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第5話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第5話ネタバレここから〜

猫猫が、翡翠宮を訪れた皇帝の食事の毒見を終えた時のこと。

皇帝は猫猫に

「噂の薬師どのに頼みたいことがある」

と、声を掛け、

「梨花妃の容態が悪い。しばらく見てくれないか」

と皇帝は言うのです。

見てくれ、というのはつまり直せと同義です。

首と胴はまだ仲良くしていたい、と思う猫猫は「御意」と返事をしました。

ほかの妃の前でいう話じゃないのに、つくづく帝は帝という生き物だ、と猫猫は思うのでした。

かくして、しばらく猫猫は水晶宮(梨花妃のいる宮)に派遣されることになります。

梨花妃を看るのにあたり、まず始めたのが、食生活の改善でした。

先日の一件以来、例の白粉は使用不可となりました。

卸した業者にも厳しい罰が課せられます。

今後の入手は不可能でしょう。

これ以上毒が入らないのなら、体に残った毒を輩出するのが先決、と猫猫は考えました。

帝の勅令で権限が認められ、宮廷料理人にあれこれ指示を出すことができました。

繊維質の豊富な粥に、利尿作用のあるお茶、消化の良い果実などを用いて、毒を輩出する食事を作らせたのです。

しかし、水晶宮の侍女たちは猫猫のことが気に入りません。

「信じられない!こんな下賤の食べ物を梨花妃さまに食べさせるつもり!?」

猫猫が持ってきたせっかくの食事を、床に投げ捨てたのです。

そして、早く片付けなさいよ、とあざ笑うのでした。

「あーめんどくさい」

心底うんざりする猫猫。

侍女は、いつもの食事を梨花妃に運んできます。

確かに栄養は満点なのですが、胃腸の衰えた病人には重すぎるメニューです。

侍女が梨花妃に食べさせようとしますが、梨花妃は咳きこんでしまいます。

「掃除もできない下賤のものがいるから、部屋の空気が悪いんだわ!さっさと出て行ってよ!」

と猫猫は部屋を追い出されてしまいました。

追い出された扉の向こうで、猫猫は深いため息をつきます。

このままでは梨花妃は衰弱死してしまうでしょう。

毒の排出が間に合っていないのか、それとも生きる気力がないのか…。

病人に近づくことすらできないのです。

首と胴がさよならするまであと何日だろう、と猫猫は憂鬱な表情で指を折り数えます。

「何かお困りのようだな」

そこに現れたのは壬氏でした。

宮廷のアイドルともいえる壬氏が猫猫に声をかけているのを見て、水晶宮の侍女たちは、嫉妬と怒りに満ちた様子で猫猫を睨みます。

知ってか知らずか猫猫に壁ドンしながら、「とりあえず中に入ろうか」と流し目でささやく壬氏。

猫猫の反応を面白がっています。

嫉妬に燃える侍女たちのほうを向き直ると、

「帝の計らいを無碍にするには、美しき才女たちに似合いませんよ」

と王子様のような笑顔で言うのでした。

そのアイドルスマイルに侍女たちはあっさり、懐柔されてしまい、猫猫と壬氏を梨花妃の寝室に通します。

横たわる梨花妃の顔に猫猫が触れると、さらりとした手触りを感じました。

「さらり?」

猫猫が触れた指を見ると、そこには白粉が…。

恐ろしい形相で侍女を睨みつける猫猫。

「妃の化粧をしているのはお前か?」

と侍女に尋ねます。

「ええ、そうよ。梨花様には美しくあってほしいもの。それが侍女の務めですから」

と威張って言う侍女に、猫猫は突然張り手を食らわせます。

騒然とする周囲。

「何するのよ!」

と他の侍女に詰め寄られると

「あ?莫迦(ばか)に折檻するだけだよ」

と、先ほどの侍女の髪をつかみ、鏡台へと連れていきます。

「痛い痛い」と泣き叫ぶ侍女にも構わず、鏡台の引き出しを猫猫は開けました。

そして例の白粉を発見すると、忌々しそうに睨みつけ、すべての白粉を侍女の頭にかぶせたのです。

「そのうち全身に毒が回るだろう。良かったなぁ、これできれいになれるぞ」

猫猫は冷たい表情で冷酷に言い放ちます。

「なんで禁止されたのかわかってるのか?毒だつってんだろが」

梨花さまも喜ぶと思って…と泣きながら口ごもる侍女に、

「自分のガキ殺した毒をだれが喜ぶんだよ」

と恐ろしい形相で詰め寄る猫猫。

「さっさと口ゆすいで顔を洗ってこい」

あまりの出来事に、泣きながら震える侍女へそう言うと、他の侍女たちに床の掃除をいいつけました。

侍女たちが慌ただしく出ていったところで、ふう、とため息をつく猫猫。

「女とは、本当に恐ろしい」

そこには感心したようにつぶやく壬氏の姿が。

「やってしまった…」

すべてのいきさつを見られていたことに青ざめる猫猫でした。

そこから猫猫は、梨花妃の看病に当たります。

重湯を作りましたが、匙から吸う気配がないので無理やり口に流し込み、嚥下させます。

そしてこれを根気強く繰り返します。

病気は食事をとらねば治らないからです。

ことあるごとにお茶を飲ませ、小用の回数を増やして体の毒を排出させます。

そうして毒を排出する生活が2か月ほど続くと、梨花妃は散歩ができるまでに回復しました。

「回復すれば罵倒されるかと思っていたが、そんなことはなかったな」

と猫猫は思っていました。

梨花妃は自尊心はあるが高慢ではなく、妃にふさわしい人格の持ち主だったのです。

ある日、梨花妃は

「私はもう子をなせないかしら」

と猫猫に話します。

「試してみればよろしいかと」

と答える猫猫に、梨花妃は帝の寵愛がついえてしまったのに…と梨花妃は目を伏せます。

「私は主上の命令でここへ来ました。

私が翡翠宮へ戻れば帝も梨花さまの元に来られると思いますが」と猫猫が言うと、美しい髪の玉葉妃には勝てない、と梨花妃は悲しそうにします。

「世には百、千の花がありますが、牡丹と菖蒲のどちらが美しいかは、決めつけるものではないと思います」

と猫猫は告げ、梨花妃の豊満な胸元を指し、妓女直伝の秘術を授けます。

こうして、猫猫の2か月の水晶宮への出張は終わりました。

その後、翡翠宮では帝の御通りが著しく減り、

「睡眠不足から解放されるわぁ」

という玉葉妃に猫猫は目を泳がせるのでした。

〜薬屋のひとりごと第5話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第5話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】6話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第6話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第6話ネタバレここから〜

翡翠宮へ何やら荷物が運ばれてきました。

侍女たちはいそいそと荷物を確認しています。

「何事ですか?」

と猫猫が尋ねると、侍女が嬉しそうに言います。

「これ、着てみて!」

侍女が持っていたのはあでやかな衣装でした。

園遊会が行われることになり、侍女たちはその準備に追われていたのです。

園遊会とは、年に2回宮廷の庭園にお偉方が集い、様々な出し物が行われたり、食事がふるまわれたりする会のことです。

后(正室)のいない帝の場合は、その席に上級妃である4人-

  • 「貴妃」玉葉妃
  • 「賢妃」梨花妃
  • 「徳妃」里樹妃(リーシュ妃)
  • 「淑妃」阿多妃(アードゥオ妃)

が呼ばれるのです。

「園遊会では私たちは何を?」

「それがなにもしないのよね」

猫猫が聞くと、侍女が答えます。

招かれる立場なので、ただ皇帝につき従っていればいいとのことでした。

「今回は鈴麗(リンリー)姫のお披露目に、上級妃の揃い踏みよ!これは戦いなの、心してかからないと!」

と侍女は戦いに闘志を燃やしています。

官にも笑顔を振りまかなければならないと聞き、気が乗らない猫猫ですが、新人が辞するわけにもいかないし、食事が出るので毒見役は必要不可欠かと諦めます。

猫猫は生姜と蜜柑の飴を作ります。

体を温める作用のある食材を使って、冬の園遊会を乗り切るためです。

そして肌着にポケットを作り、カイロ(温めた石)を入れられるようにしたのです。

これが紅娘(侍女頭)の目に留まり、猫猫は侍女たち全員分だけでなく、壬氏や高順の分をも作ることになります。

園遊会当日。

翡翠宮では玉葉妃が衣装に着替えていました。

結わえられた赤い髪に二つの花簪、銀の笄(こうがい:髪飾りのこと)には絹の房飾りと翡翠の玉飾り、紅を基調とした衣装、大袖には金糸の刺繍がほどこされ、非常にあでやかな姿です。

「この派手なデザインを着こなすとは、さっすが寵妃、国で一番紅が似合うというのもうなずける」

と猫猫も玉葉妃の美しさに見とれます。

「お綺麗ですわ、玉葉さま」

侍女たちは口々にほめたたえています。

「私の侍女たちだもの、変な虫がつかないように、しるしをつけておかないとね」

玉葉妃はそういうと、箱から何かを取り出します。

侍女たち4人に髪飾りや耳飾りといった宝飾品を、玉葉妃自ら飾ってやります。

玉葉妃は、猫猫にも豪華な首飾りをかけ、

「いい?あなたは私の侍女なんだからね」

と声を掛けます。

「ありがとうございます」

おずおずと受け取る猫猫。その猫猫を侍女たちがいきなり羽交い絞めにします。

「さっ、お化粧しましょう」

そこで猫猫のある秘密が明らかになるのです。

壬氏は各后の挨拶に回っていました。

「それでは里樹妃、後ほど園遊会で」

きりっとしながら壬氏は里樹妃に言います。

「はい、壬氏さま」

壬氏の美しさにほほを染めながら答える里樹妃。

年端もいかない少女のように見えます。

壬氏は玉葉妃の元にもあいさつに訪れます。

そして着飾った玉葉妃に賛辞の言葉を送ります。

壬氏の目的はむしろ猫猫です。

嬉しそうに猫猫に近づいてきます。

「ごきげんよう、壬氏さま」

振り返った猫猫は、いつもと異なり、可憐な美少女となっていました。

「…あ…、ああ。化粧をしているのか、一瞬誰かと思ったぞ。そばかすが消えているぞ。」

驚く壬氏に猫猫は答えます。

「いいえ、化粧を落としたから消えたんですよ。毎日乾いた粘土でそばかすの化粧をしていました」

猫猫の秘密とは、素顔が美少女であるということだったのです。

そんなことに意味はあるのか、という壬氏に猫猫は言います。

「連れ込まれないためですよ」

花街には、女に飢えた輩もいて、男に襲われてしまう女もいたのです。

ちびで痩せている醜女ならば、そうそう狙われることはありません。

「連れ込まれたのか?」

という壬氏の問いに、

「未遂ですよ」

と答える猫猫。

それを聞いて壬氏はほっとします。

花街にいたころには、そばかすの入れ墨を入れていたという猫猫。

その染料となる植物を採取しに行った先で、人買いにさらわれたのでした。

この国では人さらいは罪ですが、口減らしの身売りは合法です。

たとえ人さらいから女官を買ったとしても、買った側が知らせなければ罰せられることはないのです。

「管理が行き届いていなく、悪いな」

という壬氏。いつになく殊勝な雰囲気です。

腹立たしいのはもちろんだけれど、としたうえで猫猫は

「でも、壬氏さまのせいではありません」

と言うのでした。

「申し訳なかった」

と壬氏はなおも謝罪の言葉を述べます。

「いつになく素直だな」

と猫猫が思ったところで、壬氏は自分のかんざしを猫猫の頭にさしました。

「痛いです」

つれなく壬氏の手を払う猫猫でしたが壬氏は

「そうか」

と言い、猫猫の頭に手をやります。

「やる」

ほほを染め、照れくささをこらえるように眉を寄せた壬氏はそう言うと、あとは会場で、とその場を去るのでした。

どうして男ものかんざしなんかを?を不思議がる猫猫に侍女たちは

「いいな~」

と羨望のまなざしを向けます。

「もう、さっそく約束を破ったのね。私だけの侍女じゃなくなったじゃない」

と面白くなさそうにしながら玉葉妃は、猫猫の頭に壬氏のかんざしをさし直します。

「首飾りと言い、かんざしと言い、どういう意味なんだ」

と疑問に思う猫猫。

玉葉妃は言います。

「さあ、行きましょう。園遊会が始まるわよ」

〜薬屋のひとりごと第6話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第6話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】7話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第7話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第7話ネタバレここから〜

冬の庭園で行われる園遊会は、強い風が吹きすさび、苦行とも思える寒さです。

翡翠宮の侍女たちは身を寄せ合い、何とか暖をとろうとするのでした。

庭園内にカーテンのような幕が張られた中で園遊会が行われています。

ひな壇に帝や上級妃たちが座り、音楽や食事を楽しんでいるのです。

猫猫は翡翠宮の侍女の貴園(グイエン)からカーテン越しに覗きながら、お偉方の面々の説明を受けます。

中央に座っているのは皇帝、その左隣にいるのは先帝のお后、皇太后です。

猫猫は皇太后の若々しさに驚きます。

「実際若いわよ。帝を産んだのがビッグガンガン歳だもの」

貴園は猫猫に耳打ちします。

それを聞いて猫猫は青ざめるのでした。

皇帝の右隣が空いています。

その席は帝の同腹の弟君の席です。

噂はいろいろあるけれど、とても病弱で、自室からほとんど出られないらしい、と貴園は教えてくれました。

皇弟は執務も行っていないのだな、と猫猫が思ったところで、何やら侍女たちの大声が聞こえてきました。

水晶宮の侍女たちが、翡翠宮の侍女たちの衣装が地味であるとケンカを吹っかけてきたのです。

「侍女は主に使えるものでしょ。無駄に着飾ってどうするのかしら」

桜花(インファ・翡翠宮の侍女)が言い返します。

それに対し、水晶宮の侍女は

「見た目が悪いと主が苦労するのよねぇ」

と意地悪くさらに言い返します。

このように、上級妃の侍女たちは、主人の代わりに代理戦争をしたがるのです。

水晶宮の侍女たちはさらに、

「今日はあのそばかす女いないの」

と猫猫の悪口を口々に言います。

そばかすの化粧を落とした猫猫の存在に気づいていないようです。

猫猫は水晶宮に派遣されていた時に、水晶宮の侍女を懲らしめるために脅したことがありました。

その時の表情を再現し、威圧します。

怯えた水晶宮の女たちは

「今日はこれくらいにしてあげるわ」

と捨て台詞を吐いて去っていくのでした。

「ごめんね、嫌な思いさせて。こんなに可愛いのに」

気にする侍女たちに猫猫は

「そんなことより、カイロは替えなくてよろしいですか」

と皆を気遣います。

「不幸な身の上に加えて(侍女たちの勘違い)、自ら顔を汚すほどの男性不振、水晶宮での壮絶ないじめを2か月間必死に耐えてきて(これも侍女たちの勘違い)、一切弱音を吐かず、私達にまで気を使って…」

と侍女たちは妄想をふくらませ、猫猫を憐れむのでした。

また大声が聞こえてきます。

今度は徳妃と淑妃の侍女たちの争いです。

「親子ほど年の差があれば、そりは合わないんだろうけど」

「それにつけて元嫁姑だからいろいろとねぇ」

翡翠宮の侍女たちは噂話をします。

「嫁姑?」

猫猫は後宮らしからぬ話だな、と思わず尋ねます。

5年前、徳妃と淑妃は、先帝の妃と東宮妃(皇太子の妃という意味)の関係でした。

しかし、先帝が崩御したことで関係が一変します。

先帝の妃が一度出家して、俗世を捨てて、今度は現帝の妃として戻ってきたのです。

なので、徳妃と淑妃は元嫁姑ということになるのです。

親が権力者だからこそできる荒業だな、と猫猫は心の中でつぶやきます。

「先帝が亡くなったのが五年前、当時、淑妃は齢30。徳妃は9つか。政略とはいえ、9歳で妃とはもやっとする話だ。しかも、皇太后はもっと幼い時に先帝に入内したと考えるといっそ吐き気がするな」

と猫猫はげんなりします。

そこで猫猫は衝撃の事実を耳にします。

「でもありえないわよね、9歳のお姑さんなんて」

「!?」

なんと、先帝のもとにいた妃は、徳妃の里樹だったのです。

四夫人にはそれぞれ、己が象徴を与えられます。

玉葉妃は真紅と翡翠、梨花妃は群青と水晶、淑妃は黒と柘榴(ザクロ)石、里樹妃は白と金剛石です。

しかし、里樹妃は濃い桃色の衣装を着ていました。

明らかに玉葉妃とかぶっている様子から、空気の読めない子なのかな、と猫猫は思いました。

休憩になると、幕裏は武官や文官、女官でにぎわっていました。

見ると、かんざしを手渡している様子。

みんな、宝飾品を渡して、花の園にいる優秀な人材を勧誘しているのだと、桜花は猫猫に教えます。

そういうことだったんだな、と納得する猫猫は同時に、奉公が終われば花街へ帰る自分には関係ない、と思います。

「まあ、違う意味もあるんだけどね」

桜花はニヤニヤしながら猫猫に言いますが、猫猫は興味がありません。

そこへ、一人の大柄な武官が現れます。

「お嬢さん、これをどうぞ」

と言って、猫猫にかんざしを差し出すのです。

腰帯には大量のかんざしをさしていて、どうやら、みんなに配って歩いているようです。

「…どうも」

「俺、李白っていうから。よろしくー」

そう言うと李白は去っていきました。

「猫猫、それもらったの?見せて―」

侍女たちは猫猫の周りに集まってきます。

「参加賞ですが」

と答える猫猫。

そこへ、梨花妃がお供を連れて現れます。

「それだけでは寂しいでしょう?」

そして猫猫の頭にかんざしを刺して、用事はそれだけ、と去っていきました。

その様子を見ていた翡翠宮の侍女たちは、汗をかきます。

「あーあ、これは玉葉さま、拗ねるどころじゃないかもね」

園遊会は食事の段取りへと進み、猫猫は玉葉妃に付きそっていた紅娘と交代します。

西側に武官、東側に文官が並び、なかなか壮観な眺めです。

猫猫はその中に、高順、さきほどの李白を見つけますが、壬氏の姿はありません。

「あのきらきらした宦官は欠席?」

そう思っているところに、毒見用の食前酒が運ばれてきます。

猫猫は威勢よく毒見していきます。

その様子に、周囲は注目します。

宴席で使うなら即効薬が使われるだろうし、これだけ威勢よく毒見する毒見役は珍しいのです。

魚と野菜のなますが運ばれてきます。

ところが、青魚だけクラゲで代用してあります。

いつもと異なるメニューに首をかしげる猫猫。

見ると、徳妃の里樹妃が震えながらその青魚を食べています。

帝の手前、残すこともできないので、里樹妃は青い顔をしながら飲み込みます。

すると、里樹妃の後ろをついている毒見役の侍女が、にやり、とあくどい顔をしたのです。

「…嫌なものを見た」

と猫猫は思います。

次に運ばれてきたのは、スープです。

猫猫は匙にすくったスープをじっと見て匂いを嗅ぐと、一息に口に運びます。

何かに反応して、猫猫ははっと目を見開きます。

そしてなんとも恍惚の表情を浮かべるのでした。

その様子に周りは、どれだけ美味しい料理なんだ、と生つばを飲み込みます。

次の瞬間、猫猫は衝撃の一言を放ちます。

「これ、毒です」

〜薬屋のひとりごと第7話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第7話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】8話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第8話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第8話ネタバレここから〜

「これ、毒です」

猫猫のセリフに、会場に緊張が走ります。手ぬぐいで口元を抑えた猫猫は、幕裏へと駆けていってしまいました。

「あんなに旨そうに飲んでおいて、毒?」

「今の玉葉妃の配膳だったよな?」

周囲の武官、文官たちは騒然とします。

幕裏から事態を見守っていた壬氏も動揺しています。

「まさか、本当に毒が盛られるとは。一体、誰が…」

猫猫が水場で口をゆすいでいると、背後から壬氏が近づいてきます。

「随分と元気な毒見役だな」

「ごきげんよう、壬氏さま」

「ご機嫌はそっちだろ」

満面の笑みであいさつする猫猫に、壬氏は呆れながら返します。

久しぶりの毒で嬉しくて仕方ない猫猫は、頬が緩んでいました。

毒見役が毒をおいしそうに食べるのはまずいと思って、すぐに宴席を離れたけれど、侍女があんな行動をすれば怒られるに違いないと、猫猫は叱られるのを覚悟します。

壬氏は猫猫の手を取り、無理やり医務室に連れて行こうとします。

「毒を食らってぴんぴんしているなんて、洒落にならないぞ」

壬氏は猫猫を心配して、不機嫌なのでした。

「毒は手ぬぐいに吐き出しましたので、体に異常はありません」

あのまま薬を飲んでいれば、今頃はしびれが全身に巡って―と猫猫は恍惚の表情を浮かべます。

そして残りのスープをもらえないかと壬氏に頼み、怒られるのでした。

手を引かれて医務室へと連れていかれる猫猫は、壬氏の後姿を見て、変化に気づきます。

さきほど猫猫に渡したはずのかんざしは新しいものになり、少し襟元が乱れているのです。

「もしや、宴席に出ずにいかがわしいことでもしていたのか?」

猫猫はなぜか武官に迫られる壬氏を想像します。

「あっ」

猫猫は思わず大きい声を出します。

「どうした?」

「連れてきてもらいたい方がいらっしゃるのですが」

猫猫はそう、壬氏へ頼むのでした。

呼び出されたのは、里樹妃でした。

お付きの侍女も一緒です。

「こんなところにお呼び立てして申し訳ありません」

「そんな壬氏さま、ちっとも気にしませんわ」

壬氏の言葉に、里樹妃は嬉しそうに答えます。

「用事というのは、こちらの侍女でして」

壬氏が猫猫を紹介すると、あからさまに里樹妃はむっとします。

里樹妃は、左腕をさすっていました。

猫猫はいきなり、里樹妃の左腕をまくります。

その腕には赤い発疹が現れていました。

「食べられないのは、魚介ですか?」

「どういうことだ?こっちにもわかるように説明しろ」

猫猫の問いを遮るようにして壬氏が声を掛けます。

「人によって、食べられない食べ物があるんですよ。私もそばが食べられません」

「そんなものが食べられないのか」

驚く壬氏に猫猫は、食べようと努力をしたが、気管支が狭まり、呼吸困難になること、少量でも発疹ができ、量の調整が難しく治りも遅いことを説明します。

「食べられないとはそういうことです」

その猫猫の言葉に口元を抑える里樹妃。

猫猫は、里樹妃にお腹の調子を確認すると、ここら先は腰かけて聞くように勧めます。

園遊会の食事は、後宮が用意したものでした。

玉葉妃には好き嫌いがないので、帝と同じものを食べます。

しかし、出された「なます」は、いつもと具材が異なったのです。

「何かの手違いで、玉葉さまと里樹さまのお食事が入れ替わっていたのだと思います」

猫猫ははっきりとした口調で言いました。

「里樹さまが食べられないのは、鯖とあわびですか?」

里樹妃がうなずくと、付き添いの侍女は青ざめます。

猫猫はそれを見逃しませんでした。

食べられない人間にしかわからないことだが、これは好き嫌い以前の問題だと猫猫は言います。

「今回は蕁麻疹程度で済みましたが、時に心不全や呼吸困難を引き起こし、最悪の場合も考えられます。もし、それを知っていて与えていたのなら、毒を盛ったのと同じことです」

その言葉に、里樹妃にも、侍女にも緊張が走ります。

そして猫猫はお付きの侍女に声を掛けます。

「確か毒見役でしたよね」

この里樹妃の侍女は、園遊会で里樹妃の毒見役をしていた侍女でした。

青魚入りのなますを飲み込んだ里樹妃を見て、にやりと笑ったあの侍女です。

猫猫は侍女に、万が一妃が口にしてしまったら、すぐに吐き出すように、と注意します。

「もちろん、摂らないのが一番ですが」

射貫くような目で、侍女を見る猫猫。

侍女は下を向いて震えています。

猫猫は木簡を取り出し、詳しい注意事項をまとめておいた、と侍女へ渡そうとします。

「難しいことはありません。しかし一つ間違えれば、医官であろうと対処できない問題であること」

そこで猫猫は言葉を区切って一呼吸置きます。

「ゆめゆめ、忘れないようにしてください」

そう言って、猫猫は恐ろしい形相ですごみました。

震える手で木簡を受け取った侍女は、何度もうなずくのでした。

猫猫は侍女が里樹妃に嫌がらせをしているのを分かっていたのでした。

里樹妃と侍女が去ると、猫猫も玉葉妃の元に戻ろうとします。

しかし、それを壬氏が引き止めます。

「なぜ、わざわざ毒見に侍女を同室させた?」

「さて、なんのことでしょう」

とぼける猫猫に壬氏は食い下がります。

「狙われたのは、徳妃ということだな?」

猫猫はしばしの沈黙の後、口を開きます。

「ほかの皿に毒が入っていなければ、そういうことになるでしょうね」

〜薬屋のひとりごと第8話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第8話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】3巻ネタバレ

3巻
9話10話11話12話
13話14話

【漫画 薬屋のひとりごと】9話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第9話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第9話ネタバレここから〜

昼過ぎ、猫猫は部屋で目を覚ましました。

昨日、玉葉妃の元へ戻ると、翡翠宮の侍女たちに病人は寝ていなさい、と寝かされていたのでした。

毒を吐き出したとしても無事なわけがないというのが侍女たちの主張でした。

猫猫が毒入りのスープを口にしても元気に走っていたので、毒入りのスープを飲んだ大臣がいたのです。

その大臣は後で大変な目にあったことから、侍女たちは猫猫を休ませたのでした。

猫猫はいつも通り「そばかす」の化粧をして、玉葉妃の元へ出勤します。

「今日くらい休んでもよかったのに」

玉葉妃は、猫猫がまたそばかすの化粧をしているのに気付きます。

「落ち着かないのでこのまま(そばかすのまま)でよろしいでしょうか」

そういう猫猫に玉葉妃はあっさり承諾します。

なんでも、あの侍女は何者だと、園遊会の後詰め寄られて大変だったそうです。

猫猫は高順が訪れていることを知らされます。

壬氏からあるものを預かってきたのです。

それは、昨日の毒入りのスープが入ったままの銀製の食器でした。

「ご丁寧に持ってきてくれたということは、何か調べろということだろう」

猫猫はじぃっと器を見つめます。

その様子を高順は心配そうに見つめます。

「食べないでくださいね」

「銀は腐食が激しいので、今はもう酸化していて美味しくありません」

美味しく、という言葉に眉をひそめる高順でした。

猫猫はこの器を素手で持ったかどうかを確認します。

器に触れていないことを確認すると、猫猫はニヤッと笑いました。

猫猫は、綿と粉と筆を用意しました。

「これでなにを?」

高順は不思議そうに尋ねます。

猫猫のいた薬屋ではいたずら防止に、触れてはいけない器に染料をつけていました。

それを応用すると猫猫は言います。

小さく丸めた綿に、量に気を付けながら粉をつけて、器にまぶしていきます。

最後に筆で余分な粉を落とすと現れるのは―。

「出ました」

「白い痕がありますね」

猫猫は指紋を検出していたのでした。

指は油で出やすいので、金属などに触れると痕が残ってしまいます。

食器磨きは、銀食器に跡が残らないよう気を付けて磨いているのです。

「つまり、今ここに残っている指の痕は、磨かれた後に食器を持った人間のものだと」

「そういことです」

高順の言葉に猫猫はうなずきました。

粒の粒子が大きいので見ずらいものの、指の痕の大きさと一で、器をどのように持ったのかくらいは推測できるだろう、というのが猫猫の主張でした。

器を持ったのは全部でおそらく4人でした。

まず、器の周りに触れた3つの指の痕がありました。

これらは、スープをよそったもの、配膳したもの、徳妃の毒見役の3つの指の痕です。

そしてもう一つ残る痕は、器のふちについていました。

これが4つ目の指の痕で、誰かは不明です。

「それが事実だとすれば、気になるのは、不明な誰かと徳妃の毒見役ですね」

高順は言いました。

「しかし、…なぜ毒見役が?」

「…簡単なことです。徳妃の食べられないものを分かっていて、わざと玉葉妃の器とすり替えたのでしょう。明確な悪意を持った、いじめです」

猫猫の言葉に、高順は衝撃を受けます。

「上級妃に、侍女が?」

信じられない様子の高順に、猫猫は知っていることを話します。

猫猫はこれはあくまで自分の推測だ、と前置きしたうえで話し始めました。

里樹妃の園遊会での衣装は、派手な桃色でした。

普通ならば、あの衣装を里樹妃が選んだ場合、侍女は他の衣装を薦めるか、妃に準ずる衣装を着るはずです。

色が明らかに玉葉妃とかぶっているからです。

しかし、お付きの侍女たちは、みんな白い衣を着ていました。

あれでは、桃色の衣装を着ていた里樹妃は道化同然です。

侍女は主を立てるもので、そのために地味な格好をするものなのです。

敵だらけの後宮の中で、妃が真に信じられるのは、自分の侍女たちだけです。

幼い里樹妃は、侍女たちに似合うと煽られ、あの衣装を何の疑いもなく選んだのでしょう。

その気持ちにつけ込んで、侍女たちは里樹妃にわざと恥をかかせたのでした。

「侍女たちはそれだけでなく、食事を入れ替えてさらに里樹妃を困らせようとしたと?」

「ええ、結果として命拾いしましたけど。嫌なやり方です」

妃に限らず、多くの女は、妻は夫に身をもって尽くすものだと教育されます。

里樹妃は幼いながら、先帝の妃となり、そのあとすぐに出家しました。

それがたとえ政略であっても、亡き夫の息子に嫁ぐなんて、不徳も甚だしいと思われていました。

「器のふちにある痕は、毒を混ぜた犯人のものでしょう。何者かが里樹妃の器に毒を入れ、里樹妃の侍女が玉葉妃のものと入れ替えた。幸い毒見の際に発見できたので、玉葉妃に被害はなく、里樹妃も結果的にいじめられたことで命拾いした、というのが事のあらましかと」

猫猫はそこで推測を終えました。

高い順は、なぜ昨日あの侍女をかばおうとしたのか、と尋ねます。

「侍女の命など、妃に比べたら軽くたやすいものです。ましてや毒見役の命ともなれば」

猫猫は、このようなことをしたとバレてはあの毒見役の侍女が殺されてしまうだろうと彼女を思いやったのでした。

上の判断一つで簡単に消されてしまうような立場なのは、猫猫も一緒です。

「壬氏さまにはうまく説明します」

と高順は言いました。

高順は、壬氏にことの次第を「うまく」説明します。

高順の「うまい物言い」に目をつぶりながらも、内部犯だよな、とつぶやき、壬氏は頭を抱えます。

この騒ぎで昨日から眠る暇も、着替える暇もなく仕事に忙殺されていました。

「思考を放棄したい」

弱音を吐く壬氏を高順がいさめます。

そして、頭にかんざしが挿しっぱなしなのを指摘しました。

「隠れていたので、ご身分に気が付く者はいないかと」

高順が部屋を後にすると、壬氏はげっそりした顔で「暇が欲しい」と願うのでした。

〜薬屋のひとりごと第9話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第9話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】10話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第10話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第10話ネタバレここから〜

「最近は園遊会の話で持ちきりだよ。翡翠宮って猫猫のとこだよね?じゃあ、毒を食べた侍女がいるんだ!」

猫猫と小蘭は久しぶりにお喋りをしています。

「…そうだけど」

どこから仕入れてくるんだか、と思いながら猫猫は答えます。

「その人一体何者なの?」

「…さぁ、何者かな」

隣りに座っている猫猫が、まさかその毒を食らった侍女とは夢にも思わない小蘭なのでした。

毒殺騒ぎはけっこうな大事になっていました。

「猫猫は園遊会でかんざしとか貰った?」

「一応」

猫猫は園遊会で、玉葉妃から首飾り、壬氏から男物のかんざし、梨花妃から紅水晶のかんざし、李白という武官が皆に配っていた参加賞を手にしていました。

「そっかぁ、じゃあ後宮から出られるんだね」

「え?」

「あれ、こっから出るんじゃないの?」

猫猫は園遊会のとき桜花がしつこく「かんざしのもう一つの意味」について何かを言っていたのを思い出します。

しかし、興味のない猫猫は、内容を聞いていませんでした。

「小蘭、今の話詳しく」

猫猫は珍しく話に食いつきました。

そして小蘭から「かんざしを渡すもう一つの意味」を聞くのです。

後宮は男子禁制のため、外の男性は女官に会いに来ることができません。

その代わり、特別な許可があれば外から女官を呼ぶことができるのです。

それが、園遊会で配っていたかんざしという訳でした。

逆にこのかんざしを使えば、ここから出して欲しいと次女側から呼びかけることもできるのです。

それを聞いた猫猫はニヤッと笑います。

「ありがと、小蘭。試してみる」

武術の稽古に精を出す李白に、木簡が届きます。義理のかんざしを本気にされたか、と李白は迷惑そうに木簡に目をやります。

「しかし美人だったらもったいない」

木簡には翡翠宮の文字がありました。

李白は翡翠宮の侍女には一人しか渡していませんでした。

園遊会で堂々と毒味をする猫猫の姿を思い出します。

「あれか〜…。どう断るかな」

李白を呼び出した猫猫。現れた猫猫は、李白の記憶の中の猫猫と異なりました。

「お前、化粧で化けるって言われないか?」

「よく言われます」

深いため息をついて、李白は聞きます。

「俺を呼び出すなんて、どういう意味かわかっているのか?」

「えぇ、実家に戻りたいと思いまして。身元を保証して頂ければ、一時帰宅は可能と聞きました。」

けろっと答える猫猫。

それを聞いて、李白はムッとした表情になります。

「つまりなんだ?俺は嬢ちゃんの里帰りにうまく利用されろってことか?」

李白は怒りに満ちた様子で言いました。猫猫は李白には少しも興味がなく、自分の里帰りのために利用しようとしているのを知って、李白はプライドを傷つけられたのでしょう。

「こちらもそれなりのお礼を考えています。緑青館で、花見はいかがかと」

そう言うと、3枚の紹介状を突きつけました。

「緑青館?冗談だろ、一晩で銀が尽く後宮妓楼だぞ」

紹介状は、白鈴(パイリン)、女華(ジョカ)、梅梅(メイメイ)の高級官僚でもなかなか手を出せない三姫のものでした。

「ますます信じられん」

李白は唸ります。

「信じられないなら、仕方ないですね。非常に残念ですが、他を当たりますので…」

猫猫は2つのかんざしを取り出し、李白に見せつけます。

それを見て、李白は衝撃を受けます。

「紅水晶と銀製のかんざしとは、明らかに俺よりも高官。俺が知らないだけで、この嬢ちゃん、実はかなりすごい侍女なのか?いやいや怪しすぎる」

李白はぐるぐると考えを巡らせます。

「あの三姫に出会える機会なんて、今後二度とないだろう」

猫猫は3枚のかんざしを李白の目の前から引き下げようとします。

「どう、なさいますか?」

「…俺の負けだ」

猫猫の最後の押しに、李白は白旗を上げたのでした。

こうして猫猫の里帰りが決まったのでした。

「おめでとう猫猫!」

「まさか猫猫が私達より先に」

翡翠宮ではお祝いムードです。

猫猫は口々にお祝いの言葉を口にする侍女たちに、不思議そうな顔をします。

「ありがとうございます。お土産買ってきます」

「彼とはどういう経緯で?」

「まぁ、なりゆきで…」

その様子をくすくすと笑いながら見ている玉葉妃。

「良かったんですか?玉葉さま。」

紅娘は、心配そうにしています。

「まぁ、3日だけだしね」

「あの様子、かんざしの意味、絶対わかっていませんよ」

かんざしには、まだ意味があるようです。

「そうね絶対。全く可哀想なのはあの子だわ」

玉葉妃は壬氏を思い浮かべます。

その頃、壬氏は仕事に忙殺されながら、くしゃみをするのでした…。

〜薬屋のひとりごと第10話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第10話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】11話ネタバレ

下、薬屋のひとりごと第11話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第11話ネタバレここから〜

「とういうことで、あの子ならもう行ってしまったわ。三日間の里帰りへ」

玉葉妃の言葉に壬氏は、あんぐりと口を開けました。

美男子の面影もないその表情に、玉葉妃は涙が出るほど笑うのでした。

猫猫は李白と馬車に乗っていました。故郷である花街へと帰るところです。

花街は王宮廷の反対側に位置し、それほど遠い場所ではありません。

塀と堀を超えれば歩ける距離なのに、馬車を出すとはなんとも贅沢なことです。

そして李白は馬車を操りながら、鼻歌交じりにご機嫌の様子。

緑青館の三姫と言えば、市民からも憧憬を集める雲の上のアイドル。

茶を交わすだけでも銀が必要で、目の前で会えることすら名誉になる存在なのです。

李白が浮かれモードになるのも無理はありません。

「お、見えてきたぞ、花街だ!」

こうして猫猫は、久しぶりの故郷へと足を踏み入れたのでした。

妓女とはいっても、身を売るものもいれば、芸を売るものもいて様々です。

売れっ子ほど希少価値を上げるために客を取りません。

夜伽などはもってのほかなのです。

そんな存在に憧れ、遊郭の門をたたく町娘もいるのですが、簡単になれるものではありません。

「これが緑青館か」

李白と猫猫は、馬車を降ります。

緑青館は中級から最上級の妓女がそろう、王都の花街の中でも老舗の楼閣です。

緑青館の中から、店主であるやりて婆が出てきました。

「おっ久しぶり婆さん!皆元気に」

「なにが久しぶりだい、こんバカ娘」

老婦人はいきなり猫猫の腹に一撃を食らわせます。

毒を食べた猫猫はよくこのパンチで毒を吐き出していました。

懐かしさを覚える猫猫でしたが、地面に崩れ落ちます。

「大丈夫か!?」

李白が心配します。

「ふーん、これが上客かい?話によると出世株らしいね。おい、白鈴呼んできな。今日は茶挽き(お客がいないという意味)のはずだ」

「白鈴…」

李白はごくりとつばを飲み込みます。

「こちらへどうぞ」

禿(かむろ)が李白を案内します。

李白の鍛え抜かれた腕を見た猫猫は

「ひょっとしたら、ひょっとするかもなぁ」

と思いながら見送ります。

後宮妓女はめったに夜伽をしませんが、だからと言って恋をしないわけではありません。

白鈴は、筋骨隆々の男性を好むようです。

一夜の夢を見られれば一生の思い出になるだろう、と猫猫は暖かいまなざしを向けるのでした。

「猫猫、まったくお前は十月も連絡をよこさず消えやがって」

「仕方ないだろう、後宮で働いていたんだから」

そう言って猫猫は今まで後宮で働いた給金の半分を差し出します。

李白の妓楼代は猫猫が払うということでした。

「こんだけじゃあ、足りないねぇ」

やりて婆は鼻で笑います。

お茶だけならまけてくれないかという猫猫に、

「あの腕っぷしで白鈴がなにもしないわけないだろ」と返す店主。払えないなら、上客をよこしな」

と言うのでした。

「爺(じじい)は家にいるはずだ。さっさと行ってやんな」

「ああ、わかった」

やりて婆はそういうと、猫猫を家に帰すのでした。

花街の通りを抜けたところにある、小さな薬屋が猫猫の実家でした。

「ただいま、おやじ」

「おう、おかえり。遅かったね」

そこで、猫猫の父が待っていました。

お茶を入れてもらい、やっと帰ってこられたと猫猫はほっとします。

そして、人買いに売られてしまった日のことを話し始めるのでした。

「今は翡翠宮で毒見役してる。まだ年季があるから、明後日には後宮に戻るよ」

「そうか」

話し終えると、猫猫は眠くなってしまい、横になります。

猫猫の父は、眠る猫猫を横目につぶやきます。

「後宮とは、因果だねぇ」

翌朝、猫猫が目を覚ますと、そこに父の姿はありませんでした。

鍬(くわ)がないのでどうやら畑に行ったようです。

自分で育てた薬草で薬を作るのが好きな猫猫の父は、花街の外の林の中に畑を作っています。

突然、ドンドンと扉を激しくたたく音がします。猫猫が見に行くと、禿が切迫した表情で戸を叩いていました。

見ない顔なので、緑青館ではない、よその禿のようです。

「早くこっち、急いで」

禿は猫猫の手をつかむと強引に連れていきます。

禿が連れてきた先は中堅の妓楼でした。

「姉さーん、薬屋連れてきた!」

部屋の前には人だかりができていて、妓女たちが青ざめた様子で立ちすくんでいました。

「この匂い」

猫猫はとある匂いに気が付き、急いで部屋へと入ります。

そこで見たのは、寝台の上で倒れている二人の男女でした。

「今とりあえず吐かせたけど」

一人の妓女が介抱に当たっていました。

「男が息してないし、女の呼吸も浅い。喉に嘔吐物が残ってないか確認する」

猫猫は女のほうを妓女に頼むと、男の介抱に当たります。

男は脈もなく、重症の様子。

女のほうが毒を吐き出しので、妓女が水を飲ませようとします。

「待て!水は飲ませるな!炭だ!炭を用意しろ」

猫猫は妓女たちに指示をします。

猫猫は男のみぞおちを何度も押すうちに、男に毒を吐かせることに成功し、ひとまず二人の命は助かりました。

猫猫は落ち着いて現場を見直します。

倒れていたのは妓女とその客でした。

毒を飲んでからあまり時間は経過していない様子です。

酒瓶が二つ、割れたガラスの器。

褥(しとね)に二色の染み。

煙管と藁。

そして散らかったタバコの葉が現場に残されています。

炭を持ってきた禿に、猫猫は今度は木簡と筆を持ってこさせます。

そして状況をしたためると、南の外壁の畑にいる父に知らせてくるように禿に頼みます。

「応急処置は済んでいるけど、なるべく急いで」

「わかった」

木簡を受け取った侍女は駆け出します。

そして猫猫を冷たい目でにらむと、ふんと鼻を鳴らすのでした。

〜薬屋のひとりごと第11話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第11話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】12話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第12話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第12話ネタバレここから〜

禿に連れられて、ようやく猫猫の父が妓楼に現れます。

「遅かったな、おやじ」

「それは…この子が足を気遣ってくれたんだ」

猫猫の父は、一の情報から二も三も知ることのできる人物です。

「猫猫、これは何の毒だと思った?」

猫猫の父はこうやって、猫猫に勉強させようとするのでした。

「煙草の毒は手に入りやすくて、食べればすぐにむせるほどの即効性がある。心中で使うならこれだ」

「水は飲ませなかったようだね?」

「飲んだら逆効果だろ?」

「胃液が毒の吸収を抑えることもあるから、その場合は水を飲ませたら逆効果だろう。でも、もしこれが最初から水に溶かしたものであったなら、薄めたほうがいいのかもしれない」

猫猫は現場に落ちていた煙草の葉を見て、煙草の葉で心中しようとしたのだろう、と思ったのですが、吐しゃ物には煙草の葉は混じっていませんでした。

猫猫が父に言われたことを反芻していると、禿がお茶の準備ができたと呼びに来ます。

禿の様子はひどく不機嫌でした。

猫猫と父は、妓楼の女店主から、客用の茶菓子をふるまわれます。

猫猫のお茶には、麦わらが添えられていました。

それは、先ほどの事件のあった部屋に落ちていたものと同じものでした。

女店主はお茶に麦わらを挿して飲んでいます。

器に口紅がつかないように、ストローにして使っていたのでした。

「助かったよ。それでこれ…」

女店主は、父にお代を差し出します。

今回のは花街では珍しくもない心中だろう、と猫猫は考えます。

しかし、あの男は遊び人風だけれど、上等な綿の着物を着ていたのが気になりました。

そして、男は甘い顔立ちをしていて、金にも女にも困りそうには見えませんでした。

「ちょっと容態を見てくる」

猫猫は、男の容態を見に行きました。

男の寝ている部屋をのぞくと、きらっと光るものがありました。

光るものは刃物で、先ほどの禿が男に包丁を振りかざしていたのです。

「何やってる!」

猫猫はとっさに禿から包丁を奪います。

「邪魔しないで!こんな奴、死んだほうがいいんだ!」

禿は激高し、猫猫から刃物を奪い返そうと向かってきます。

「仕方ない」

猫猫は禿に思いきり頭突きを食らわせました。

禿は大声で泣きだしました。

額には大きなたんこぶができています。

大声を聞きつけて一人の妓女が様子を見に来ます。

「あっ、あんたたち、何してるの‼」

禿の姉は、違う店で働いていて、あの男に身請けされる予定でした。

それなのに、急に身請けを白紙にされて、

禿の姉は自殺してしまったのです。

口説いては身請けをほのめかして、飽きたら捨てるのを繰り返しているような男だったのです。

もちろん恨みを買って、刺されそうになったこともあったのですが、豪商の父は甘やし、ことあるごとに金で解決していたのでした。

そう妓女が教えてくれると、こう付け加えます。

「今回一緒に毒を飲んだ娘にも、この子は懐いていてね」

禿が男を殺そうとしたことには目をつぶってほしいと言いたいようでした。

先ほどの女店主がやけに手厚く歓迎してくれたのは、豪商の息子を自分の店で死なせずに済んだからだったのでした。

目障りな客の生還に安堵する周りの様子も、禿には理不尽に感じられたのでしょう。

猫猫が禿を見やると、禿は妓女にくっついて悲しそうに泣いています。

猫猫はため息をつきました。

「わかりました」

猫猫と父は妓楼を後にします。

猫猫はまだ先ほどの事件について考えていました。

禿は、わざと猫猫の父がいない時間に来たのではないか、と猫猫は考えました。

普通なら医者を呼ぶあの状況で、わざと不在の薬屋を選んだとすれば、あの禿は小さいわりに恐ろしい発想です。

禿は、父を呼んでくるのが遅かったのも、それが理由かもしれません。

「それだけあの男は恨まれていたということだろう」

猫猫はそう考えを巡らせます。でも何かが、猫猫の中で引っかかっていました。

小さな禿にまで恨まれるような男が、惚れた腫れたで心中など起こすでしょうか。

「まさか心中じゃなくて…」

「猫猫、憶測でものを言っちゃいけないよ」

父は静かに猫猫をいさめます。

どうやら、真相には気づいている様子です。

猫猫は必死で現場にあったものを思い出します。

猫猫が現場で見たものは、倒れていた男女、ガラスの器、散らばったタバコの葉、それと…。

「もし、これが最初から水に溶かしたものであったなら」

父の言葉が記憶から浮かび上がります。

現場には酒瓶が二つ落ちていて、褥(しとね)に二色の染みがついていました。

そして近くには麦わらが落ちていたことを思い出します。

猫猫は水瓶の水を柄杓ですくいます。

父は猫猫の頭にポンと手をやりました。

「もう、終わったことだよ」

「わかってる」

これは心中ではなく、殺人でした。

しかも、殺そうとしたのは妓女のほうです。

犯行に使われたのは、煙草をつけた酒です。

問題は、妓楼に護衛をつけるほど警戒している男に、どうやって毒を飲ませたのかでした。

答えは簡単です。

妓女が毒見をして見せればいいのです。

酒は二種類あり、器は一つしかありませんでした。

色や重さ濃さが違う二つの酒は、水と油までとはいかなくても分離します。

透明なガラスの器に注げば、層ができて見た目もきれいです。

客を喜ばせる小ネタとして使ったのでしょう。

妓女はその下の層だけを、麦わら(ストロー)で飲んで見せたのです。

普段から麦わらを使うのを見ている男は、当然疑問も持たず、毒酒を上の層から口で飲みました。

男が倒れたことを確認すると、毒酒の匂いをごまかすために吸っていた煙草の葉をあたりにばらまきます。

煙草の葉を使った心中だと思わせるための偽造工作でした。

それから、妓女も死なないように少しの量、上澄みの酒を飲みます。

殺人は自分が死んでは元も子もありません。

男が死に、自分が生き残る計算をしたうえで、朝方にことを起こしたのでしょう。

そして都合よく、それを発見する人間がいたのです。

男を殺そうとした禿の行動はおかしいものでした。

まるで、妓女が死なないと分かっているうえで行動しているようでした。

禿に同情的な妓女も、金払いのいい女店主も、疑えばいくらでも怪しく思えます。

「憶測でものを言っちゃいけないかぁ」

猫猫は、緑青館にもらい湯をしに出掛けるのでした。

〜薬屋のひとりごと第12話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第12話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】13話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第13話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第13話ネタバレここから〜

猫猫の3日間の里帰りは、あっという間に終わりました。

白鈴は猫猫に、もう行くの?と声をかけます。

「できるならずっといたいけど、後宮の仕事を放棄すれば李白どのに迷惑がかかるし」

「それは残念ね。ねぇ?李白さま」

白鈴は、べったりと李白にくっつきます。

「いやぁ、実に残念だ」

李白はでれでれと完全に鼻の下を伸ばしています。

どうやら、いい夢を見られたようです。

「報酬を払い過ぎたかもしれない」

と思う猫猫なのでした。

これから李白は生かさず殺さず搾り取られることになりそうです。

「同情するがそこまで責任はない」

猫猫は思いますが、とはいえ、前払いで足りなかった銀を補うのは猫猫です。

緑青館のやり手婆は悪い顔をして笑っています。

後宮から出たあとは、緑青館に身売りしなければならなくなりそうな猫猫でした。

猫猫は翡翠宮へ帰ってきました。

玉葉妃にお土産を渡す猫猫の後ろで、壬氏が睨んでいます。

その圧を感じ取った猫猫は早めに退散しようとしますが、壬氏に捕まります。

「荷物をおいてこい。応接室で待っているぞ」

ぞっとする猫猫でしたが、後ろを振り返ると玉葉妃と侍女たちは期待に目を輝かせ、高順と紅娘はため息をついています。

「一体何がどうしたと?」

猫猫は困惑します。

応接室を猫猫が訪れると、壬氏は険しい表情です。

「里帰り、行ってきたようだな。どうだった?」

「皆元気そうです何よりでした」

「そうか」

そこで壬氏は黙ってしまい、静寂が訪れます。

しばらくすると、壬氏が言いづらそうに口を開きます。

「李白っていうのは、どういう男なんだ?」

「身元引受人です」

猫猫にとって緑青館の今後の常連であり、白鈴指名の残りの代金を支払ってくれる金づるです。

「わかっているのか?その意味が」

壬氏は苛つきながら訪ねます。

「ええ、身元のしっかりした高官でなければ引受人にはなれないと」

それを聞いて壬氏は耳を疑うというような表情になりました。

「…かんざしを貰ったのか?」

「えぇ、何本も配っていたのものを義理で頂きました」

「つまり、俺は義理でもらったものに負けたんだな?」

猫猫は壬氏が「俺」と言ったのにいつもとは違う違和感を覚えます。

「俺もあげたはずなんだが、まったく話は来なかったな」

どうやら、壬氏は自分に話が来なかったのを気に食わないようだと理解した猫猫は不思議に思います。

面倒事には関わらないほうが楽に決まっているのに?

猫猫は壬氏を宦官と思っているので、妓楼に誘うのは失礼だと考えていました。

それに壬氏ほどの美貌の持ち主が現れれば、並の妓女なら惚れ込んでしまうでしょう。

そうなれば営業妨害もいいところです。

やりて婆に折檻されるに違いありません。

「申し訳ありません。壬氏さまにご満足頂ける対価など思いつかなかったもので」

「お前、それを李白ってやつに払ったのか?」

「えぇ、一夜の夢に喜んでおりました」

壬氏は猫猫と李白のあらぬ妄想を抱きます。

顔は真っ青です。

猫猫はさらにとどめを刺します。

「大変ご満足頂けたようで、こちらとしても頑張ったかいがあります」

壬氏は思わず持っていた湯呑を落としてしまいました。

「何してるんですか。拭くものを持ってきます」

部屋を出ようとするとそこにいたのは、玉葉妃、紅娘、高順でした。

玉葉妃は目に涙を浮かべて笑い転げています。

紅娘は猫猫の頭を思わず、はたきました。

あの後、笑い転げる玉葉妃から事情を聞いた壬氏はすっかり拗ねてしまいました。

なだめる高順に、子供のように返事をしています。

あれだけ急いで仕事を終わらせて、猫猫に会いに行ってみれば、知らぬ男と里帰りしているなんて、壬氏にとって青天の霹靂でした。

次から次へ持ち込まれる仕事を渋々と片付ける壬氏。

そこに慌てた様子で文官が執務室を訪れました。

壬氏と高順はあることを聞かされます。

玉葉妃、猫猫、壬氏、高順は話をしています。

浩然(コウネン)という50歳の武人が亡くなったということでした。

死因は酒の飲み過ぎとのことです。

宦官は侍女のいないところで妃とは会話できないという決まりがあります。

壬氏は紅娘を別の用事で外させたので、壬氏の狙いは猫猫と話すことでした。

「本当に死因は酒の飲み過ぎだと思うか?」

「酒による死因はいくつかあります。慢性的に飲み続ければ臓腑を病ませ、一度に大量摂取すれば死に至る場合もあります」

「仲間うちの宴席で大量の酒をあおったと聞いている。だが、酒はいつもの半分の量だった。酒の飲み過ぎで死んだとは思えないのだよ」

壬氏は酒瓶を取り出し猫猫に差し出します。

「宴席で飲まれていた酒の残りだ。浩然どのが飲んでいたものは瓶がひっくり返って全部流れてしまった」

「では、その中に毒が入っていたら分かりませんね」

そのとおりだ、と答える壬氏はどこかしおらしく、猫猫はやりづらいと感じます。

「いつものようにふんぞり返って命令されたほうが楽なんだが」

そう思いながら猫猫は注がれた酒を飲みます。

「変わったお味ですね。甘みのある酒に塩味をつけているような…」

「浩然どのの好みなんだ。酒も甘口、つまみも甘味で。昔は辛党だったらしいが、突然甘党になったと言っていたな」

壬氏は、浩然の思い出に浸りながら話します。

「それは…糖尿になりますね」

猫猫は容赦なく思い出話を現実に戻します。

猫猫は手酌で酒を継ぎながら嬉しそうに呑んでいます。

「浩然さまの飲んでいたという瓶は手に入りますか?」

「割れて破片になっているが」

構わないと猫猫は言います。

そして、もう一口酒を煽ると、真面目な顔でこう言いました。

「一つ、調べて頂きたいことがあります」

〜薬屋のひとりごと第13話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第13話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】14話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第14話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第14話ネタバレここから〜

壬氏は、猫猫に、「浩然の飲んでいた酒瓶の破片」と「調べ物の結果」を渡します。

猫猫は調べ物の結果を読んで、なるほどな、と頷きます。

そして、割れた酒瓶の破片に付着していた白い粉に指をつけてペロリと舐めました。

これには壬氏も高順もびっくり。

「その白い粉、舐めて大丈夫なのか?」

「これはただの塩ですから、舐める程度なら問題ありません」

「塩?」

「そうです。浩然どのはある日突然辛党から甘党になり、以来甘味しか口にしなかったとお伺いしました」

猫猫は割れた酒瓶のかけらを手にとって、壬氏と高順に見せます。

酒瓶の破片には、たくさんの塩が結晶になってこびり付いていました。

「しかし、どうやら浩然どのの酒瓶には、乾いて粒が残るほど塩がたくさん含まれていたようですね。塩は人体に不可欠ですが、酒と同じく取りすぎると毒になります。飲んだ酒の量と、溶け込んだ塩の量を考えれば、これが原因であってもおかしくはないでしょう」

壬氏は破片を見て狼狽します。

「いや、いくらなんでもこんなものを飲んだら普通味で」

「気づかなかったんですよ」

猫猫は調査結果を差し出します。

「浩然どのの生活習慣です。これを読む限りでは、塩味だけがわからなくなっていたのだと」

「……まさか」

浩然は味覚がなくなる病だったのだと猫猫は言います。

原因の一つに心身負荷があげられます。

真面目な人間ほど心を抑制し、それが病へ変わってしまうのです。

浩然という男は、簡単な報告でもわかるほど有能な官僚で、禁欲的な性格でした。

妻と子を病で亡くしてからは、酒と甘味だけが楽しみだったのです。

「…では、誰かが浩然どのの酒瓶に塩を?」

壬氏はうろたえます。

「それを調べるのは私の仕事ではありません」

ピシャリとした口調で言った猫猫でしたが、こう付け加えました。

「ただ、昨日頂いた酒にも塩は含まれていました。甘口の酒が口に合わない辛党の人間が、肴に出た塩を入れたのだと思います」

猫猫の推理はこうでした。

真面目な人間を毛嫌いする者は多いもの。

酒の席のちょっとした嫌がらせのつもりで、気に入らない人間の酒瓶に悪戯を仕掛けたのです。

それなのに、相手が平気な顔で酒を飲み続けていれば、気づくまで加えてやろうと思うかも知れません。

それを聞いた壬氏は、高順に耳打ちをします。

「わかりました」

高順は、そういうと部屋を出ていきました。

浩然と親しい壬氏になら、心当たりがあるでしょう。

「卑怯だよな。ここまできっかけをあたえていれば、犯人を教えたのも同然なのに。それでも私は、誰かが罰せられる直接の原因になりたくないのだ」

猫猫はそう考えていました。

「すまなかったな助かった」

そう言って立ち上がった壬氏は、黒曜石の房飾りを身に着けていました。喪に服していたのです。

「そんなに立派な方だったのですか?」

猫猫が尋ねると、壬氏は寂しそうに笑いました。

「ああ、小さい頃世話になった」

その様子は普通の青年のようでした。

壬氏は瓢箪に入った酒を取出します。

「礼だ。バレないように飲めよ」

酒好きな猫猫は目を輝かせます。

「ありがとうございます」

深々とおじきをする猫猫に、壬氏は不敵な笑みを浮かべて近づきます。

「感謝している顔に見えないが」

猫猫は途端に毛虫を見る目になります。

「そうでしょうか。それよりお仕事に戻らなくていいんですか。ため込まないうちに終わらせては?」

「真面目に仕事はしている」

図星をつかれた壬氏は目を泳がせます。

「あぁ、そういえば、こんな法案があったな。年若い者が酒に溺れるのをふせぐために、酒は二十歳になるまで禁止せよ、と」

猫猫はその言葉に衝撃を受けます。

「壬氏さま、それ絶対通さないでください」

いつになく必死な顔で、壬氏の袖をはしと掴む猫猫でした。

その顔を見て壬氏は楽しそうに笑みを浮かべます。

「さぁ?私の一存では何もできない」

〜薬屋のひとりごと第14話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第14話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】4巻ネタバレ

4巻
15話16話17話18話
19話20話21話

【漫画 薬屋のひとりごと】15話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第15話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第15話ネタバレここから〜

とある夕暮れ時、壬氏のもとに、一人の使いが現れました。

「先日の報告がようやく届きました」

「園遊会からふた月以上経っているぞ、時間のかけすぎだ」壬氏は厳しい口調でいさめます。

「で、一体誰だ?」

「はい、柘榴宮、風明(フォンミン)、淑妃の侍女頭です」

場面は変わり、後宮の外。

外壁の所に何やら人だかりが出来ています。

「冬場でよかったですね、水死体のわりには綺麗な姿ですよ」

猫猫は、遺体のそばにしゃがんで、こともなげに言います。

今朝、外の堀に浮かんでいた女の水死体が発見されました。

恰好から後宮の女官で間違いないようです。

ヤブ医者についてきてほしいと言われて、猫猫は一緒に検死に来たのでした。

ヤブ医者はぶるぶると震えています。

「嬢ちゃん、代わりに見てくれないかい?」

「だめです。死体には触るなと言われているので」

「それは意外なことだな」

突然周囲がざわめきます。

騒いでいるのは女官たちでした。

壬氏が、高順を連れてやってきたのです。

猫猫は水死体の様子を観察します。

死んだのは背の高い女で、硬い木靴を履き、片足には包帯を巻いています。

指先は真っ赤になっていました。

「水の中は冷たかっただろうな」

猫猫は死んだ女のことを思いました。

壬氏によると、死んだ女は尚食(後宮の料理をするところ)の下女で、昨日まで普通に働いていたそうです。

衛兵の見解によれば、昨夜、塀に登って堀に身を投げた、いわゆる投身自殺ではないか、とのことでした。

「自殺かどうかはわかりませんが、少なくとも一人では無理だと思います」

猫猫は言いました。後宮の城壁は猫猫の4倍ほどあり、登るための道具が一切ないからです。

「一切何も使わずに上ることもできますが、あの下女には不可能かと」

「その方法というのは?」

猫猫は幽霊騒ぎの後、どうやって芙蓉妃が外壁に登っていたのかを疑問に思い、探っていたところ、城壁に突起を見つけました。

職人が利用したと思われるその突起を使って、芙蓉妃は壁に登っていたのでしょう。

芙蓉妃は舞踏が得意だったので登ることができましたが、たいていの女性は難しいでしょう。

「ましてや、あの下女のような纏足の者は」

纏足とは、足を潰して布で固め、木靴に押し込める風習です。

小さい足ほど美しいという基準で行われます。

全ての女性に行われるわけではありませんが、後宮でも、纏足特有の歩き方をたまに見かけます。

「つまり、他殺だと?」

壬氏は、緊張した表情で言いました。

「わかりません、ただ、生きたまま堀の中に落ちたことは確かだと思います。堀から這い上がるために何度も壁をかいたのでしょう。死体の指先が赤く血に染まっていました」

「もっと詳しく調べられないのか?」

「私は死体には触れるなど薬の師に教えられました」

なぜだ?と問いかける壬氏に、猫猫は言いにくそうに答えます。

「人間も、薬の材料になるので…薬の師から触らぬようにと」

好奇心旺盛な猫猫のことだから、一度でを出せば墓荒らしをするかもしれない、と父に止められていたのです。

猫猫にもそれくらいの良識はあるのですが、なんだかんだ言いつけを守っているのでした。

「なるほど」

壬氏も高順も、妙に納得するのでした。

猫猫と小蘭はおしゃべりをしています。

「あ~あれ、自殺だったみたいだね。死んだのは柘榴宮の下女で、園遊会で里樹妃に毒を盛った犯人だったって!」

「…そうなんだ」

先日の事件はどうやら自殺として処理されたようです。

「位を下げて新しい上級妃を輿入れさせるって、結構前から話題だったし。下女が里樹妃に毒を盛ったのは、お仕えする阿多妃を思ってのことだったのかな」

小蘭はなかなかの情報通です。

現在、後宮にいる妃は、

  • 里樹妃(14歳)
  • 玉葉妃(19歳)
  • 梨花妃(23歳)
  • 阿多妃(35歳)

です。

淑妃の阿多妃は、皇帝の一つ上の歳で、東宮のころからの妃でした。

そして、即位前の言皇帝との間にできた男児を一人亡くしています。

阿多妃もまだ子を産むのは可能でしょうが、子を多くなすための後宮と言う制度上、側室を辞退せざるを得ないのです。

翌日、玉葉妃と里樹妃のお茶会が行われました。

この毎日のように行われるお茶会は、妃の立派な仕事の一つでした。

妃同士は腹を探りあうのです。

玉葉妃の出身は、西方にある交易の中継地点となっています。

人や時世の流れをつかむことが重要になるので、玉葉妃はここで得た情報を文にしたため、普段から実家に貢献しているようです。

「歓迎しますわ、里樹妃」

玉葉妃は、里樹妃を和やかに出迎えます。

里樹妃は、緊張している様子です。

里樹妃の後ろには、例の毒見役がいます。

心配するほどの罰は受けなかったようです。

毒見役の侍女は、猫猫の姿を見つけて怯えています。

以前、猫猫は高順に侍女たちが里樹妃をいじめていると報告しました。

金剛宮の侍女たちは、今のところいじめているようには見えません。

「間違いだっただろうか。何もないならそれで幸いだが」

猫猫は思います。

「甘いものは平気かしら?」

「甘いものは好きです」

玉葉妃に尋ねられて、嬉しそうに里樹妃は答えます。

「良かった。柑橘の皮を似た蜂蜜なのだけど、とても体が温まるのよ。最近特に気に入っていて」

玉葉妃の言葉に、里樹妃は青ざめます。

その様子に気が付いた猫猫。

「もしかして蜂蜜もダメなのか?」

里樹妃の侍女たちは、また好き嫌いしているわ、と意地悪を口にしました。

猫猫は、玉葉妃にそっと耳打ちをします。

「愛藍(アイラン:翡翠宮の侍女)、ごめんなさい。これもう少し漬け込んだほうがいいみたい。違うものを出すわね」

ほっとする里樹妃の様子に、金剛宮の侍女たちはつまらなさそうにします。

その様子を猫猫は見逃しません。

「残念だが、高順への報告は間違っていなかったようだ」

猫猫が茶会を終えて廊下へ出ると、そこには壬氏が立っていました。

「里樹妃と玉葉妃の茶会はどうだった?」

どうやらこの茶会は、壬氏の差し金によるものだったようです。

「楽しく過ごされているように見えました」

壬氏を通り過ぎる猫猫。

「話はまだ終わっていないんだが」

壬氏は猫猫に冷たくされて嬉しそうに猫猫の肩をつかみます。

「園遊会毒殺未遂の犯人が、自殺した下女だという話は聞いたか?」

「噂程度には」

「下女は本当に自殺したと思うか?」

「それを決めるのは私ではありません」

「たかが下女ごときが、妃の皿に毒を盛る理由は?」

「私にはわかりません」

壬氏は一呼吸おいて、満面の笑みでこう告げました。

「明日から、柘榴宮に手伝いに行ってもらえないか?」

猫猫には選択肢はありません。

うんざりとした顔をします。

「御意」

〜薬屋のひとりごと第15話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第15話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】16話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第16話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第16話ネタバレここから〜

猫猫は柘榴宮へとやってきました。

屋敷は、それぞれの主の色に染まるもので、玉葉妃の翡翠宮は家庭的、梨花妃の水晶宮は高潔に洗練されていました。

阿多妃の住まう柘榴宮は、古株なだけ物は多いのですが、無駄がなく実用的です。

「風明、その娘は?見ない顔だね」

阿多妃は猫猫を見つけて声をかけました。

「年末の大掃除のお手伝いに」

風明が答えます。

阿多妃には、無駄なものが削り取られ、華や豊満さ愛らしさはありませんが、その分中性的な凛々しさと美しさが際立っていました。

「妃の着る大袖とスカートより、乗馬用の胡服のほうが似合うだろうな」

猫猫は、阿多妃を見て思います。

「阿多さま、今日も麗しい」

柘榴宮の侍女たちは、羨望の眼差しを阿多妃にむけるのでした。

壬氏とは似て非なる魅力です。

本当にこの柘榴宮に、里樹妃を殺そうとした犯人がいるのでしょうか。

「いきなり来てもらってごめんなさいね」

侍女頭の風明が猫猫に言います。

先日、壬氏の報告に上がっていた侍女です。

「まずは書物の虫干しをお願いしてもいいかしら?」

「わかりました」

猫猫は黙々と仕事をこなします。

とても早く仕事を終えるので、風明は感心した様子です。柘榴宮の侍女たちは優秀でした。

皆が妃をよく慕い、行き届いた仕事をしていました。

その中でも、風明は群を抜いていました。

侍女頭として人を扱う術を心得ていながら、本人がよく働くのです。

「後宮になど来なければ、きっといい妻になっていただろう」

と猫猫は思いました。

侍女頭の稼ぎがいいのは分かっていますが、結婚しようとは考えなかったのでしょうか。

翡翠宮の三人娘は、素敵な殿方が現れるのを夢見ていて、よくそんな話をしていました。

妃への忠義とは別に、家庭を夢見るのは自然なことです。

猫猫は風明の仕事ぶりを見て、

「嫁がないのも、妃への忠義心なのでは」

と考えました。

忠義心の強さは、毒殺を行う理由にもなり得ます。

高官が自分の娘を入内させようとしている今、四夫人を下されるとすれば、阿多妃でしょう。

しかし、その前に他の上級妃の座が空けば話は別です。

皇帝は幼い里樹妃は趣味ではないので、彼女のもとへはおそらく通っていません。

里樹妃は、妃としての役割を果たしていないのです。

それが侍女たちに舐められる原因ともなっています。

「侍女が阿多妃のために毒殺するなら、里樹妃を狙うのはおかしい話ではない」

猫猫はそう仮説をたてました。

猫猫は掃除をしながら、たくさんの瓶を見つけます。

それらは全部、蜂蜜でした。

侍女によると、風明の実家は養蜂をやっているとのことでした。

「蜂蜜と言えば最近どこかで」

猫猫は、二階の欄干を掃除しながら考えていると、意外な人の姿を見つけます。

里樹妃と毒見の侍女でした。

木陰に隠れながら、きょろきょろとあたりを見回しています。

猫猫は、先日のお茶会で里樹妃が蜂蜜に怯えていたのを思い出します。

「どうして里樹妃は蜂蜜が苦手なのだろう」

一日たっぷり働いて、猫猫は疲れた様子でため息をつきました。

「お疲れさま」

そこへ風明が現れます。

「夜も遅いし、今日は柘榴宮で休んでいって」

風明は猫猫を自室の前まで呼び寄せると、獣の毛皮を手渡しました。

今夜は冷えるから、と貸してくれたのです。

猫猫は風明の部屋の隅に、布でくるまれた何かが置いてあるのを見つけます。

「ゆっくり休んでね。おやすみ」

風明は、明るい笑顔で猫猫にそう言いました。

「おやすみなさい」

「以上が柘榴宮での出来事です」

猫猫は壬氏に報告をしていました。

「そうか、それで?」

壬氏はくつろぎながら、紅茶に蜂蜜を垂らしています。

「それ以上も、それ以下もありませんが」

猫猫は顔をしかめます。

「こちらは普通の薬屋だ。スパイの真似事などできるわけがない」

心の中で毒づきます。

「怪しい人物がいたんじゃないか?手がかりが必要なら、また柘榴宮に行ってもいいんだぞ」

猫猫は口を開くのを一瞬ためらいます。

根拠のない考えを口に出すのが好きではないからです。

「自殺した侍女の靴は、堀から見つかりましたか?」

「探したが見つからなかった」

「…そうですか。あくまで可能性の話ですが、事件に関与してるとすれば、侍女頭の風明さまではないかと」

ため息をつきながら、猫猫は話します。

壬氏は根拠は、と尋ねました。

「風明さまの部屋を覗いた時、纏足の靴が片方だけ落ちていました」

猫猫は、風明の歩き方には纏足の特徴がなかったので、風明のものではないと思ったことを伝えます。

「どこかで片足だけ拾う出来事があったのだと思います」

「…まぁ、及第点だな」

猫猫はげんなりします。

「何が及第点だ。これ見よがしに蜂蜜を食べておいて。この程度は調べていたのだろう」

猫猫は、風明が何か企てているとは思えませんでしたが、客観的にものを見なければ正しいことにはたどり着かない、と考えを巡らせました。

「いい子にはご褒美をあげないとね」

壬氏は猫猫に迫ります。

蜂蜜の瓶に指をつけると、猫猫に近づけました。

「遠慮します。他の方に差し上げて下さい」

猫猫は壬氏を睨みながら、後ずさりします。

「この変態、顔がいいから何をしても許されると思っている。そういえばそういう人間だったな」

とうとう壁際にまで追い詰められてしまった猫猫は、高順に助けを求めますが、当の高順は見て見ぬふりです。

「甘いものは嫌いなのか?」

「辛党ですので」

執拗に迫る壬氏。

猫猫のほうが立場が下なので、殴ったりして逃げることができません。

「せめてこれが鳥兜の密なら割りきれたのに。

毒花の密はやはり毒か」

もはやこれまで、と目をつぶった猫猫でしたが、その瞬間、何かをひらめきます。

「うちの侍女に何をしているのかしら」

そこに現れたのは玉葉妃でした。

玉葉妃は壬氏を怒って追い出します。

「子猫(シャオマオ)、つい悪戯が過ぎただけなので壬氏さまを許してくださいませんか?」

そう言う高順に、止めなかったくせに…と猫猫は恨みがましい目を向けます。

「いくつか確かめたいことができました」

猫猫は高順にそう言いました。

猫猫は、里樹妃の住まう金剛宮を訪ねました。

里樹妃の部屋に通された猫猫は、尋ねました。

「蜂蜜はお嫌いですか?」

「なんでわかるの?」

驚く里樹妃。

顔に出ていますから、と言われふくれます。

「蜂蜜でおなかを壊されましたか?」

そう聞く猫猫に、里樹妃は首を振ります。

里樹妃がまだ赤ちゃんの時、誤って蜂蜜を口にし、一時は命も危うい状態に陥ったそうです。

それ以来、乳母や侍女たちに蜂蜜は食べるなと言われていたのでした。

「そうでしたか」

「ちょっと!?いきなり来て里樹さまにずけずけと失礼じゃなくて?」

金剛宮の侍女が、猫猫に言いがかりをつけてきます。

先日の茶会では里樹妃を庇いもしなかった侍女が、よくそんなことを言えるなと猫猫は呆れた目をします。

こうやって外部のものを悪役に仕立てて、味方のふりをしているのでしょう。

幼い里樹妃は、侍女たちに頼らざるを得ないのです。

だから本人はいじめに気付けず、表ざたにもならなかったのです。

「私は命を受けて来ました。言いたいことがあるなら、壬氏さまに直接どうぞ」

猫猫は一つ、壬氏に嫌がらせを仕掛けました。

蜂蜜の仕返しです。

「里樹さま、もう一つだけ。柘榴宮の侍女頭、風明さまとは面識はありますか?」

里樹妃の表情に困惑の色が見えます。

「それは」

口ごもる様子に、猫猫は高順と目配せをします。

「できればそのお話、詳しくお聞かせください」

猫猫は高順に頼んで、後宮の出来事を記した書物を読ませてもらいます。

17年前、現帝がまだ東宮だったころ、阿多妃との間に男子が生まれました。

同時期には、先帝の御子―今の皇弟も生まれています。

阿多妃の男子だけが、乳幼児期に死亡。

その後、先帝が崩御し、新しく後宮ができるまで、現帝の子は生まれていません。

当時の妃は阿多妃だけだったのです。

意外にも、帝は10年以上、1人の妃と連れ添っていたのです。

現帝と阿多妃は乳姉弟であり、愛着があったのかも知れません。

猫猫は、書物の文字を指でなぞります、「十六年前の乳幼児死亡、子を取り上げたのは―」

そこにあったのは、見覚えのある名前。猫猫の父の名前がありました。

「なにしてんだよ、おやじ」

〜薬屋のひとりごと第16話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第16話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】17話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第17話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第17話ネタバレここから〜

猫猫は、風明を訪ねました。

「玉葉妃からの文」

と言って猫猫は箱を持ってきました。

そして、その箱の中身を風明に見せると、風明の顔色が変わりました。

「風明さまにお話ししたいことがあります」

「わかったわ、中に入って」

風明は猫猫に茶菓子を振舞います。部屋にはほとんど物がなく、片づけられていました。

「いつ柘榴宮から引っ越されるのですか?」

「察しがいいのね」

荷物がまとめられているのは、新年の挨拶とともに、新しい上級妃を迎えることが決まったからなのでしょう。

阿多妃は、この宮を去らなければならないのです。

皇帝と乳姉弟という実の両親よりも深い関係が、彼女の今の地位を保っていたに過ぎなかったのです。

せめて17年前に生まれた男児が生きていれば、状況は変わっていたかもしれませんが…。

阿多妃は青年のような凛々しい姿をしていて、女らしい匂いはしませんでした。

「阿多妃は、もう子を産めないのですね。出産時に何かあったのですね」

「あなたには関係のない話ではなくて」

突然の猫猫の言葉に、風明は冷たく返します。

「関係ない話ではないです。出産の場にいたのは私の養父なので」

それを聞いて風明は、突然立ち上がります。

無表情を崩していません。

「不幸なのは、皇弟の出産と重なったことでしょうか。皇后と天秤に掛けられ、後回しにされた阿多妃は難産だったのでしょう。その時ですね、阿多妃が子宮を失ったのは」

その後、なんとか無事に生まれた子も、幼くして亡くなってしまいます。

「責任を感じているのでしょう?」

猫猫は風明に言います。

体調の良くない阿多妃の代わりに生まれた子のお世話をしていたのは風明だったはずです。

「…何もかも知っているのね。阿多さまを助けることもできなかった、やぶの娘なのに」

冷たい表情で風明はそう言いました。

「亡くなった子の死は、毒おしろいが原因だと言われていますが、それは違いますよね。あなたの言うやぶ医者は、鉛白入りのおしろいを使うのを禁じていたはずです。聡明なあなたが、それによって赤子を死なせることはない」

猫猫は、さきほど風明に見せた箱を開けます。

「本当の死因はこれです」

中に入っていたのは、つつじの花と蜂蜜の入った小瓶でした。

鳥兜や蓮華つつじのように、毒を持つ花は多くあります。

そして、毒を持つ花は密にも毒性があります。

実家が養蜂を営む風明は、当然そのことも知っていました。

「でも、あなたは知らなかった。毒を含まないただの蜂蜜が、毒見をした上で、滋養にいいと与えていた薬が、抵抗力の弱い赤子には致命的な毒になることを」

そして、阿多妃の子は息絶えてしまいました。

死因は謎として。

当時医官だった猫猫の父、羅門(ルオメン)は、出産時の処置も含め、度重なる失態により、肉刑として片ひざの骨を抜かれます。

そしてその後、後宮を追放されます。

「阿多妃には知られたくなかったんですね。自分が唯一の子を殺した原因だと。だから里樹妃を消そうと考えた」

猫猫は、里樹妃を訪れた際に、風明さまと以前から面識はあるか?と尋ねていました。

先帝妃時代、里樹妃は年上の嫁である阿多妃に懐いていました。

阿多妃も里樹妃のことを可愛がっていました。

親元から離れた幼い娘と、もう子供を持つことのできない女性は、寄り添うように後宮で生きていたのです。

そんな中、風明は里樹妃からあることを聞きます。

里樹妃が赤子のころ、蜂蜜を食べて生死の境を彷徨ったことです。

もし、里樹妃が阿多妃のもとを通い続ければ、そのことを阿多妃に話すかもしれない、と風明は思いました。

そして、風明は訪れる里樹妃を追い返すようになりました。

そのうちに先帝が崩御し、里樹妃は拒絶された理由も分からず、出家していったのです。

ところが、里樹妃は再び後宮に現れました。今度は同じ上級妃-阿多妃を追いやる立場として後宮に戻ってきたのです。

そして里樹妃は、図々しくも、母親を求めるように、阿多妃に会いに来ようとしたのです。

「だから消そうと思った」

猫猫の話を聞いて、風明は笑みを浮かべて口を開きます。

「欲しいものは何?」

「そんなものはありません」

猫猫に緊張が走ります。

風明の背後には、包丁がきらっと光っています。

「そんなの意味がないことを、ご自分で分かっているでしょう?」

しばらくの沈黙の後、風明は猫猫に尋ねます。

「あなたには大切な人はいるかしら?」

風明は、ずっと親に言われるがままに行動し、言われるがままに侍女になりました。

阿多妃は、女でありながらしっかりした意思を持ち、東宮と同じ目線で話せる人物でした。

心から阿多妃を尊敬した風明にとって、阿多妃が一番大切な人でした。

「ねぇ、自分の一番大切な人の、一番大切なものってわかる?私はそれを奪ってしまったのよ!この世で一番大切なものをこの手で!

風明は悲しみと怒りに震えて叫びました。

赤子が死んだとき、阿多妃はこう言っていました。

「子供は七つになるまでわからないものだ。子は天の命に従ったのだ」

阿多妃が毎夜泣き明かしていることを風明は知っていました。

後悔と自責の涙を流す風明。

その姿を見て、猫猫はどのような思いで17年間仕えていたのだろう、と思いました。

猫猫の動きは高順によって報告されていて、壬氏に隠し事はできません。

もしここで猫猫を消して事件を隠そうとしても、風明が極刑を逃れるすべはありませんでした。

そして、そのことを風明は十分理解していました。

「私に提案があります」

猫猫は泣き崩れる風明に言葉をかけます。

「結果は変わりません。それでもよろしければ、どうか受けてください」

「というわけで、風明が自首してきたのだが、何か知らないか?」

「なんのことだかわかりませんが、犯人が自首してくるなんて良かったじゃないですか」

しらを切る猫猫に、壬氏は追及しますが、かわされてしまいます。

「風明の動機は、阿多妃の四夫人の座を保つためだったそうだ」

猫猫の提案は、二つあった動機を一つにすることでした。

自身の死は免れなくても、阿多妃に赤子の死因を隠すことはできます。

それが権力もない猫猫にできる最大限でした。

「しかし、阿多妃は上級妃を下りることが決定している。もともと決まっていたことだ」

壬氏はそう言いました。

阿多妃は後宮を出た後、南の離宮に住まうことになりました。

離宮で囲うのは珍しいことですが、すべて皇帝の判断だそうです。

「そうですか」

猫猫は、窓の下につつじの花が飾られているのを見つけます。

そして、花を取って蜜を吸いました。

壬氏も真似をして吸ってみます。

「甘いな」

「毒ですけどね」

慌てて吐き出す壬氏。

その様子を猫猫は笑みを浮かべてみています。

「死ぬことはないので大丈夫ですよ」

〜薬屋のひとりごと第17話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第17話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】18話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第18話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第18話ネタバレここから〜

風明の処刑は滞りなく終わりました。

猫猫は外壁に登り、月を眺めています。

綺麗な月だ、と猫猫は思います。

そして壬氏にもらった酒を残しておけば月見酒ができたのにと残念がるのでした。

「おや、先客か?」

そこ現れたのは、淑妃の阿多妃でした。

「この間手伝いに来ていた侍女だな」

猫猫は場所を空けようと、降りようとしますが、阿多妃が止めます。そして猪口を差し出します。

「一杯付き合わないか?」

猫猫と阿多妃は並んで晩酌をします。

猫猫は阿多妃をちらっと見ます。阿多妃は誰かに似ているような気がしました。

「男のようであろう?」

「そのように振舞っているようにも見えます」

猫猫の答えに、阿多妃は正直者だなと笑いました。

明日、阿多妃は後宮を去ります。

「ずっと私は皇帝の友人だったんだ。即位前に最初の相手として指南役になっただけ。だから、息子がこの手からいなくなってからは、乳飲み子の時から一緒にいた幼友達に戻った」

阿多妃は、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎます。

「まさか淑妃に選ばれるとは思わなかったよ。お情けでやっていた飾りの妃を、早く誰かに受け渡したかった。なのに何故、こんなにもすがりついていたのだろう」

明日には後宮を去る阿多妃の、誰に対するでもない独白です。

猫猫は何も言わず、静かに聞いています。

阿多妃は立ち上がると、酒を堀へと流します。

「水の中は寒かっただろうな、冷たくて苦しかっただろうな」

自殺した下女の苦しみを想い、弔ったのでした。

「バカだよな。みんなバカだ」

「…そうかも知れません」

酒瓶からぽたぽたと水滴が垂れます。

阿多妃の涙も混じっていたのかもしれません。

猫猫は、阿多妃が外壁を降りていくのを見送ります。

そして考えを巡らせました。

やはり、あの下女は自殺だったのでしょう。

風明が自ら絞首台に登ったように、下女もまた、阿多妃に嫌疑がかからないよう、自分の意思で冷たい水の中に沈んだのでしょう。

強い風が吹き、猫猫は寒さに震えます。

「…私もそろそろ降りるか」

外壁を降りる途中で、男の声がします。

「そこでなにをしている!」

驚いた猫猫は思わず外壁を登る手を離してしまい、背中から落ちてしまいます。

「…誰だよ、いきなり」

猫猫は痛みに呻きますが、思ったよりは痛くありませんでした。

「悪かったな」

猫猫は壬氏を下敷きにしていました。

「うわっ、壬氏さま、なぜここに?」

「それは俺のほうが聞きたい」

壬氏が受け止めてくれたので、猫猫は怪我をしなくて済んだのです。

仁氏の膝に乗るような形になっているのに気が付き、猫猫はどこうとします。

その時、壬氏は猫猫に抱きつきました。

「…あの壬氏さま。離して頂けますか?」

「…寒いから、やだ」

壬氏は酔っているようでした。

付き合いをしていたそうです。

風邪を引くから部屋に戻るよう促す猫猫に、壬氏はぼそぼそと話します。

「…家主は、俺を酒に誘って飲ませるだけ飲ませた挙句、どこかへ出かけてしまった。戻ってきたと思ったら、すっきりしたから帰れと追い出された」

猫猫は、壬氏をそんな風に扱える人物が後宮にもいるのかと驚きます。

ですが、べたべた引っ付く酔っ払いに付き合っていられない、と拘束を解いてもらおうと、もぞもぞ動きます。

「…あの、壬氏さ……」

猫猫が振り返ると、壬氏は涙を流していました。

壬氏は猫猫を抱きしめる手に一層力を入れます。

「もう少しだけだ。少しだけ温めてくれ」

猫猫は小さくため息をつくと、壬氏の膝の上で、ぼんやりと月を眺めるのでした。

翌日、阿多妃が後宮を去るにあたって、冠を返還する儀式が行われました。

後宮を取り仕切っている壬氏が、その冠を受け取ります。

達成感さえ見える堂々とした阿多妃の姿は、後宮を追い出される哀れな女ではありませんでした。

猫猫はその様子を見守ります。

阿多妃と向かい合う壬氏を見て昨夜、阿多妃が誰かに似ていると思ったのは、壬氏のことだと気が付きました。

「息子がこの手からいなくなってから」

突然、阿多妃の言葉が猫猫の脳裏に浮かびます。

いなくなってから?死んでからではなく?

まるでまだ生きているようにも捉えられる言い方です。

ほぼ同時に生まれた皇弟と阿多妃の子供が、取り換えられていたとしたら?猫猫は考えを巡らせます。

皇太后の出産と重なったことで、子を産めなくなった阿多妃は、皇太后のもとに生まれてきた赤子の方が、より庇護を受けることを実感します。

産後の肥立ちが悪い阿多妃に、何が正しいのか判断などできなかったかも知れません。

しかし結果として、己の息子が助かったのであれば、それは阿多妃の本望だったでしょう。

後日入れ替わりが発覚して、それも本物の皇弟が死んだ後だったとすれば、赤子の入れ替わりに気付けなかったとして猫猫の父・羅門が肉刑まで受けたことにも納得がいきます。

だとすれば、皇弟が今狭い立場にあることも、潔い阿多妃が後宮にとどまり続けた理由も―。

「実にくだらない。ばかばかしいくらいの妄想である」

猫猫は想像を打ち消しました。

「お待ちください!お待ちください、里樹妃さま」

去っていく阿多妃の背を追いかけて、里樹妃が走ってきます。

どうしても最後の別れをしたかったのでしょう。

「阿多さま!」

里樹妃は、裾を踏んづけてしまい、無様に転んでしまいました。

失笑する金剛宮の侍女たち。里樹妃は恥ずかしさと悲しさで、顔を涙でぐちゃぐちゃにしています。

阿多妃はかがむと、里樹妃の頬に手を添えました。

猫猫には、青年のように凛々しい妃の顔が、母親のように見えたのでした。

〜薬屋のひとりごと第18話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第18話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】19話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第19話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第19話ネタバレここから〜

風明の処刑後、風明の親族は財産を奪われ、重さの違いはあるがすべて肉刑に処されました。

犯行は風明の一存であるとされ、主である阿多妃に沙汰がなかったのは幸いでした。

風明の実家は養蜂以外にも手広く商いをしていたらしく、関係者の数は多かったのです。

後宮内にも80人ほどの子女がいました。事件に関与した風明の関係者を雇うことはできません。

壬氏は人員の整理に追われていました。

関係者の名簿の中には、猫猫の名前がありました。

どうやら、猫猫がかどわかされて身売りされた先が、風明の関係者だったようです。

「どういたしましょうか?壬氏さま。お望みであれば隠ぺいしますが」

壬氏は悩んでいました。

壬氏が猫猫を手元に置いておきたい、と思えば叶うでしょう。

猫猫は、平民と貴人の区切りをつけたがります。

どんなに嫌な命令でも、受け止めるでしょう。

でも、もしそれが彼女の意に反しているのでどうでしょうか。

好きでもない場所に、引き留められた時が付いた時、どのように受け取られるのか、壬氏は恐れていました。

平民と貴人、区切られた境界の隙間が、これ以上開くのが嫌だったのです。

「壬氏さま、都合の良い駒ではなかったのですか?」

苦悩する壬氏に、いさめるように高順が声をかけました。

「大量解雇?」

「そうだよ、例のお家と取引のあった家の娘は全員やめなくちゃいけないんだって。これが結構な人数になるみたい」

猫猫と小蘭は井戸端会議中です。

さすがの情報通、小蘭はもうその情報を仕入れていました。

「なんだか嫌な予感がする」

と猫猫は思います。

猫猫が以前、確認した書類上の実家は、交易を行っている商家でした。

風明の実家と何らかの接点はあるかもしれないと考えたのです。

「今解雇とか、かなり困るんだが、いや花街に戻れるのは嬉しいが、時期が悪い」

猫猫は、以前里帰りする際の李白の妓楼代を、やり手婆に借金していました。

上客を送り込むから、と目をつぶってもらったものの、それができなければ、猫猫に妓楼で客を取らせると言われていたのです。

「今帰れば、確実に売り飛ばされる!」

猫猫は怯えます。

「…壬氏さまっ」

遠くから猫猫は壬氏を呼び止めます。

「珍しいな、息が荒いぞ」

「あっあの」

「落ち着け、顔が真っ赤だ」

話があるという猫猫に、壬氏は覚悟した顔で彼女を中に通します。

「今度の大量解雇のことだろう?」

「はい、私はどうなるのでしょうか」

壬氏は猫猫に名簿を見せます。

その中には、「翡翠宮 猫猫」の文字がありました。

「つまり解雇というわけですね」

「どうしたい?」

猫猫はスカートのすそを握りしめます。

「私は、ただの女官です。言われるままに下働きでも、まかないでも、毒見役でも、命じられればやります」

猫猫は、心の中で叫びます。

そうだ、命令されればできることはできるだけやり遂げる。多少給金が下がっても文句は言わない。身売りまでの執行猶予ができれば、新規顧客を捕まえて何とかする。だから、解雇にしないでくれ!!

思いつめた表情の猫猫を見て、壬氏は口を開きます。

「わかった」

「それでは」

ぱぁっと顔を輝かせる猫猫。

しかし―

「金ははずもう」

壬氏は苦渋の決断といった表情です。

落ち込んですらいます。

猫猫は後宮にはいたくないと思い込んでいる壬氏と、解雇しないで欲しいと口に出して言えなかった猫猫。

二人はとことんすれ違ってしまいました。

解雇通知の翌週、猫猫は花街へと帰って行きました。

世話になった場所、一軒一軒に挨拶して回ったそうです。

さて、高順は困り果てていました。壬氏が膝を抱えて、落ち込んでいます。

これでは仕事になりません。

玉葉妃には

「後悔しても知らないわよ」

と捨て台詞まで吐かれて、壬氏はもう、ボロボロです。

「やっぱり引き止めれば良かったのでは」

「何も言うな」

高順は、壬氏の幼少期を思い出します。

お気に入りの玩具をなくした壬氏に、新しい玩具を与えるのは骨が折れることなのです。

あの玩具がいいと言って新しい玩具を拒む、小さいころの壬氏の姿が思い出されます。

「いや、あの娘を玩具と一緒にしてはいけないのかもしれない」

高順はそう思います。

「玩具として扱いたくなくて、引き止めるのをやめのだから」

手間のかかるやっかいな主人にため息をつきながら高順は考えます。

「代替がだめなら、本物を用意するしかないか」

〜薬屋のひとりごと第19話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第19話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】20話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第20話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第20話ネタバレここから〜

花街へ戻った猫猫は、あでやかな衣装に身を包んでいました。

やり手婆はどうしても猫猫を妓女にしたいようです。

猫猫は詩歌も吟ぜず、二胡も弾けず、舞踏もできません。

薬学以外に興味もない薬屋の娘なのに、どうにもここ数年、その動きが顕著です。

「仕事だよ、行ってきな」

猫猫は、やり手婆に馬車に乗せられます。

今夜の仕事は、妓楼の外で行われる貴人の宴でした。

妓女を屋敷の呼ぶのにはそれだけ費用が掛かります。

その上、一晩の酌で一年の銀が消える緑青館の三姫-梅梅、白鈴、女華をまとめて呼びつけるほどの上客でした。

猫猫は馬車で一緒に揺られながら、金はあるところにはあるものであると思いました。

「自分の役目は引き立て役だ。せめて客の杯が空かぬよう、目を配らせよう」

ため息をつきながら猫猫は、宴に臨む覚悟を決めるのでした。

屋敷は目のくらむような調度品ばかり、よほどの金持ちであることが伺えます。

猫猫と三姫たちは部屋に通されました。

ずらっと並ぶ三姫たちに、高官たちは見とれます。

李白の紹介の宮廷高官と聞いていましたが、思ったよりは年若い印象です。

「こんな金持ちがいるなら、もっと早く紹介してくれよ、李白の縁なら借金も少しは減っただろうに」

と猫猫は思います。

後宮を出る際に思ったより報酬をはずんでもらえたので、とりあえず身売りは免れているのでした。

猫猫は慣れない笑顔を張り付けて、お酌して廻ります。

顔が引きつってきたところで、膝を抱えてどよんとしている高官を見つけます。

「つまらないのか?」

他の妓女たちはみな客の相手をしています。

「仕方ない」

猫猫はそのお客の相手をすることにしました。

「失礼します」

「一人にしてくれ」

猫猫が言いかけたところで、その客は言葉を遮りました。

「…一人になりたいんだ」

猫猫はその声に聞き覚えがありました。

猫猫は顔を隠すようにうなだれている客の前髪をかき分けます。

「壬氏さま?」

なんと、その客は壬氏でした。

「…お前」

壬氏の目の下にはくまがあり、やつれた様子です。

「化粧で変わるって言われないか?」

「…よく言われます」

会いたくて仕方のなかった猫猫を目の前にして、壬氏は思わず猫猫の手を取ろうとします。

が、猫猫はひょいっと交わしました。

「なんで逃げる」

「妓女には触れないでください」

「そもそも、なんでそんな恰好を?」

「アルバイト中です」

「妓楼でか?」

途端に壬氏は青ざめて震えます。

「……もしかして」

猫猫が客を取って夜伽を行ったのではないか、と疑ったようです。

「別に個人で客を取ったりしてませんよ、まだ」

「まだ…」

今のところは事なきを得ている猫猫でしたが、やり手婆が客を連れてくる可能性もなきにしもあらずでした。

「なら俺が買ってやろうか?」

冗談でしょう、と言いかけた猫猫でしたが、思い直します。

「…いいかも知れませんね」

その言葉に期待を高める壬氏。

まさか猫猫を身請けできる…?

「もう一度、後宮勤めも悪くないです」

ガクッと壬氏は崩れ落ちます。

「あそこが嫌でやめたんじゃないのか?」

「はぁ?そんなこといつ言いました?続けたいと打診したのに、解雇したのはそちらでしょう」

猫猫は、すねたような表情を見せて言いました。

「確かに面倒事は多かったですが、毒見役などなろうと思ってなれるものじゃありませんし。頂けないのは、毒実験ができないことくらいでした」

猫猫の言葉に壬氏は、力の抜けた、ほっとしたような笑みを浮かべます。

「毒実験はさすがにやめろ。そうだよな、お前。そういうやつだよな。言葉が足りないって言われないか?」

「…よく言われます」

壬氏はまた、手を伸ばし、猫猫に触れようとします。

猫猫は「規則ですから」と避けるのですが、壬氏は諦めません。

「片手だけ、指先だけだ」

しばらく押し問答が続きます。

粘着質な壬氏の性質を思い出し、ため息をついて猫猫は観念しました。

「指先だけですよ」

そう言った猫猫に、壬氏は自分の指先を猫猫の唇に押し当てました。

そして、猫猫の紅が付いた指を自分の口に当てたのです。頬を染めてにっこりと笑う壬氏。

あまりの出来事に震える猫猫でしたが、壬氏の表情を見て、顔を赤く染めてそむけました。

「…う、うつるじゃないか」

くすくすと笑い声が聞こえました。

妓女たちが様子を伺って微笑ましそうに笑っています。

そして気づけば、高順が立っていました。

「高順さま!?」

いい仕事した、という風に汗をぬぐう高順。

「ええ?」

猫猫は事態を飲み込めず、きょろきょろと慌てるのでした。

数日後、花街に麗しい貴人が現れました。

壬氏です。

やり手婆も目が眩むほどの金子と、虫から生えた奇妙な草を持ってやって来ました。

彼の目的はただ一つ。

一人の娘を所望したのです。

やり手婆から猫猫を借金ごと買い取り、貴重な薬草は猫猫を自分のもとへ呼び寄せるための贈り物でした。

こうして、猫猫は再び宮廷へと戻ることになったのです。

〜薬屋のひとりごと第20話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第20話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】21話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第21話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第21話ネタバレここから〜

猫猫を迎えに来るために、充分な金子と貴重な薬草を持って緑青館へとやって来た壬氏。

契約書に判を押すのに時間はかかりませんでした。

契約書を見た羅門は、一瞬曇った表情を見せましたが、好きにしなさい、と猫猫の意思を尊重しました。

猫猫は、借金を肩代わりしてもらったうえで、一度は解雇された場所に戻ることになったのです。

「はいはい、これもこれも、あとこれも持っていきな」

梅梅は、猫猫に次々と化粧道具を持たせます。

「ねぇ、こんなにいらないよ梅梅姉ちゃん」

「いらない?あっちじゃもっといいもの使ってる奴らばっかりなんだからね!」

「仕事行くのに洒落るのは妓女くらいなもんでしょ」

消極的な猫猫に、梅梅は言います。

「あんたさぁ、せっかく良い仕事もらえたのに、それに見合う人間になろうって思わないの?恵まれた立場にいるんだから、そこんとこ感謝していかないと、折角の上客が逃げちゃうよ」

梅梅の言葉には説得力がありました。

彼女は妓女としては引退も考える年齢ですが、今もなお人気が衰えないのは、歌や碁や将棋で楽しませる知性があるからです。

「猫猫」

今度は女華が声をかけます。

「いいところに勤められて良かったね。しっかり稼いでおいで」

「はい、わかりました」

そう返事をする猫猫に、二人は金持ちの旦那を見つけろ、とか上客を連れてこい、などと口ぐちに言うのでした。

「ただいま」

猫猫は大荷物を背負って、実家に帰ってきました。

「おや、たくさん貰ったねぇ」

「こんなに貰っても荷物に入らないのにさ。どうしよ、これ。すり鉢も薬研も帳面もいるだろ。これ以上、下着を減らすのもなぁ」

悩む猫猫に羅門は声をかけます。

「これは多分持っていけないよ。医官でもないのに、調合道具なんて持ち込めば、何か企んでいるのかと疑われる」

猫猫はその言葉にショックを受けます。

「そんな顔をしない。お前が決めたことなんだから」

少しずつ許可を取れば持ち込めるものもあるだろう、と羅門は猫猫の頭にポンと手をやりました。

「明日が初日なんだから、準備ができたら早く寝なさい」

「…わかったよ」

羅門は、足をひょこひょこさせながら火の様子を見ています。

昔肉刑で抜かれた膝をさする様子は痛々しいものがありました。

養父を一人で残していくことに、不安がないわけではありませんでした。

明かりを消すと、猫猫は自分の布団を羅門の布団にくっつけます。

「なんだい随分久しぶりだねぇ」

「もう子供じゃないんじゃなかったのかい?」

「今日寒いし」

羅門は嬉しそうに頬を緩めます。

「また寂しくなるねぇ」

「別に。今度は規則も緩いから」

「そうだね、いつでも帰っておいで」

そう言って羅門は、猫猫の頭をなでました。

猫猫はその手のぬくもりを感じながら思います。

「母親はいない。でも母親のように優しいおやじと、うるさい婆と賑やかな姉ちゃんならたくさんいる。大丈夫、いつでも帰ってこれるからさ」

〜薬屋のひとりごと第21話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第21話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】5巻ネタバレ

5巻
22話23話24話25話
26話

【漫画 薬屋のひとりごと】22話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第22話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第22話ネタバレここから〜

猫猫は高順に宮殿を案内されていました。宮殿はとても広く、建物の数は、手足の指では足りないほどでした。

「てっきり後宮に戻るものと思っていました」

「一度やめさせた手前、そう簡単に戻ることはできません。子猫は今後こちらの外廷で働くことになります。」

外廷とは、簡単に言えば役所がそろった官たちの職場です。

後宮は、皇族の住まう内廷に当たります。

高順に連れられて歩く猫猫を、女たちが物陰から忌々しそうに見ています。

新入りの観察でしょうが、嫌な予感がします…。

壬氏は猫猫を何かしらの役職につけようと、試験を受けさせました。

しかし、猫猫はその試験に落ちてしまいました。

「試験と言っても、科挙ほど難しいものではないだろうに。なぜ落ちる?」

猫猫は遊郭育ちで、読み書き詩歌などの最低限の教育は受けているものの、勉強は好きではありませんでした。

薬に無関係な物覚えは人並み以下だったのです。

「むしろ何故受かると思っていたのだろう」

猫猫は心の中で開き直りました。

そうして、外廷勤務することにはなったものの、仕事の内容は、後宮の下女と変わりませんでした。

猫猫は水桶を運び、拭き掃除をしています。

どうも後宮に比べて、掃除が手抜きのように思われました。

外廷の官女は書記官のようなもので、資格を持っていて、家柄と教養がありました。

わざわざ仕事でない掃除をする必要はなかったのです。

猫猫は、壬氏直属の下女として、雑用を行っていました。

「あなた何様のつもりかしら?」

掃除をしていた猫猫に、数人の官女たちが立ちはだかります。

「どうしてあなたみたいな子が、あの麗しい壬氏さまの直属で働いているのよ!?」

そんなこと言われても、雇われただけなんだけど、と猫猫はうんざりします。

「えっとつまり、あなた方は私に嫉妬しているのですか?」

官女は猫猫の頬を張りました。

「自分の言葉選びが下手なのは分かっていたが、やはり言葉を間違えたらしい」

猫猫は官女たちに追いやられ、壁際にまで追い詰められます。

官女は5人。

5人がかりのリンチは避けたいところです。

「まさか私が特別扱いをされていると?そんなことあるわけないでしょう。あの天女のようなお方が、このような醜女を相手にするはずないですから。それに目の前にあなたたちのような鮑や猪肉があるというのに、わざわざ鶏の骨を食べたいだなんて。まさか彼の方は、そのようなマニアックなのでしょうか?」

猫猫は官女たちを持ち上げて、説得に当たります。

「そ、そんなわけないじゃない!」

壬氏がマニアックなはずないと、官女たちは言い返します。

「それなら、なぜあなたが雇われているの?」

一人の官女が落ち着いた様子で問いかけてきました。

とても美しい女性なのですが、化粧が惜しいと猫猫は思いました。

この官女だけは、最初からやけに落ち着いていた気がしました。

猫猫は袖をまくり、包帯をとって見せます。

「理由はこれです」

包帯をとって現れたのは、痛々しくただれた傷跡でした。

最近、やけど薬の実験をして自ら炙った傷跡です。

官女たちはそれを見て恐れをなします。

「わかって頂けましたか?あのお方はお心まで天女なのです。私のようなものにも食い扶持を与えてくださるのですから」

猫猫はウソ泣きをして、同情を買う作戦に出ます。

「…行こうか」

官女たちは去っていきました。

ようやく終わったな、と猫猫がため息をついて持ち場へ戻ろうとすると、壬氏の姿がありました。

恐ろしい女の戦いを見かけて、隠れていたようです。

「お前いつもああいうのに絡まれているのか」

「後宮女官より数は少ないので、大丈夫ですよ」

そう言うと猫猫は別の掃除場所に向かおうとします。

「…マニアック」

壬氏がぼそっとつぶやきました。

「別に悪いことは言ってないはず」

と猫猫はそそくさとその場を立ち去るのでした。

猫猫は壬氏から与えられた部屋に、薬草を集めて吊るしていました。

調合するにはどうにも種類が足りない、と猫猫は悩みます。

悩みながら猫猫は、大切にとってある箱を開けます。

中には、壬氏が花街へ迎えに来る時に持ってきた冬虫夏草が入っていました。

「欲求に負け二つ返事で署名したが、今考えるとちと軽率だったかもしれないな」

そう思いながらも、箱の中の冬虫夏草を見ると笑いが止まりません。

「ぐふっ」

先日夜中に奇声を発していたら苦情が来たので、止めなくてはと思う猫猫でしたが、冬虫夏草を見るとうれしさのあまり、不気味な笑いが止まらないのでした。

「水連(スイレン)おかわり」

「はい、ただいま」

壬氏は寝間着姿のまま朝食をとります。

その姿は色気に溢れていました。

「この部屋に高順と初老の侍女しか入らない理由がよくわかる」

と猫猫は思います。

女なら色気にあてられのぼせあがり、男なら性別の垣根を超え押し倒していることでしょう。

「今の部屋は手狭ではないか?」

壬氏は猫猫に声を掛けます。

「私のような下女には十分なつくりのものを与えられていると思いますが…」

本音を言うなら猫猫はもっと広い部屋で、井戸に隣接し釜土のある部屋に移り住みたいと思っていました。

そのほうが薬を調合するのに都合がよいからです。

「本当か?お前が良ければ新しい部屋を用意させよう」

すると高順が何かを言いたげに猫猫を見ています。

切迫した表情です。

「言いたいことは、はっきりいってくれないとわからない」

と思いつつも、新しい部屋が欲しいとは言えない雰囲気です。

「では、井戸が近くにある厩(うまや)でも」

「厩は却下だ」

猫猫は少ししょんぼりします。

壬氏の数少ない侍女は、名を水連といい、五十路にしてこの広い棟を一人で切り盛りしていた人物でした。

口がよく回り、仕事も早く、動く手も止まりません。

「でもあなたが来てくれて助かったわ。さすがにこの齢でこの広さは辛くて」

何度か新しい侍女を入れたことはあったのですが、続きませんでした。

壬氏の持ち物が盗まれたり、見たこともない下着が箪笥に入っていたり…。

そして、それは人毛で縫われていたと言います。

さすがに猫猫もその話を聞いてぞっとします。

「もういっそ、お面でもかぶって生きていけばいいのに」

と思う猫猫でした。

執務室に来客があったため、掃除のできない猫猫は、外廷内を散歩します。薬草を探すのが目的でした。

西側は大体散策してしまったので、東側を周りたいと考えています。

東側には軍部があるので、下女がこそこそとしていれば密偵と間違われるかもしれません。

「軍部と言えば、名前を出すのもおぞましいあいつが…」

うろうろしている猫猫の頭を、いきなりげんこつで殴ってきた人物がいました。

「ここで何しているんですか」

そこにいたのは、先日猫猫を取り囲んだ官女の一人でした。

「あのもったいない化粧の官女か」

「ここから先はあなたの立ち入る場所ではないはずです」

「今後は気を付けます」

軍部の方から来たということは、彼女は武官のお付きなのでしょうか。

「それでは」

そっけなく立ち去る官女。

その時、不思議な匂いが猫猫の鼻をかすめます。

「白檀と独特な苦みを帯びた匂い。あれは一体…?」

猫猫は再び東側に足を踏み入れようとしますが、昼の鐘が鳴ります。

今回は戻ることにしました。

「あーあ、主人が出かけていればいいけど」

〜薬屋のひとりごと第22話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第22話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】23話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第23話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第23話ネタバレここから〜

早朝、猫猫は朝一番から床掃除をさせられていました。

大きなあくびをします。

他にも仕事があるような気がしますが、壬氏の部屋付きとして何をすればいいのか、猫猫には思いつきませんでした。

考え事をしながら床掃除をしていると、壬氏が現れました。

「朝餉でしたら、睡蓮様が今準備されていますが…」

「新しい淑妃が来たことで、後宮としては妃教育をしたいそうなんだが。そこで、お前に講師をしろとのことだ」

猫猫はしばらく黙ると、踵を返そうとします。

「ご冗談を」

「何が冗談だ」

壬氏にしっかりと肩をつかまれてしまい、逃げられません。

「国の将来をかけた教育と言うべきものだぞ。こっちにはこれもある」

壬氏は一枚の紙を、猫猫に見せます。

そこには、推薦人として賢妃 梨花妃の名前がありました。

なぜ、梨花妃が?

「あっ」

猫猫は以前、梨花妃に「妓女直伝の秘術」を授けたことを思い出しました。

さらに翌日、同じ内容の文が玉葉妃からも届きました。

こちらにはご丁寧に、褒賞の額までもが記されていました。

これを書いた玉葉妃が楽しそうに笑っている姿が、猫猫の目に浮かびます。

「仕方ない」

二人の妃から推薦されてしまったということで、さすがに無視はできなくなってしまった猫猫。

猫猫を講師とした、後宮教室が開かれることとなりました。

数日後、たくさんの荷物が、外廷に届けられました。

猫猫は、緑青館のやり手婆に「教材」の手配を頼んだのです。

もちろん請求書も添えられています。

「婆、かなりふっかけてるな」

猫猫は請求書を書き足し、水増し請求をしようとします。

「なんだ、その荷は」

突然の壬氏の声に、猫猫は思わず飛び上がります。

「講義に必要な教材です。こっちが請求書」

「なんだかここだけ墨の色が違うわね、やり直し」

水連が不意に現れ、水増し請求は失敗に終わってしまいました。

「ばあやがいる限り、坊ちゃんを標的にするのは難しそうだ」

猫猫は観念して、請求書を受け取ります。

「それより、教材ってなんなんだ?見せろ」

壬氏は興味津々で荷を解こうとします。

猫猫は即座に立ちはだかり、猫のように威嚇します。

「わ、わかった」

猫猫のあまりの剣幕に、壬氏もたじろぐのでした。

「子猫、運ぶのを手伝いましょうか?」

重そうな荷台を引く猫猫に、高順が声を掛けますが、断ります。

「大事な教材を見せるわけにはいかない。やるからには徹底的にやるのが信条だ」

猫猫はめらめらと闘志を燃やすのでした。

そして当日、猫猫は、壬氏と一緒に久しぶりの後宮を訪れます。

会場となるのは、先帝時代に使われていた講堂でした。

その昔、増えすぎてしまった下女を寝かせるために使われていたそうですが、現在ではほとんど使われていませんでした。

授業を受けるのは上級妃とその侍女だけなのに、あんなに広い講堂を使わなくても良さそうなものです。

壬氏は講堂の扉を開けました。

「ちょっと」

猫猫は慌てて壬氏を止めようとします。

「入らないでください」

猫猫の言葉に、理解できない様子で聞き返す壬氏。

「…なぜだ?」

「授業を受けるのは上級妃のみとおっしゃったのは壬氏さまです」

猫猫は壬氏の背を押して、追い出そうとします。

華奢な見た目より壬氏はしっかりしていて、なかなか追い出せません。

「ここから先は、女の園における他言無用の秘術ですので!!」

必猫猫は死な様子で、壬氏を講堂から追い出しました。

ふう、と猫猫が安堵のため息をついていると、くすくすと笑い声が聞こえてきました。

玉葉妃です。相変わらず美しいその姿に、猫猫は懐かしい気持ちになります。

側にいる侍女の紅娘も変わりないようでした。

紅娘は講義の内容が気になるのか、ややげんなりした表情です。

そして、梨花妃も猫猫に微笑みます。

病気になる以前の豊かな体型に戻り、体調も良さそうな様子。

猫猫は安心します。

後ろに使える水晶宮の侍女は、猫猫の姿を見て怯えています。

里樹妃は、委縮している様子で下を向いています。

他の上級妃が3人もいれば無理はないでしょう。

ただ、毒見役の侍女とは、関係が良好なようです。

侍女は、委縮する里樹妃を気遣うように側についていました。

そして、最後の一人は、阿多妃の後釜の新しい淑妃です。

名を楼蘭(ロウラン)と言います。

猫猫と同じ17歳です。

年齢からすれば、皇帝のお手つきになるでしょう。

顔立ち自体は北寄りの出身に見えますが、まなじりを強調する濃い化粧をしているので、元の目の形は分かりません。

かんざしまでも、南国調でそろえた服は、妃の中でかなり浮いています。

侍女にも似たような格好をさせているので、趣味なのかもしれません。

あくびを噛み殺し、ぼんやりと遠くを見る様子は、つかみどころがないように思えました。

他の妃のようなあでやかさ、絢爛さは感じられません。

「後宮の調和を崩せる人材には思えないが」

猫猫は、楼蘭妃を見ながら考えを巡らせました。

「今回、講師を承った猫猫と申します」

猫猫は一礼すると、教材を包んでいた風呂敷を解き始めます。

「これから皆様にお伝えするのは、他言無用の秘術ゆえ、お渡しする書物や教材も門外不出にお願いします。それでは三頁を開いてください」

猫猫は講義を進めていきます。

玉葉妃は目を輝かせ、梨花妃は顔を真っ赤にしています。

紅娘は風呂敷の中身を確認し、引いている様子。

水晶宮の侍女は顔を真っ赤にして風呂敷を落としそうになります。

里樹妃は口から魂が抜けたようになり、顔面蒼白です。

侍女が慌てて支えます。

楼蘭妃は興味なさそうに、教材の冊子を侍女に放りました。

壬氏と高順は外から講義の様子をうかがっています。

中はしんと静まり返っていて、中の様子をうかがい知ることはできません。

「あの壬氏さま。一体何が起きているんでしょうか」

「わからんな」

その時、行動の扉が開き、猫猫が疲れた様子で出てきました。

「ご苦労、長かったな」

猫猫は壬氏の耳が赤くなっているのに気が付きます。

「こいつ聞き耳たてていたな」

推薦人の二人には、授業を喜んでもらえたようです。

里樹妃は、気持ち悪くなったようで、侍女に支えられながら講堂を後にします。

「里樹妃には、…ちょっと押し込みすぎたかもしれない」

猫猫は視線に気が付きます。

楼蘭妃です。

目が合うと、ふいと顔をそむけてしまいました。

「最後まで何を考えているのかわからない妃だったなぁ」

猫猫は後からもらえる金一封が楽しみだ、とガッツポーズをします。

後日、「結局どんな授業をやったんだ?」と尋ねる壬氏に「皇帝に感想をうかがってください」とはねのける猫猫でした、

〜薬屋のひとりごと第23話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第23話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】24話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第24話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第24話ネタバレここから〜

「本気ですか?」

壬氏は皇帝と話をしていました。

「さあて、どうする?朕の花の園を手入れする庭師であろう、お前は」

壬氏はじっと皇帝に眼差しを向けます。

皇帝の表情は変わりません。

壬氏はどんなに努力しようとも、知も武も優の域を出ませんでした。

本当に自分が欲しいものはなかなか手に入らないのです。

なのに、外見だけは誰よりも優れたものがついてきました。

「わかっている。自分など、しょせん帝の手の平であがく子供に過ぎない。ならばもう、なんだってやってやろう」

整った容姿、甘い声と眼差し、壬氏の美しさは男としては過剰すぎるものでした。

それらを利用して、帝の無茶な願いを聞き届けてきました。

それが壬氏にとっての仕事であり、帝との賭けでした。

この賭けに勝つことこそ、自分の道を選ぶ唯一の方法だ、と壬氏は思います。

壬氏は皇帝に注がれた酒を飲み干すと、答えました。

「御心のままに」

壬氏は忙しそうに仕事をしていました。

猫猫はそんな壬氏の様子を仕事をしながら見ています。

猫猫は、反故になった法案が書いてある紙をまとめていました。

紙が高価なこの時代、売れば小遣い稼ぎになるのですが、このような紙は燃やさなければなりませんでした。

「ゴミ焼き場の近くには、軍部の訓練場や蔵があるから、気乗りしないんだけど…」

猫猫は軍部には近づきたくないようでした。

ごみ捨てに行こうとする猫猫に、高順が綿入りの外套をかけてやります。

「一年で一番寒い時期ですから、これを着ていってください」

「ありがとうございます」

その様子を刺すような目で見ているものがいました。

壬氏です。

高順は慌てて、だらだらと汗をかきます。

「子猫、これは壬氏さまからのものですので」

「ありがとうございます。壬氏さま」

猫猫がそう言うと壬氏はまんざらでもなさそうな顔をします。

「下女に綿入れ一枚渡すのにも、許可が必要なのか」

猫猫は全く分かっていないようでした。

猫猫はゴミ捨て場に向かいます。

広い外廷を歩きながら、薬草があまりないことを悩んでいました。

「このあたりにも種を植えておこうかな」

猫猫はこっそり薬草の種を植えているのでした。

歩いていると、李白を見かけます。

帯の色が以前と違っているので、出世したようです。

「禿相手に茶を飲みに来ていると、やり手婆が話していたけど、頑張ってるんだなあ」

本命の白鈴を呼ぶのには平民の半年分の銀が必要となるので、高嶺の花の顔を隙間から覗こうと、哀れにも通っているのでした。

李白は猫猫の姿に気が付きます。

「妃の付き添いか?」

李白は猫猫が後宮を解雇されたことを知りませんでした。

「後宮勤めから、とある御仁の部屋付きとなりました」

「誰だそんなもの好きは」

「そういや最近、緑青館の妓女が高官に身請けされたらしいな」

その妓女とは、猫猫のことでした。

契約が決まり、壬氏の元へ行く際、張り切った姉ちゃんたちに大変身させられたのです。

説明するのが面倒な猫猫は、「そうですね」と話を合わせます。

「それよりお取込み中のようでしたが、よろしいのですか?」

李白の後ろには、焼け焦げた小屋が立っていました。

「この季節には珍しくもないボヤだよ」

「それで李白さまが現場に?」

「ちょっと火元が分からなくてな」

けが人は倉庫番だけで、命に別状はないようでした。

猫猫は好奇心から、ボヤの起こった小屋を眺めます。

燃えた小屋は倉庫でした。

建物の破片の散らばり方と、隣の小屋にまで届いたススを見る限り、ボヤと言うより爆発に近い、と猫猫は考えました。

宮殿内の倉庫が燃やされたので、火付けの疑いがあるとみて、李白が見に来ていたのでした。

猫猫は倉庫に、炭のようなものを見つけて拾おうとします。

「近づくなって言っただろ」

李白に止められますが、するっとその手をすり抜けます。

「ちょっと気になりまして」

落ちていたのは黒焦げになった芋でした。

ここは食糧庫だったようです。

その時、暗闇の中にキラッと光るものを猫猫は見つけます。

近づいて拾うと、象牙細工の施された煙管でした。

爆発、食糧庫、落ちた煙管。

猫猫の頭に、ある考えが浮かびました。

猫猫は隣の食糧庫に入ると、中の様子を確かめます。

「燃えた倉庫は、こちらと同じものが置かれていたんですか?」

「奥から古いものを入れているらしい」

慌てて追いかけてきた李白。

猫猫はいくつかのものを、貰いたいと頼みます。

「槌と鋸と釘も必要ですね」

「嬢ちゃん、何する気だよ?」

訳が分からない、といった表情の李白に、猫猫は答えます。

「ちょっとした実験です」

猫猫は木箱に蓋を取り付け、その蓋を丸くくりぬきました。

貧しい育ちなので、ないものを作るのは得意でした。

若いころ、羅門は西方の国に留学していたので、古い記憶をたどって、この国の誰も知らない道具をよく作っていました。

「仕上げに先ほどの小麦粉を中に入れます。火種はありますか?」

李白が他の者に、用意させてくれました。

猫猫は水を汲みに行きました。

「わけがわからん」

李白は思いました。

猫猫は小麦粉を箱に入れます。

「準備ができました。危ないので、建物の中に隠れていてくださいね」

猫猫は火種を、箱の穴に投げ入れようとします。

その様子をすぐ隣で見ている李白。

「危ないので離れていてはくれませんか」

「嬢ちゃんが何かやるんだろ、武官の俺が危ないものか」

猫猫はため息をつきます。

「危険なので、重々気を付けてください。行きますよ。すぐ逃げてくださいね」

猫猫は火種をポイっと投げ入れると、すぐさま建物の陰に逃げました。

「逃げるって何がだよ?」

その瞬間、ボンっと大きな音がして、箱が爆発しました。

驚く李白の髪の毛に引火します。

「わぁあ、消してくれ!!」

慌てふためく李白に、猫猫はバケツの水をぶっかけるのでした。

今回の火種は煙管でした。

爆発の原因は、倉庫にしまってあった小麦粉です。

猫猫が小麦粉の袋をたたくと、空中に小麦粉が舞いました。

これらに、火が付くことがあるのです。

猫猫の推測では、倉庫番が人目を盗んで一服しようと倉庫の中に入ったことで、外気が中に流れ込んで、粉が舞いました。

そこで煙管に火をつけると、部屋中に充満した小麦粉にも火がついて、結果爆発が引き起こされたのです。

猫猫は、水をかぶってくしゃみをしている李白に、花街の羅門の店の薬がよく効く、と営業をして仕事に戻りました。

夜、部屋でくつろぐ猫猫は煙管を持ってきてしまったことに気が付きます。

煙管はすすで汚れてはいるものの、綺麗にして吸い口をつければ元に戻りそうでした。

「それにしても、倉庫番が持つには上等すぎる代物だ」

猫猫は煙管を掲げながら思いました。

「もしかしたら大切なものなのかな、磨いて返してやるか」

〜薬屋のひとりごと第24話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第24話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】25話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第25話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第25話ネタバレここから〜

「子猫、見てもらいたいものがあるのですが、ちょっといいでしょうか」

高順が猫猫に声を掛けます。

高順は、古い事件の資料を猫猫に見せました。

十年前、商家で起きた食中毒について記してありました。

なますに入っていた河豚を食べたようです。

「河豚はあのピリピリした痺れが良い。良く死なない程度に毒が少ない部分を食べてたなぁ」

猫猫は、河豚の毒を思い浮かべてよだれをたらしました。

高順は呆れた様子でそれを見ています。

「今度、その手の料理屋に連れていきますから。肝は出ませんけど…」

それを聞いて、猫猫はやる気を出します。

「これがどうかしたのですか?」

「昔、私が仕事でかかわっていた事件です。一週間ほど前、これとよく似た事件が起こり、元同僚から相談を受けました。河豚のなますを食べた官僚が昏睡状態に陥っていると」

昏睡状態になるような毒であれば、通常肝を想像します。

しかし、事件のなますに使われたのは、毒の多い内臓ではなく、毒の薄い皮と身を湯引きしたものでした。

「特におかしな点はないのでは?河豚に毒があるのはよく知られているでしょう」

「それが、今回の事件も前の事件も、料理人は河豚を使っていないと言い張っているのですよ」

今回の役人と前回の商人は、ともに美食家でかつ珍味を好んでいたそうです。

厨房のごみ箱からは、河豚の内臓や皮が発見されていて、証拠として提出されています。

ただ、内臓部分がすべて捨てられていたことから、肝は食べていないと判断されたようです。

二つの事件の料理人はともに、

「河豚は前日の料理に使ったもので、倒れた当日の料理には使っていない」

と無罪を主張しました。

しかし、残念なことに証言の証人となる人間がいませんでした。

中毒症状を起こした主人は、料理を全て食べ終えた後、三十分後に倒れ、唇を青くし痙攣していたところを発見されました。

「症状は河豚毒みたいだけど、これだけでは何とも…」

話を聞いた猫猫は、もう少し情報が欲しいと高順に頼みました。

翌日、高順は料理の調理書を持ってきました。

使用人の証言では、主人に出す料理は大体この中に入っているそうです。

猫猫はなますの作り方が載っている頁を開きました。

しかし、季節や食材に合わせた酢の配合は書いてあるものの、魚や野菜の種類は細かく書かれていませんでした。

「これでは肝心の何を使ったかが分かりません」

「わからないのか?」

突然の壬氏の声に、猫猫はお化けでも見たような顔で驚きます。

「さすがにその顔は傷つく」

壬氏は傷ついた顔をしました。

「高順の話を熱心に聞いていたようだが?」

「面白い話なら人は耳を傾けるものです」

その言葉に壬氏はうろたえます。

猫猫は壬氏の話をいつも聞いていないからです。

猫猫は壬氏にかまわず、話を進めます。

「事件が起きたのは一週間前ですよね。材料は大根か人参と言ったところですか?」

「それが海藻を使ったらしく」

その言葉に猫猫はひらめきます。

「高順さま、その家の厨房を見せてもらうことはできませんか?」

厨房に入る許可は簡単に取れました。

役人は、事件はもう終わったものとみているようでした。

厨房を見る猫猫に、見たことのない武官がついてきました。

「誰かに似ている気がする」

武官は猫猫をじろりと見るので、よくは思われていないようです。

下男が出てきて、厨房を案内してくれました。

「こちらが厨房です。毒の一件以来、使われておりません」

その時、荒々しい足音がして、一人の男が入ってきました。

「何をしている!勝手に屋敷に入るな!早く出て行け!」

男が下男につかみかかろうとすると、先ほどの武官が割って入ります。

「ちゃんと奥方の確認はとっています。それにこれは仕事ですので」

「本当か?」

「それとも我々が入ると何か不都合でも?」

「勝手にしろ!」

先ほどの男は倒れた役人の弟君でした。

役人が昏睡状態になってからは、弟君が屋敷を取り仕切っているそうです。

弟は、ものすごい形相で猫猫を睨みます。

猫猫は構わず、厨房を見て回ります。

調理器具は料理人が洗ってしまったようで、さすがに生ものはもうおいていませんでした。

猫猫は棚の隅に置いてある壺を見つけます。

「これ何かわかりますか?」

猫猫は下男に尋ねます。中には、海藻が入っていました。

「ああ!旦那様が好きなやつだ。お気に入りでよく食べていました。こちらに毒はないと思いますが…」

「だそうだ!終わったなら早く帰れ」

弟が割って入ります。

「そうですね」

猫猫は海藻の入った壺を棚に戻すと、こっそりと袖の下に海藻を隠しました。

帰りの馬車の中で、武官は猫猫に問いかけます。

「なんで簡単に引き下がった?」

「引き下がったとは思っていません」

そう言うと猫猫は先ほどの海藻を武官に見せます。

「不思議なんです。この海藻が取れる時期にはまだ少し早い。だからといって塩漬けにしても今の時期まで持つものでもありません」

猫猫は、この海藻がおそらく、この近辺で採れたものではないことを伝えます。

「例えば、交易で南から仕入れたものだとか」

武官はハッとします。

猫猫の言わんとしていることが伝わったようです。

「仕入れ先が分かるといいのですが」

猫猫は詰所の厨房を使わせてもらって、検証を行いました。

高順、相談主の武官、昨日の武官、そして何故か壬氏までもが同席しています。

二枚の皿には、昨日の海藻が分けられて乗っています。

調べたところによると、この海藻は南方から持ち込まれたものでした。

下男に確認をとると、主人が冬場にその海藻を食べることはなかったということです。

「この海藻については料理人にも聞いている。普段使っている海藻と同じ種類で毒のはずがない、と」

相談主の武官がそう言いました。

「おそらく普段の海藻と同じ種類の海藻です。ですが、同じ海藻なら毒がない、というわけじゃないんですよ。もしかしたら南ではあまり、この海藻は食べる習慣がないのではないでしょうか?」

猫猫は、美食家の役人だと知った交易商が、金になるとわざわざ地元民に海藻の塩漬けを作らせたのではないか、と推測していました。

「それのどこが問題になるのだ?」

壬氏が口をはさみます。

「世の中には、毒が無毒になることがあるんです。例えば鰻には本来毒がありますが、血を抜いたり加熱することで食べられるようになります。この海藻の場合は、石灰に漬けることが必要だったはずです」

猫猫は、石灰につけた海藻と、そうでない海藻の二皿を用意していました。

そして、嬉しそうに海藻を口に入れました。

これには、みんな大慌てです。

「何してる!」

「これは石灰につけたものなので大丈夫です、多分」

猫猫はもぐもぐしながら答えます。

「ご安心を、ちゃんと嘔吐剤も用意してあります」

「自信満々に言うな!!貸せ!」

顔面蒼白で大慌てした壬氏は、高順に猫猫を羽交い絞めにさせ、嘔吐剤を口に放り込みました。

「吐け!」

猫猫は流し台で苦しそうに吐いています。

実は聞いただけの知識なので、一夜漬けで無毒化できるのかは検証が必要でした。

「食べて無毒を証明するはずだったのに、捕まえて吐かせるとは、嫁入り前の娘を何だと思っているんだか…」

吐き気の収まった猫猫は、気を取り直して説明を続けます。

「ここで問題なのは、交易商人に海藻の塩漬けを持ってくるよう提案した人間が誰だったのか、と言うことです。食べる習慣のない地方から取り寄せれば、危険性が高いのは当たり前です」

取り寄せたのが、食べた本人であれば、ある意味自業自得と言うことでしょう。

猫猫は言葉を区切ります。

「でももし、そうでないなら」

この場にいる者たちはみんな賢い官僚たちです。

猫猫はもう、これ以上言う必要はありませんでした。

「わかりました」

高順も一言、わかりました、とだけ言いました。

後日事件についての報告がありました。

犯人は倒れた役人の弟でした。

空きつけ先を見つけたところで、自分が買ったと吐いたそうです。

動機は次子である自分にとって長子が邪魔だったからという、よくある話でした。

海藻の毒については、酒場で横に座った客から教わったと言います。

それが偶然か必然かは分かりませんでした。

「結局海藻は食べられなかったなぁ」

猫猫は海藻を食べれなかったことを残念に思っていました。

しかし、気を取り直して、冬虫夏草をどう使うか、心を躍らせて考えを巡らせます。

「ふふふふ」

ご機嫌でくるくる回っていると、帰ってきた誰かにぶつかりました。

「お帰りなさいませ」

帰ってきたのは壬氏とも知らず、猫猫はとびきりの輝く笑顔を向けました。

「つい笑いかけたみたいに…」

気まずさに目を伏せる猫猫。

見たこともない笑顔に、壬氏は震え、ガンガンと柱に頭を打ち付けるのでした。

壬氏はここの所帰りが遅く、疲れのたまっている様子でした。

何やら、とある高官に目をつけられていて、案件に判を押すのを先延ばしにされているようです。

ここの所毎日、執務室に居座られているのでした。

「相手は頭のキレる軍部の高官だ。家柄は良いのに、四十を過ぎて妻帯もせず、甥御を養子にとって家の管理を任せている。興味あるものと言えば、もっぱら碁と将棋とうわさ話。有名な変人だ」

猫猫はその人物に覚えがありました。

「忘れよう!」

思い出してもろくなことにならないと、記憶に蓋をします。

壬氏が執務室で仕事をしていると、例の高官が現れます。

「案件はもう通ったはずですが」

壬氏は顔を引きつらせて言いました。

その男の名は、羅漢(ラカン)と言いました。

軍師をしており、時代が違えば太公望だったと言われている人物です。

このところ突っかかってくる理由はどうも、緑青館に縁のある娘を下女にしたことにあるようでした。

「そういえば昔、緑青館に馴染みがいましてね」

「どんな妓女ですか?」

「若いころの話ですが、いい妓女でしたよ。身請けも考えましたが、世の中うまくいかないものでね。物好きの金持ちが二人、競い合うように値を吊り上げていたのです」

時に、妓女の身請け金は離宮が一つ建つ額になります。

羅漢がいうには、変わり者の妓女だったようで、芸は売っても身は売らなかったそうです。

それどころか客に茶をつぐときも、下賤の民に施しを与えるような尊大な目をしていたとか。

しかし、それに入れ込むもの好きも少なからずいたようです。

「かくいう私もその一人なのですが。背筋にぞくぞくとくる感覚がたまらないものでして」

その話に、壬氏は身に覚えがありました。毛虫を見るような目の猫猫が脳裏に浮かびます。

「いつか押し倒してみたいと、思っていたのですよ。結局その妓女を諦めきれず、仕方なく少々汚い手を使いました。妓女の希少価値を下げたんですよ。どんな方法か知りたいですか?」

羅漢は壬氏を見て、にやっと笑いました。

その態度に、壬氏は不快感を抱きます。

「ここまできてもったいぶるのですか」

「その前にちょっと頼みたいことがあるのだがね。先日知人が亡くなりましてね。そいつが思わせぶりな遺言だけを残して逝ってしまった。そちらに入った下女と言うのが、なかなか面白いようで。妙に謎解きが得意なようですな」

「つまり?」

壬氏は眉を寄せています。

「大したこともない。頭の回るそちらの下女が調べてくれやしないものかと」

壬氏は深くため息をつきました。

「とりあえず、話だけでも聞かせてもらえないでしょうか」

そのころ、猫猫は得たいの知れない悪寒に襲われるのでした。

〜薬屋のひとりごと第25話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第25話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】26話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第26話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第26話ネタバレここから〜

羅漢の話では、宮廷御用達の彫金細工師の知人が亡くなったということでした。

しかし、後継者を指名しないまま亡くなってしまったそうです。

彫金細工師には三人の実子の弟子がいて、父親は秘伝と言える技術をその誰にも伝えていないらしいのです。

きっと思わせぶりな遺言が、技術を伝えるための手掛かりなはず、と言うことでした。

「つまり、彫金細工師の秘伝が分かればいいということですね」

壬氏から事情を聴いた猫猫は、そう言いました。

興味がない話でもなかったようで、妙に乗り気でした。

いつものように嫌そうな顔をされると思っていた壬氏は、拍子抜けします。

「それで、その思わせぶりな遺言というのは?」

遺言には形見分けの品が書かれていました。

長男には離れの作業小屋を、次男には細工の施された家具を、三男には金魚鉢が分けられました。

そして一言、「みんな昔のように茶会でもするといい」とだけ書かれていたのです。

「形見分けにかなり格差があるようですが、どういう品なのでしょうか?」

「そこまでは詳しく聞いていない。ただ、気になるなら行くといい」

壬氏は住所の書かれた紙を取り出しました。

こうして、猫猫は彫金細工師の家へ行くことになりました。

海藻なますの時にお付きで来ていた、若い武官がまた猫猫の付き添いで表れました。

名を馬閃(バセン)といいました。

二人は馬車に揺られて、目的地へ向かいます。

「家人に話をつけてあるが、表向きは私が話を聞くことになっている。

お前はお付きと言う形だ」

「わかりました」

必要最低限しか話さない様子は、寡黙と言うより、猫猫を嫌っているようでした。

猫猫は害がなければ構わない、と気にしていません。

細工商人の家は、庭付きの立派な家でした。

門から入ると、猫猫は、一本の大きな栗の樹を見上げました。

馬閃と猫猫は案内され、形見分けの作業小屋へ通されます。

昔は作業場として使っていたのですが、今は古い道具を置いたり、職人たちの茶飲み場になっているとのことでした。

「兄さんたち、連れてきたよ」

案内してくれていたのは三男でした。

「なかなか変わった造りをしているな」

馬閃は作業小屋を見て言いました。

道具は片づけられ、すっきりしていますが、普通なら邪魔になるような部屋の真ん中に箪笥が置いてありました。

箪笥を囲うようにして、テーブルがコの字に配置されています。

箪笥は角が丸く削られて、彫金細工がはめられています。

一番上の三列と、その下の中央の引き出しにカギ穴がありました。

中央の引き出しだけ、アクセントとして違う金属が使われています。

猫猫は、箪笥が床に固定されているのに気が付きます。

「窓の位置も変わっているな」

と猫猫は思いました。

西洋風で妙に長い窓は、外にある栗の樹のせいで、部屋に入る光は木漏れ日のみでした。

箪笥の正面に位置する長い窓の下には、棚が置かれていました。

棚は日に当たるせいで焼けており、色が褪せています。

猫猫は棚に四角く色が残っているところを見つけました。

長い間、何かが置かれていたようです。

「親父は秘伝の技を教えないまま、あの世へ行っちまった。俺に残したのはこの小屋だ」

長男が言うと、次男は箪笥に手を置いて言います。

「俺にはこの箪笥」

「僕にはこれです」

三男は金魚鉢を持ってきました。

ガラス製のその金魚鉢は、キラキラと輝く美しいものでした。

「親父も何考えてんだか。箪笥をもらったところで、兄貴の小屋に固定されてちゃ持っていけねぇし、鍵も一つしかないし、その鍵も穴に入りやしねぇ」

不満そうに次男が言います。

「鍵が穴に入らないとは?」

馬閃が尋ねます。

次男は鍵を取り出して見せました。

おそらく中央の引き出しの鍵なのですが、穴に入らないのです。

「上の3つの引き出しは、全部同じ鍵で開くらしいけど、その肝心の鍵がどこにもないときたもんだ。これじゃせっかくの形見も何の意味もないぜ」

その言葉に三男がむっとして言い返します。

「親父はみんなで昔みたいに茶会をしろって言ってた。

だからこの部屋のものを分けたんじゃないのか!」

声を荒げる三男に対して、長男・次男は冷めた様子です。

「お前はいいよな、さっさと金にできるものをもらったんだから」

どうも兄二人と末っ子の間には、冷めた距離があるように見えました。

「失礼します。お茶をお持ちしました」

その時、細工職人の妻が茶を運んできました。

「ありがとう、母さん」

すると3人の兄弟は、わざわざ移動して座りました。

定位置が決まっているのでしょう。

あの細長い窓の前には誰も座りません。

日光が当たり眩しいからでしょうか。

ちょうどこの時間は窓から光がさしていて、もう少し光が伸びたら箪笥に当たりそうです。

しかし、さっき猫猫が留め具を見た時、箪笥には日焼けの痕がありませんでした。

「焼けた跡?」

猫猫ははっとします。

「外には大きな木があって、日が当たるのは長い時間じゃない」

猫猫は突然立ち上がり、箪笥の中央の引き出しについている、鍵穴をじっと観察します。

「なにかわかったのか?」

声をかける馬閃にも気が付かず、考え事をする猫猫。

はっと馬閃に気が付きます。

はぁ、と脱力する馬閃の姿に、猫猫は高順を重ねます。

「誰かに似ていると思ったら、高順に似ているのだな」

ぽかんとした様子で猫猫を見ている三兄弟に、猫猫は質問をします。

「その鍵のある引き出しは開かないんですよね?」

「昔は開いたんだけど、おやじが細工しているうちに開かなくなっちまったらしい」

鍵は一つだけしかなく、壊したら中のものも壊れるといっていたので、勝手に壊すわけにもいかないのだ、と次男がぼやきました。

「もしかして」

猫猫は、推理を巡らせます。

「この鉢はもともとあそこの棚に飾ってあったものではないですか?」

「そうですけど。昔は金魚を入れてここに置いていたんです。冬場は暖かい昼間だけ。そうですね、ちょうど今みたいに茶会をする時間帯に、ここに置いていました」

猫猫はそれを聞いて、水をもらいに行きました。

そして当時を再現して、金魚鉢に水を入れました。

太陽の光が金魚鉢に当たってキラッと輝きます。

「おい!なんだこりゃ!箪笥に光がっ」

金魚鉢の湾曲した側面がレンズのようになり、太陽の光を集めたのです。

金魚鉢からまっすぐ伸びた光線は、日が沈むのに合わせてゆっくりと移動します。

そのうち、ぴたっと鍵穴に光線が当たりました。

太陽が栗の木の陰に入ると、光線は消えていきました。

「鍵穴に触れてみてください」

「あっ熱い」

次男が鍵穴に触れると、触っていられないほどの温度になっていました。

「光を集めると熱に代わるんです。もしかして御父上は、貧血や腹痛などを繰り返していませんでしたか?」

「あっ、ありました」

猫猫は次男に、先ほどの鍵でこの引き出しを開けるように言います。

入らなかった鍵を挿すことに抵抗を示す次男でしたが、なんと鍵は鍵穴に入りました。

そしてガチャリと音を立てて、箪笥の引き出しが開いたのです。

「どういうことだ?」

「私はただ、『昔と同じようにみんなでお茶会をせよ』という遺言に従っただけです」

猫猫は落ち着いて答えました。

引き出しを開けると、中には鍵の鋳型が入っていました。

鋳型の中には金属が入っていて、鍵の形になっていました。

鍵穴に詰まっていた金属が熱で溶けて、その下にあった型へ流れて固まったのでしょう。

猫猫は鋳型から鍵を取り出し、上三つの引き出しの鍵に差し込みました。

鍵はかちゃりと音を立てて回り、こうして引き出しは開けられたのです。

大きさの異なる三つの引き出しにはそれぞれ、金属と結晶のようなものが一つずつ入っていました。

「ちくしょう、何がみんな仲良くだよ!結局親父の最後のいたずらに振り回されて終わりかよ!」

「まったくやってらんねぇ!」

長男と次男は、口々に悪態をつきます。

三男だけは、引き出しを見つめて考え込んでいました。

猫猫は三男の手に、兄弟の中で一番ひどい火傷の跡を見つけます。

きっと死んだ職人が意図したことを理解できたのは、この末っ子だけでしょう。

「はんだ」は数種類の金属を混ぜ合わせることで、本来個々で溶ける温度より、低い温度で溶けるようになります。

引き出しに入っていた三つの塊のうち、二つは鉛とスズ、そしてもう一つの塊を合わせることで新しい金属ができるとすればどうでしょうか。

「わざとらしく引き出しの大きさが違うところは、配合の比率に関係しているのかもしれないが、これ以上口を出す必要はない」

猫猫と馬閃は屋敷を後にします。

聡い末っ子が仏心を見せるのか、それとも技を独り占めするのか、それはもう、猫猫には関係のないことでした。

「先日はどうも」

羅漢がまた、壬氏の執務室を訪れました。

「やはりあの三兄弟、一番できるのは末息子だったようですね」

羅漢はニィっと笑います。

あの後、今までないがしろにされていた末の弟が力を見せだし、今後の宮廷御用達になるのではと言われていました。

「最後に先代が作った細工は素晴らしかった。あれは単なる金具でしたが、祭具にあの細工を使うと映えるでしょうな」

「そうですね」

羅漢はニヤニヤと壬氏の顔色を見ています。

本来壬氏の立場には「祭具」など関係ないと分かっているのに、わざと話題を吹っかけているのです。

「ところで前の話の続きを聞きたいのですが」

壬氏は羅漢に切り出しました。

「前の話と言いますと?」

「以前聞いた妓女の話のことですよ」

「あぁ、妓女の希少価値を下げる方法ですか。そういうことはその世界を知るものに聞いたほうが早い」

羅漢はこともなげに言い放つと、ご機嫌で部屋を出てきました。

「では、また」

壬氏も高順も、迷惑そうな顔で見送るのでした。

〜薬屋のひとりごと第26話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第26話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】6巻ネタバレ

6巻
27話28話29話30話
31話32話

【漫画 薬屋のひとりごと】27話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第27話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第27話ネタバレここから〜

「なぁ、お前は化粧に詳しいか?」

突然、壬氏は猫猫に尋ねました。

花街で育てば、化粧の仕方は嫌でも覚えます。

薬の他に化粧品を作ることもあったので、詳しい方でした。

「どなたかに贈り物ですか?」

「いや、俺が必要なんだ」

「はぁ?」

数ある戦の中には、美女を巡って起こされたものもあります。

そもそも素材の良さに加え、性別の垣根を超える壬氏が化粧なんてしたら、国を滅ぼすかもしれない、と猫猫は思いました。

「お前の白粉はどうやってつくっている?」

壬氏は、自分の鼻のあたりに指をやって言いました。

猫猫はいつも、そばかすを作って、自分の顔を醜くしています。

「これは粘土を乾かして粉にしたものを油で溶いています」

「それはすぐできるか?」

一晩あれば作れると、猫猫は答えました。

「顔を変えられる薬があれば、便利なのだが」

「平民を装いたいということでしたら、できないこともありませんけど」

「ではそれを頼む。俺を今と全く違う姿の人間にしてくれ」

壬氏が一体何をするつもりなのか、猫猫にはわかりませんでしたが、それをわざわざ聞くほど命知らずでもありませんでした。

それでも、やるなら徹底的に、と猫猫は自室で準備に燃えます。

そして翌日、猫猫が出勤してくると、湯あみをしてきた壬氏が水連に髪を拭いてもらっていました。

「貴人にしかできない贅沢だな」

それを見た猫猫は、顔を引きつらせてしらけます。

「壬氏さまは本当に別人になりたいとお思いですか?」

「昨晩からそう言っている」

「なら失礼します」

猫猫はつかつかと壬氏に近寄り、匂いを嗅ぎました。

「な、なんだ?いきなり」

「こんな上等の香をたく庶民はいません。今の壬氏さまのお召し物は、せいぜい下級官吏の普段着です」

壬氏なりに平民になりきるつもりで用意してきていたのですが、そもそも庶民の暮らしを知らないので根本から違っていたのです。

「とりあえず、違う衣に着替える必要があるのですが。高順さま、替えの衣の準備をお願いできますか」

猫猫は高順に、匂いの残っている洗う前のものが好ましいと伝えました。

上等の香の匂いを消すためでした。

その間に、髪を準備することにします。

猫猫は湯の張った桶に、油と塩を混ぜます。

これで髪の光沢をなくして、質感を悪くしていくのです。

「平民は毎日湯に入るものではありませんから」

壬氏の美しい髪は、猫猫の手によってざらっとした質感になっていきます。

猫猫は布の切れ端で、髪を結っていきます。

「何もそんな布の切れ端で結わなくても」

そういう水連に猫猫はぴしゃりといいます。

「平民はまとめられれば、なんでもいいんです」

高順が服を用意して、戻ってきました。

「これで本当によろしいのですか?」

主人にこんな服を着せてよいのだろうか、とためらう高順。

「もっと臭くてもいいくらいですね」

匂いを嗅ぐ猫猫に、水連はよろめきます。

「壬氏さま、服を脱いでください」

言われるがままに上半身の服を脱ぐ壬氏。

華奢な外見とは異なり、均整の取れた筋肉質な体つきをしていました。

猫猫は、手ぬぐいを使い、壬氏の体型を変えていきます。

手ぬぐいを壬氏に巻き付け、さらにそれをさらしで固定します。

その上から服を着れば…

美しかった壬氏の体は、途端にポッコリと腹の出た不格好な体型になりました。

壬氏は太ったことに驚き、嬉しそうにしています。

「次は顔です」

猫猫は壬氏を座らせ、化粧を施します。

色の濃い白粉をいくつか練り、平民のような日焼けした肌を作っていきます。

「目を瞑ってください」

壬氏の肌は近くで見ても美しく、髪どころか毛穴も見えないほどでした。

「女子の化粧をすればどんなに」

猫猫は悪戯を思いつき、ニヤッとします。

「この機会を逃してどうしようというのか」

猫猫は化粧道具の中から紅を取り出し、壬氏の唇にすっと引きました。

その顔を見て、猫猫にも高順にも水連にも、衝撃が走ります。

そこにいたのは、世を狂わすほどの絶世の美女でした。

「ここにいるのがこの三人だけでよかった。もし誰か別のものがいたなら、大惨事となっただろう」

と三人は秘かに思いました。

「どうかしたのか?」

目を開けて聞く壬氏の唇を、ものすごい勢いで拭き取ります。

どんなに素晴らしくても、表に出してはならないものがあるのです。

猫猫は気を取り直して、化粧を続けます。

白粉で顔にまだらを付けたら、さらに濃い色の白粉でくまを作ります。

本人にはない黒子などの特徴をつけ足していき、眉は左右の大きさを変えながら描きました。

「顔の化粧はこれでおしまいです。手を出してください」

猫猫は壬氏の手を取ります。

さすがに白魚の手とはいかず、立派な男の手でした。

猫猫は壬氏の手の平に硬いたこがあることを気が付きます。

「筆か箸くらいしか持たないだろうと思っていたが、剣術や棒術の心得があるのだろうか。本来、宦官には必要ないはずだが」

猫猫は疑問に思いましたが、くだらない質問をする必要はない、と胸にしまいました。

手の甲にも、顔と同様に肌の色にムラを作り、すべての化粧が終わりました。

「はい、どうぞ」

猫猫は液状のものが入った筒を差し出します。

「うわっ、なんだこれ」

つーんとした刺激臭が壬氏の鼻をかすめます。

「とても辛いですが、毒はありません。唇を濡らすようにゆっくり舐めて嚥下してください。唇と喉が腫れて声が変わりますから」

「声か…」

壬氏に渡したものは、数種の刺激物を混ぜたものでした。

正直うまいと言える代物ではありません。

「見た目やにおいが変わっても、蜂蜜のように甘い声で気が付く人間がいるかもしれない」

苦しそうに飲み干す壬氏。

猫猫は万全を期して、壬氏を変身させたのでした。

〜薬屋のひとりごと第27話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第27話のネタバレです。

【漫画 薬屋のひとりごと】28話(前後編)ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第28話(前編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第28話(前編)ネタバレここから〜

〜薬屋のひとりごと第28話(前編)ネタバレここから〜

「あ゛あ゛~」

壬氏の声は、猫猫の薬によって汚く変わっていました。

「これが最後の仕上げです」

猫猫は、綿を壬氏に手渡します。

「輪郭をふくらませるために頬に含ませてください」

言われるがままに、壬氏は綿を口に含みます。

「完成です」

そこには、いつものきらびやかな壬氏の姿はなく、不健康な平民の男の姿がありました。

「どうだ?」

「まぁ、本当に坊ちゃん?これなら誰が見ても坊ちゃんとはわかりませんわ」

それでも、二枚目半くらいに見えるので、壬氏の元の美しさは相当なものでした。

猫猫は自分にできることはすべてやった、と満足気です。

今日はこの後から明日まで休暇をもらい、久しぶりに花街に戻って大好きな調合をする予定でした。

「子猫、今日は実家に帰ると言っていましたね」

「はい」にまっと高順が、何かを企んだような顔で笑います。

「それなら、壬氏さまも途中まで同じ道筋ですよね」

「げっ!」

猫猫は思わず声に出しそうになります。

「我々は、常に壬氏さまに付いていますから、顔を知られているでしょう。いつもと同じ従者を連れていればせっかくの変装もおかしく思われるのではないですか?壬氏さまもそう思いませんか?」

猫猫は突然の不穏な流れに慌てます。

「そうだな、お前が来れば助かるんだが」

壬氏は猫猫がついてきてくれると聞いて、少し嬉しそうです。

壬氏が乗り気なので、猫猫はますます慌てます。

「…申し訳ありませんが、私が壬氏さまに付いていても、代わり映えはしないというか。自分は自分で部屋付きの侍女として知られていますし、万が一のことも考えて一緒にいないほうが…」

付き添いを免れようと、必死に言い訳をする猫猫。

「それなら、子猫も変装すればいいじゃない?……ね?」

「…はい」

水蓮の威圧に負け、猫猫は思わず了承してしまったのでした。

馬車に揺られながら、二人は街へと繰り出します。

「壬氏さま、姿勢が美しすぎます」

「お前こそ、その口調をやめろ。それに名前を読んだら意味がないだろ」

「では何と呼べば?」

壬氏は少し考えて言いました。

「私のことは壬華とでもお呼びください、お嬢様」

壬氏は嬉しそうに猫猫にかしずきます。

「お、お嬢…?」

恰好からすればそれが妥当だ、と壬氏は言いました。

猫猫は水連の娘の服を借り、そばかすの化粧を落として、いいところのお嬢様になっていました。

「わかった。行こう、壬華」

二人は馬車を降り、街を歩きます。

猫猫は壬氏の前を歩きました。

いつもとは逆です。

「目的地は?」

「花街の手前にある飯屋です。そこで知り合いと待ち合わせを」

わざわざ変装して合う知り合いがどんなものかは知りませんが、深く詮索しないのが賢い世渡りと猫猫は思っていました。

市場を通り抜ける二人。猫猫は立派な大根を見つけます。

小遣いも貰ったことだし、羅門へのお土産に買って帰りたいと猫猫は思いました。

「買い物ですか?」

「ああ、ちょっといいものが並んでいるから」

「その格好で?」

壬氏は指摘します。

お付きを伴ったお嬢様が、大根片手にとりを潰すように指示するのはおかしいと言うことでした。

「わかった」

猫猫は、大根をいったん諦めました。

医師としても薬師としても優秀な羅門でしたが、損得勘定と言うものが欠落していました。

だからあんなあばら家に住んでいたのです。にぎやかな市場を進むうち、壬氏は猫猫よりも前に出ていました。

「坊ちゃんらしく市井の賑やかさが珍しいのだろうか。従者が主人より前へ出るとはまだまだだな」

猫猫は壬氏を追い抜くと、ふんと振り返ります。

そして付いてくるように、と前を歩くのでした。

「なんで黙っている?」

「別に話すことがないから?」

猫猫が冷たく言い放つと、壬氏は何とも情けない顔になりました。

しょげしょげと落ち込みます。

猫猫は、もともと話好きな性格ではなく、特に用もないから黙っていただけでした。

しょんぼりしてしまった壬氏をどうしようか、と思っていると、いい匂いがします。

串焼き屋がありました。

「おやじ串焼き二本」

「はいよ」

猫猫は串焼きを受け取ると、壬氏に差し出します。

「壬華さん、冷めないうちに食べましょう」

人のいない路地裏で、猫猫は串焼きにかぶりつきました。

「香ばしい鳥皮とじゅわっと広がる脂がうまいんだよなぁ」

宮中では出ない食事なので、猫猫は嬉しそうです。

壬氏は串を片手にじっと見ています。

「食べないんですか?この通り、毒はありませんよ」

「いや、そういうことじゃなくて」

壬氏は自分の頬をとん、と指さします。綿を口に含んでいるので、食べられなかったのです。

水連が持たせてくれた懐紙に、綿を吐き出させます。

壬氏はようやく串焼きにかぶりつくことができました。

「どうですか」

そう尋ねる猫猫に、壬氏は頬張りながら答えます。

「野営のときより、塩が効いててうまいな」

野営?宦官は普通、武官のような仕事はしないと思っていましたが、戦でもないのに宦官が野営をすることがあるのだろうか、と猫猫は疑問に思いました。

「まぁ、わざわざ聞く必要もないか」

二人の街歩きは続きます。

〜薬屋のひとりごと第28話(前編)ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第28話(前編)のネタバレです。

以下、薬屋のひとりごと第28話(後編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第28話(後編)ネタバレここから〜

「そろそろ、待ち合わせ場所に向かいましょうか」

猫猫は立ち上がります。

「まだもう少し、時間があるが」

「遅れてもいけませんし、早めに向かったほうがいいのでは?」

すたすたと先を歩いて行ってしまう猫猫に、壬氏はむっとします。

「なんか、俺とさっさと別れようとしてないか?」

猫猫はギクッとします。

確かに、別れたらもう一度市場に戻って、露店で大根と鶏を飼おうと思っていました。

「…そんなつもりは。私はただ、相手を待たせては悪いと思っただけです」

「……そうか」

壬氏は寂しそうに視線を落としました。

二人は再び通りを歩いて目的地へと向かいます。

「…宮廷の生活も悪くないだろう。花街の生活よりずっといいと思うが」

壬氏は、猫猫に宮廷にいて欲しいのでしょう。

「確かに悪くないですね」

与えられた部屋は狭いですが、綺麗な部屋ですし、違う部屋を用意しようかと打診もされています。

ずいぶん恵まれた話でした。

「でも、養父がちゃんと生活しているかどうか心配ですので」

壬氏は、ぽかんとします。

「…いや、お前が薬や毒以外のことに気を使うとは」

「養父は薬の師ですから、長生きしてもらわねば困るんですよ」

猫猫は照れ隠しでしょうか、プイと顔を背けました。

「よほど有能な薬師のようだな、お前の養父は」

すると猫猫は得意げに話し始めます。

自慢の養父なのです。

「若いころは西方に留学していたこともあったそうです。漢方のみならず、西方の医術まで心得がありますから、短い期間ではなかったでしょうね」

壬氏はその言葉に驚きます。

「…それは、よほど優秀だったんじゃないか」

留学は国に選ばれなければ行けないからです。

「ええすごい人です。ですが、運悪く一物をとられてしまいました」

「それは、お前の養父が宦官だということか?」

壬氏は驚愕します。

羅門の欠点は、不運であることでした。

西方で留学していたのを理由に、先帝の母-すなわち先の皇太后に宦官にされてしまったそうです。

「医官、宦官」

壬氏はつぶやきました。何やら記憶を辿っているようです。

「あれ、言ってなかったかな」

猫猫はその様子を見ても、気に留めませんでした。

そうこうしているうちに、二人は目的地へと到着しました。

上は宿屋で、下は食堂になっています。

「ああ、なるほど」

猫猫はピンときました。

「わざわざ変装してまで市井を周る理由はそう言うことだったのか。宦官にもこういう息抜きが必要なのかね」

どうやらここは花街にあるような店のようでした。

当の壬氏は、庶民の建物を珍しそうに眺めています。

「では、私はここで」

猫猫は立ち去ろうとしましたが、壬氏が呼び止めます。

「待て、みやげがあったんだ。変人から職人一家の件の礼にと」

ここでいう変人とは羅漢のことなのですが、猫猫はそのことを知りません。

壬氏はひょうたんを猫猫に渡しました。

壬氏は羅漢の言っていたことを思い出していました。

「……なぁ、お前は緑青館の馴染みには詳しいのか?」

「まぁ派手に立ち回る人であれば」

「どんな奴がいる?」

「ひみつです」

猫猫はそんな質問をする壬氏をいぶかります。

この聞き方では伝わらないと見た壬氏は聞き方を変えることにしました。

「妓女の価値を下げるにはどうすればいい」

言いにくそうに時間をかけながら、尋ねました。

「不愉快なことを聞きますね。いくらでもありますよ。特に上位の妓女ならば」

客を毎日とらなければならない夜鷹とは違い、最高級の妓女ほど仕事の数は少なくなります。

売れっ子は露出を控えるほど、周りが勝手に価値を上げるのです。

緑青館では、禿時代に一通りの詩歌や踊り、学を教えられます。

見込みのないものは、顔見世が終わると身を売るために、すぐに客を取らされます。

逆に、見込みのあるものは茶のみから始まって、教養で客を取ります。

さらに話術や才知にたけたものは、どんどん値を吊り上げられ、そこでわざと露出を減らすと、茶飲みだけで一年の銀が尽きる売れっ子妓女が出来上がるのです。

中には見受けまで、客に一度も手を付けられないということもあります。

花を最初に手折るのは自分でいたいと願うのが、男の浪漫というものなのでしょう。

「手つかずの花だからこそ、価値があるのです。手折ればそれだけで価値は半減。さらに」

猫猫は言葉を区切ります。

「子を孕ませれば価値などないに等しくなります」

壬氏は、猫猫の言葉に動揺します。

それはつまり、羅漢は―。

「それでは、私はここで失礼します」

「ここでか?」

壬氏は慌てて、猫猫の手をつかみました。

「せっかく変装したのに、私が中に入っては駄目でしょう」

猫猫は壬氏の手をあっけなく払いのけると、足早に去っていきました。

猫猫の後姿を、いつまでも見送る壬氏でした。

「大丈夫、何の感慨もなく言ってのけたはずだ」

壬氏から遠ざかりながら、猫猫は思います。

そして後ろを振り返ると、壬氏が建物の中に入っていくのが見えました。

「飯盛り娘が買える店に行くなら、花街まで来てくれたらよかったのに」

そして、扉の向こうへ消えていく壬氏の後姿に、心の中で声をかけるのでした。

「今宵は、お楽しみくださいませ」

〜薬屋のひとりごと第28話(後編)ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第28話(後編)のネタバレです。

【漫画 薬屋のひとりごと】29話(前後編)ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第29話(前編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第29話(前編)ネタバレここから〜

とある寝室。

薄暗い部屋に、窓から光がさしています。

長い髪の女が何かに馬乗りになっているのが浮かび上がりました。

手には刃物を持っています。

女は泣きながら、赤子を押さえつけていました。

その涙が、赤子の頬に落ちます。

赤子を押さえつける手には包帯がまかれ、血がにじんでいました。

赤子は無垢な目で、女を見つめ返します。

震える手で、女は刃物を振りかざしました。

赤子の目に恐怖の色が浮かびます。

「いやあああああああ」

そこで猫猫は飛び起きました。

「はぁ、はぁ」

ぐっしょりと汗をかいて、息が荒くなっています。

「昔の夢。…いや、赤子のころにあったとされる夢か」

はぁ、と布団の中でため息をつきます。

昨日、壬氏に「あんなこと」を話したからかもしれない、と思うのでした。

妓女の価値の落とし方について、壬氏は聞いてきました。

感慨も込めずに言ってのけたはずの猫猫でしたが、影響したのでしょう。

「おはよう」

羅門が声を掛けます。

ああ、帰ってきたんだなと猫猫はほっとしました。

「おはよう、おやじ」

布団の中から返事をします。

昨日、壬氏を見せに送り届けた後、猫猫は実家に帰ってきていたのでした。

外廷に出仕してから初めての帰郷です。

本来、宮仕えの下女に休みはありません。

主人の仕事が休みでも、生活はあるのですから当たり前です。

こうして今回休みがもらえたのは、水蓮に許しをもらえたからでした。

「今日はどうするんだい?」

朝餉を食べている猫猫に、羅門が柔らかい笑顔で声を掛けます。

「別に」

「特に用がないんだったら、緑青館に行ってくれないかい?」

「わかった」

羅門のやっている薬屋は、緑青館の中にあります。

しかし、今回の用事はそこではありませんでした。

華やかな吹き抜けの玄関を通り、整えられた中庭を望む渡り、廊下を抜けた奥に、客が立ち入らない離れがありました。

猫猫は、静かに扉を開きます。

「おはよう」

そこには、一人の女が横たわっていました。

髪は乱れ、目はうつろです。

手にも足にも腫瘍が広がっていて、鼻は崩れ落ちていました。

その姿は、もはや人ではないようでした。

「薬持ってきたよ」

昔は毛嫌いされて追い払われていましたが、ここ数年はそんな元気もないようです。

「とうに言葉も忘れてしまったのか」

猫猫は女の口に、薬を流し込みます。

女に飲ませるのは、羅門が水銀やヒ素の代わりに使っている薬でした。

それらより毒性は少なく、よく効くのですが、今の容態では気休めにもなりません。

それでも、与えるしか治療法が分からなかったのです。

この四十路近い、鼻のない女も、かつては蝶よ花よと謳われた妓女でした。

今でこそ、客を選ぶだけの格式のある緑青館でしたが、十数年前、泥のかかった看板を掲げていた過去がありました。

この女は、その数年間に客を取り、不幸にも梅毒をうつされたのです。

早い段階で薬を与えていれば治ったものだろうに、今はもう、外見だけでなく、体の内に病は進行し、記憶もずたずたに引き裂かれていました。

羅門が妓楼を訪れたころには、病はちょうど潜伏期間に入っていました。

その時病状を教えていれば対処できたはずなのですが、突然現れた元宦官の男をみんなが信じるわけがなく、病状が告げられることはありませんでした。

妓楼では、客を取らなければ、食べてはいけないのです。

それが妓楼の掟でした。

数年後、再び体に発疹が出始めると、腫瘍は瞬く間に広がりました。

それ以来、女はこの部屋に押し込められて、客の目の届かぬところに置かれ続けているのです。

本来、使い物にならない妓女は、追い出されるのが常です。

ドブに投げ出されなかっただけ、寛容と言えるでしょう。

猫猫はため息をついて、窓を開けました。

「だいぶ臭いがこもっているな。香を焚きながら身体を拭くか」

猫猫は香を焚きます。

これは、職人一家の件の礼にもらったものでした。

酒と思って受け取ったら、香だったのです。

調薬では匂いが混ざると困るため、使えないので持ってきたのでした。

ほんのり甘くて上品な香りがします。

すると、かすれるような歌が聞こえてきました。

見ると、あの女が歌っています。

口元には笑みが浮かんでいて、機嫌がいいようです。

その時、パタパタと足音がして、禿がやってきました。

「なんだ一体?」

「姉さんに言われて。こっちに戻らにほうがいいって。変な眼鏡の人がいるから」

「そうか、わかった」

猫猫は、変な眼鏡の男のことを知っていました。

緑青館の顧客で古い馴染みの男でした。

猫猫にとっては、できることなら会いたくない男でした。

「ここにいれば、その客が来ることはない」

しばらくここにいなければいけないようでした。

猫猫は、湯を張った桶に手ぬぐいを浸します。

すると、あの女が起き上がりました。

袋の中から、白と黒の石を取り出して並べています。

猫猫は身体を拭くのをやめました。

女が石を並べているのを、じっと膝を抱えて眺めます。

そして、つぶやくように言いました。

「バカな女」

〜薬屋のひとりごと第29話(前編)ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第29話(前編)のネタバレです。

以下、薬屋のひとりごと第29話(後編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第29話(後編)ネタバレここから〜

猫猫が部屋で物思いにふけっていると、梅梅がやってきました。

「お疲れー猫猫。もう帰ったよ」

猫猫の会いたくない男は、帰っていったようです。

「猫猫に、またあの話が来たわ」

そう言う梅梅に、猫猫は寒気で身を震えさせます。

「性懲りもないね、あのおっさん。ねえちゃんも、よく付き合えるね」

猫猫の率直な感想でした。

「割り切れば、いいお客よ。金払いさえ良ければ、おばばは何も言わないしね」

猫猫は視線を落とします。

「…婆がここ数年、妓女になれってうるさいのはそういうことだよね。雇われてなければ今頃あの客に売り飛ばされていたかと思うと、ぞっとする」

やり手婆は、猫猫が李白を連れて借金をする前から、何かにつけて猫猫を緑青館で働かせようとしていました。

お前のような傷物でも好む客はいる、というのは、例の男のことだったのです。

不快そうに眉を寄せる猫猫を見て、梅梅は彼女をなだめます。

「他から見たら、またとないご縁だわよ」

「はぁ?」

猫猫は梅梅の言葉に、心底嫌そうな顔をして睨みました。

「そんな顔しない」

妓女にとっての良いご縁というのは、どうも他と少しずれているようです。猫猫は面食らいました。

「望み望まれを願ってかなう妓女が、どんだけ少ないかわかる?」

「婆なら、銀の重みでそんなもん蹴り飛ばすからね」

「あれは、極楽行きの船賃を稼ぐためにため込んでいるから、仕方ないわよ。そのうち、私らの誰かを売りに出す気みたいだわ。もう年だからね」

梅梅はため息をつきながら、言いました。

梅梅はまだ三十路前でしたが、妓女にとっては引退の年齢でした。

まだまだ美しいですが、容貌に陰りが見える前に、やり手婆は売り飛ばしたいのでしょう。

「独立すれば?」

「婆に目をつけられたくない。もう少しだけ、この仕事続けるわ」

梅梅の表情は、少し切なそうな儚いものでした。

猫猫はその笑顔の裏に、複雑な感情があるのに気が付きましたが、あまりそのことについて深く考えたくはありませんでした。

「…恋か」

そんな感情は、どこかへ置いてきてしまった、と猫猫は思うのでした。

壬氏は、いつもの姿で執務室にいました。

どことなく浮かない表情です。

「まさか、昨日の待ち合わせの店が、花街のような接待をしているなんてな」

変装して向かった店は、飯盛り娘が買えるサービスのある店でした。

猫猫は「息抜き」ととらえていましたが、壬氏は全く知らなかったのです。

「そんなものを買いに行ったわけじゃないのに」

壬氏は漆塗りの箱をちらっと見ます。

そんな店に猫猫を途中まで同伴させることになるなんて…壬氏は頭を抱えました。

そう提案したのは高順です。

壬氏は矛先を高順に向けます。

「高順、何か企んでないか?」

高順は静かに首を振りました。

「それよりも、街歩きはどうでしたか?」

「…そう言えば、あの娘の養父とやらは、もとは宦官で医官だそうだ」

「元医官の教えを受けたならあの知識は納得いきますが、そんなに優秀な医官が宦官の中にいたでしょうか」

「不思議だろう?」

正直、後宮の医官の質はよくありませんでした。

医官になれる人間が、去勢してまで後宮に入る必要はないからです。

口元に手を当てて考えを巡らせる高順を見て、壬氏は「この男なら調べておいてくれるだろう」と思うのでした。

壬氏は、猫猫とのやり取りを思い出します。

妓女の価値の下げ方を聞いた時、猫猫は妙にしんみりとした表情していたように思いました。

トントン、と扉をたたく音がして、羅漢が入ってきました。

「失礼するよ。先日の話の続きをしましょうか?」

その姿を見て、壬氏はむっとします。

「詳しいものに聞きましたよ。本当に随分とあくどいことをなされたようで」

軽蔑の意を込めて、壬氏は言いました。

猫猫の答えから、この羅漢というずるがしこい狂人が、何をやったのか、あらかた想像は付きました。

なぜ緑青館の身請け話から突っかかってきたのか?

なぜ昔のなじみの話をしたのか?

なぜ結論を他人から聞けと促したのか?

壬氏の中で辻褄は合い、納得することができました。

「あくどいとは失礼な。やり手婆を説得するのに十年かかったのに、それを横からかっさらったトンビには言われたくないね」

羅漢は、冷たい嫌らしい目をして言いました。

「しかし、『油揚げ』はもう、私のものです」

壬氏の態度は確固としたもので、少しの揺らぎも感じられません。

「いくらでも出しましょう。昔と同じ轍は踏みたくないのでね」

「嫌だと言ったら?」

壬氏は鋭い視線を、羅漢に向けます。

「貴方様にそう言われると参りますな」

羅漢の言葉に、壬氏は動揺します。

「やはり、正体を見抜かれている」

「しかし、『娘』が、それをどう思うかなのですけど」

羅漢は愉しそうに笑いながら言いました。

「ああ、嫌だ。つまり羅漢は猫猫の実の父親だということだ」

壬氏は叫びだしたい思いでした。

「娘に、そのうち会いに行くと伝えていただけますか?」

羅漢はそういうと、去っていきました。呆

然と執務室に残された、壬氏と高順。

お互いに顔を見合わせると、深い深いため息をついたのでした。

翌日、猫猫が拭き掃除をしていると、壬氏が現れます。

「あ~戻っていたのか」

「壬氏さま、おはようございます。朝食の毒見に間に合うよう、今朝方戻りました」

「…そうか、ご苦労だな」

壬氏は、言いにくそうに一呼吸おいて話を続けます。

「今度お前に会いたいという、官がいるのだが」

「どんな方ですか?」

聞き返す猫猫。

「ああ、前から話している変人だ。名を羅漢という」

その名を聞いた途端、猫猫の表情は人を殺さんばかりの形相になりました。

壬氏は、その表情を見て青ざめます。

この娘にとって、あの男がどんな存在なのか知るのには十分すぎる表情でした。

「…どうにか断っておく」

壬氏は声を絞り出します。

「ありがとうございます」

猫猫は頭を下げると、ケロリといつもの顔に戻り、仕事へ戻っていきました。

「あんな表情は初めて見た」

猫猫の後姿を、壬氏は視線で追います。

そして、うなだれながら思うのです。

「出来ればもう、見たくもないな」

〜薬屋のひとりごと第29話(後編)ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第29話(後編)のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】30話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第30話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第30話ネタバレここから〜

猫猫は拭き掃除をしています。

脳裏には、この前の壬氏の言葉が浮かびます。

「今度お前に会いたいという、官がいるのだが。名を羅漢という」

猫猫は重い気持ちになり、はぁ~っと深いため息をつきました。

「あの男の話題は予感していた。だからこそ、軍部に行くのを避けていたのだが」

猫猫が軍部を避けるようにしていたのは、羅漢がそこにいるのを知っていたからでした。

「あらもう疲れたの?まだ半分以上残っているわよ」

「いえっ」

目ざとい水蓮に声をかけられて、猫猫はギクッとします。

猫猫が壬氏に使えるようになって二か月がたちました。

壬氏には、半月に一度、定期的に回ってくる仕事があるようでした。

前日からゆっくりと湯浴みをして、香を焚いて出かけていきます。

今日は壬氏が出かけているので、いつもより掃除の範囲が広がったのでした。

「夜の食事は精進料理だから、あなたも肉や魚をつままないようにしてね」

茶を飲みながら、水蓮がそう言いました。

「わかりました」

まるで禊のようだ、と猫猫は思いました。

祭りごとを仕切る人物は、禊を行うことがありました。

壬氏が高貴な生まれであれば、その一つや二つを請け負うことは、なにもおかしいことではありません。

「しかし、宦官でも祭祀ってやれるのか?」

猫猫が考え事をしていると、水蓮が声をかけます。

「午後はお使いに行ってくれる?ちょっとお薬をもらいに医局まで」

猫猫は医局、という言葉に顔を輝かせます。

「わかりました」

いつもよりもはきはきと返事をする猫猫に、いつもそうやってはきはきしていればいいのに、と目を細める水蓮でした。

医局は外廷の東寄りの位置にありました。

軍部に近いのは、軍部のけが人が多いからでしょう。

猫猫は羅漢に近づきたくないのはやまやまでしたが、それ以上にこちらの医局に興味がありました。

後宮の医局は、やぶ医者の管理で宝の持ち腐れとなっていましたが、外廷の医官は優秀なはずです。

ここではさぞ、活用されているに違いない、と猫猫は胸を躍らせます。

「失礼します。薬をいただきに参りました」

猫猫は医局の薬師に声をかけて、札を見せます。

「ああ、この苦みが口の中に広がるにおい。たまらない」

猫猫は、医局の空気を胸いっぱいに吸い込みました。

顔が緩み切っています。

「出来れば医局の中をあさりたい。隣の部屋にある薬棚をじっくり観察したい」

溢れ出る薬への思いが、猫猫をうずうずさせます。

「いや、駄目だ。こらえろ」

足が勝手に隣の部屋へと進んでいくのを、猫猫は必死で抑えます。

結果、おかしな格好になっています。

「何やってるの?」

その声に振り替えると、そこには、あの残念な化粧の官女が立っていました。

「ただ、薬を待っていただけです」

猫猫はおとなしく椅子に座りました。

薬師が奥から現れると、官女に声をかけます。

「来てたのか、翆苓(スイレイ)」

薬師は頬を染めて、嬉しそうです。

「詰所の常備薬を頂きに」

あの官女は翆苓というようでした。

「そういえば前会った時も、軍部の近くだったな。軍部に勤めているから、あの時薬草に匂いがしたのだろうか」

翆苓はじとっとした視線を猫猫に送ります。

どうやら、あまり良くは思われていないようでした。

「ほかにいるものはないか」

薬師は親切に声をかけますが、翆苓の方はそっけない様子です。

「それでは失礼します」

と足早に医局を去ってしまいました。

薬師はそれを残念そうに見送ります。

「…ああ、本来なら官女なんてやらなくていいのに」

薬師はボソッと呟きました。

猫猫がそこにいるのを思い出し、何でもないと誤魔化すと、慌てて薬を取りに行きました。

「意味深な言葉だ。けれどまぁ、首を突っ込む必要もない」

猫猫は先ほど聞いたことを胸にしまいます。

それよりも、貰った薬が何なのかが気になっていました。

わくわくしながら、こっそりと開封します。

半紙に包まれていたのは、粉末でした。

猫猫は指にとって舐めてみます。

「…芋の粉か?」

首をかしげる猫猫でした。

「水蓮さま。また医局に行くような用事はありませんか?」

「あら、おさぼりは駄目よ」

猫猫は期待に胸を膨らませて水蓮に尋ねますが、撃沈してしまいます。

「それと、こっそり変な草を物置に隠すの。あれも駄目だからね」

「はい」

猫猫の薬草のコレクションは気づかれてしまっていました。

さすが年の功、紅娘の何倍も手ごわい水蓮です。

「部屋が狭いようなら、壬氏さまにお願いしたら?部屋は余っているのだから、使わせてもらえるかも」

以前、厩を貸してくれと言われたときに断られていました。

「貴人の住まう場所を薬棚扱いはできませんから」

それを聞いた水蓮は少し考えます。

「子猫は、あまり気にしていないように見えて、けっこう区切りをつけているのね」

「私はもともと卑しい生まれの娘ですから、今ここにいるのも不思議な縁です」

「そうね。けれど、尊い生まれだから別のものだなんて、思わないでもらいたいわ。何がどう転じて、どうなるかわからないのが人生だもの。生まれだけで分けるなんて、もったいないと思わない?」

猫猫は静かに水蓮の言葉を聞いていました。

「そうですか」

「えぇ、そうよ。さて、そろそろ次のお仕事をお願いしようかしら」

水蓮の背丈の半分もあるでしょう、大きな籠を持ってきました。

中には、ごみがいっぱい袋に入れられています。

「これを捨ててきてくれない?ここのごみは勝手に中身をあさられやすいから、なかなか下男下女には頼めなくって」

猫猫はその量の多さに、唖然とします。

「ゴミ捨て場に行く途中、医局があるでしょう?前を通るだけなら別にいいわよ」

一瞬、猫猫は顔を輝かせますが、すぐに気づきます。

「それって、生殺しじゃないですか!」

籠いっぱいのごみを背負って、泣きながら医局の前を通り過ぎるのでした。

「あの貴人は、どれだけ無駄に周りを惑わせているんだ?」

息を切らしながら、焼却場に籠を運んだ猫猫。

こうして、壬氏のごみは誰にも暴かれることなく、灰になったのです。

猫猫は、空になった籠を背負って、帰ろうとします。

その時、見覚えのある植物が、猫猫の目に入りました。

「あっ、あれは!」

猫猫は飛びついて観察します。

「この葉の形、この匂い、やはり生姜だ。なぜ雑草に混ざって」

厩の裏なので、栄養が行き届いていたのかも知れませんが、だからといって生姜がこんなところに自然に生えるとは思えません。

猫猫は、向こう側が小高い丘があることに気が付きました。

近づいて見ると、そこにはなんと薬草畑がありました。

猫猫は喜びに胸を躍らせます。

「何やってるの?」

突如、背後から聞き覚えのある声がしました。

なんと、翆苓が立っていました。

「安心してください。まだ何も採ってません」

「つまり今から採るところだと?」

翆苓は手に鎌を持っており、猫猫は怯えました。

「非公式な場所だし、別に咎めようとは思わないわ。ただ、一応医官も知っている場所だから、あんまり出入りしないほうがいい」

翆苓は鎌を置いて、雑草を抜き始めました。

「この場を任されているんですか?」

「好きなものを植えさせてもらっているだけ」

「何を植えるのですか?」

問いかける猫猫に、翆苓は雑草をむしりながら静かに答えます。

「蘇りの薬」

猫猫は息をのみます。

「それはっ。な、…なんですか」

猫猫の反応に、翆苓は一瞬驚いた顔をします。

そして、ふっと寂しそうに笑いました。

「冗談よ」

死者がよみがえることができる薬があるなら、喉から手が出るほど欲しい、と猫猫は思いました。

「あなた、薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしらね」

翆苓はまるで挑発しているかのような口調で言いました。

そして立ち上がると、遠くを見ながら言いました。

「もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ」

そして薬草畑から去って行ってしまいました。

〜薬屋のひとりごと第30話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第30話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】31話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第31話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第31話ネタバレここから〜

「おーい嬢ちゃん!」

庭の履き掃除をしている猫猫に、李白が声をかけてきました。

「李白さま。どうかされましたか?」

「困ったことが起きた」

そう告げる李白に、わざわざ話に来たのだからよほどのことなのだろう、と猫猫は思いました。

前に倉庫でボヤがあった時のことです。

あの時、別の倉庫で盗みがあったのだ、と李白は話しました。

「火事場泥棒ですか。何が盗まれたんです?」

李白は猫猫を木の陰に誘いました。

人目を避けたほうがいい話題のようです。

李白は耳打ちしました。

「なくなったのは、祭具なんだ。しかも一つじゃないんだと」

「そんなずさんな管理だったんですか?」

「いや、そうでもない」

李白の話では、ちょうどその責任者が食中毒になってしまい、不在だったということでした。

好物の海藻にあたったまま、意識が戻らず、仕事にも復帰できないと言います。

猫猫はその話に聞き覚えがありました。

「それって、珍味好きの管理の話ですか?」

「お前なんで知っているんだ?」

ボヤと同時に窃盗があり、同時期に倉庫の管理者は食中毒で不在とは、偶然にしては不可解です。

「前任の管理者に聞けばいいのでは」

「それが長年関わっていた高官も去年死んじまって、詳しいことが分からんらしい」

「その高官とは、どのような方でしたか?」

「何て名前だったか。とにかく甘いものが好きで…」

「もしかして、浩然さまではないでしょうか」

猫猫は、去年壬氏から聞いた名前を出します。

塩の過剰摂取で死んだ男です。

「それだそれ!」

李白は、やたらと詳しい猫猫に驚きました。

「これがすべて偶然の重なり?いや、一つ一つの事故がもし、故意に引き起こされたものだとしたら」

猫猫の胸はざわつきます。

「それで、私に何かご用ですか?」

「それだ本題!」

李白はボヤ事件のときに落ちていた煙管を取り出します。

返そうとしたら、持ち主に突き返されてしまったそうです。

猫猫が磨いて、李白に渡したのでした。

「上等な品なので、大切なものかと思ったのですが」

「それがこれ、どっかの官女に貰ったらしいんだ」

李白が倉庫番から聞いた話によると、あの晩、暗い中一人で歩いていた官女を、場外まで送っていったそうです。

その時に、礼としてこの煙管をもらったということでした。

「ただの倉庫番がこんな立派なものをもらったら、すぐに使いたくなるかもしれませんね」

必ずしも全員がそうするとは限りませんが、騒ぎを起こして、狙いの倉庫の警備を手薄にする算段で、その官女が倉庫番に煙管を渡したのだとしたら…。

「李白さま、その官女って」

「ああ、一応詳しく聞いたぞ。だが官女の顔は暗がりでよく見えなかったそうだ」

官女は襟巻をしていたそうで、季節柄のせいでもありますが、あらかじめ顔を隠していたのかもしれません。

「ただ、女にしては上背があって、なんか薬の匂いがしたそうだ」

猫猫は、はっとします。

「身長からしてお前じゃないのは、わかっているんだが、心当たりはないか?」

猫猫は翆苓の姿を思い浮かべました。

彼女とすれ違う時に薬のにおいを嗅ぎ取りましたし、彼女は身長も高かったのです。

猫猫は李白に翆苓のことを告げようかと悩みます。

「憶測でものを言っちゃいけないよ」

羅門の言葉が、猫猫を押しとどめるのでした。

「さっきあげた事故や事件の他に、何か不可解なことはなかったでしょうか?」

猫猫の質問に、李白は頭を悩ませます。

「そう言われてもなぁ。調べたら何かあるってわけか?」

「偶然がいくつも重なって、やがて必然になった時、そこにその長身の官女に似た人物がいたらどうでしょうか?」

猫猫は翆苓の名前を直接出すことは避けましたが、周辺を調べて翆苓が浮かび上がっても、猫猫には関係のないことでした。

「なるほど」

李白は得心して、猫猫の肩をバシバシとたたきます。

その様子を、木の陰から覗いている黒い影がありました。

「楽しそうだな」

そこにいたのは、嫉妬で恨みがましい目をした壬氏でした。

李白は慌てて、その場を去ります。

「あの武官とはずいぶん仲が良いようだな」

「そうでしょうか?」

じとっとした壬氏に対して、猫猫はけろりとしています。

今回の話が、浩然と繋がったのなら、壬氏にも関係がないとは言い切れません。

「壬氏さま、詳しくお話してもよろしいでしょうか?」

猫猫は壬氏に、李白から聞いた話と、ここ最近の事件のつながりについて話しました。

「それは、妙なつながりがあったものだな。それで何があると思う?」

「現時点では、何をしたいのかわかりません。一つの事件を確実にというより、いくつか罠を仕掛けてどれかが成功すればよい、という具合にも見えます」

「そうなると、他にも仕掛けてある可能性があると」

壬氏が指摘すると、猫猫は断言はできない、と答えました。

どれも事件か事故か判断のつかない案件ばかりで、まだ偶然が重なっただけの可能性も捨てきれませんでした。

「乗り気ではないのか?」

「乗り気?」

猫猫はいつも、面白がって首を突っ込んでいるわけではありませんでした。

たまたま目にしたことが気になっただけでした。

「私は単なる下女ですので、言われた仕事を行うだけです」

淡々と答える猫猫を見て、壬氏はあることをひらめきます。

「なら、こういうのはどうだ?」

壬氏はウキウキしながら筆を取りました。

「先日、交易商人のところを周った時、面白いものが出ていると聞いてな」

壬氏は猫猫に、書いた紙を見せます。

「こういう名だったんだが」

そこには、牛黄と書いてありました。

牛黄とは、薬の一種であり、牛の胆石のことです。

1000頭いるうちの1頭にしかないとされ、薬の最高級品として扱われるのです。

貧しい花街の薬屋では、そうそうお目にかかれない垂涎の代物です。

「なんだこの宦官は!それをくれるというのか?」

猫猫は息を荒くします。

「…いるか?」「いります!!」

「子猫」

猫猫は正気を失っていました。

気付けば机によじ登り、身を乗り出して壬氏に迫っていました。

高順が猫猫の服の裾をつかんでいます。

はっとした猫猫は、何事もなかったのように机を降ります。

「失礼しました」

壬氏は嬉しそうに顔をほころばせます。

「やる気になったようだな」

「本当に牛黄は頂けるのでしょうか?」

「仕事次第だ。情報は逐一やろう」

壬氏は久しぶりにキラキラの笑顔を向けます。

「壬氏さまの思うままに」

猫猫は、今まで見たこともないほどやる気に満ちていました。

「ということで高順。手配を頼む」

二人の様子に、頭痛がする高順でした。

〜薬屋のひとりごと第31話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第31話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】32話ネタバレ

以下、薬屋のひとりごと第32話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第32話ネタバレここから〜

猫猫は宮殿内の図書館に訪れて、機密文書を調べていました。

機密文書では、ここ数年宮廷内で起きた事故や事件が箇条書きされています。

文官が猫猫の希望の文書を持ってきてくれました。

先日の、毒海藻なますで食中毒を起こした事件が書かれている文書がありました。

それによると、食中毒を起こした官は、礼部の者でした。

礼部とは、教育や外交をつかさどる部署のことだったはずです。

猫猫は文官に尋ねます。

「あの、これはどんな官職ですか?」

「ああ、これは祭事を司どっているんだよ」

猫猫は、李白が祭具を管理していたと言っていたことを思い出します。

猫猫は、はっとします。

食中毒の官も、浩然も、祭事に関わる官吏でした。

予め狙われていたのでしょう。

そして、あのボヤ騒ぎが、より確実に祭具を盗み出すためのものなら、偶然に見せかけられたこれらの事件が重なり合う、「必然」が起こる場所があるはずです。

祭事自体は小さいものから、大きなものまで年中行われます。

しかし、ここまで手をかけて盗んだ祭具が使われるとすれば、中祀以上のものでしょう。

猫猫は、壬氏もよく禊をしていたことを思い出します。

祭事のことを聞けばわかるだろうと思いましたが、今日は一日出かけると言っていました。

「そうだ!祭事に興味があるなら、ここにいいものがあるぞ」

文官は、祭事場の絵を持ってきてくれました。

「外廷の西の端にある、蒼穹壇っていってな。なかなか変わった造りなんだよ」

その絵によると、天井に大きな柱をぶら下げていて、中央の祭壇の上にはひれが舞っています。

ひれには祝いの言葉が書いてありました。

「毎回柱を下ろして、言葉を足していくんだ。これが窯で焚かれた香の煙で舞い、願いとなって天に昇ると言われている」

文官は詳しく教えてくれます。

「なんだかお詳しいのですね」

「これでも、書庫に来る前は礼部でもっとちゃんとした仕事をしていたのさ」

文官は話を続けます。

「最初は強度が心配だったんだが、問題がないみたいで安心したよ」

「強度?何のことですか?」

「中央の柱は天井の滑車に通した紐を、床に固定して吊り上げられているんだが、柱が大きなものだから、もし落ちたらと思うと心配で。強度について上に忠告したら、こんな場所に飛ばされてしまったんだ」

「なるほど」

確かに恐ろしい話です。

もしも金具などが壊れて、天井から柱が落ちてきたら、一番危ないのは真下にいる祭事を行うものです。

中祀以上の場合、犠牲となるのはやんごとなき立場の人物です。

「しかし、祭具を盗む動機としてはあり得るかもしれない。いや、だとしても、こんな重要な祭具がなくなれば、必ず作り直すはず」

猫猫の脳裏に、職人の三兄弟の姿が浮かびます。

秘伝の技を使って、宮廷の御用達に昇りつめた三男。

なくなった祭具がもし、作り直されていたとしたら?

「すみません!この場所で、次、祭事が行われるのはいつですか?」

猫猫はひっ迫した様子で、文官に尋ねました。

文官は少し考えて答えます。

「ちょうど今日だな」

猫猫は血相を変えて、書庫を飛び出しました。

西の蒼穹壇に向かいます。

「予想が正しければ、これは長い時間をかけて寝られた計画のはずだ」

不確定な仕掛けを一つ一つ積み重ね、ようやくここまで結びついたのでしょう。

あくまで予想にしかすぎません。

でももし、その予想が的中していたら、金具の近くには火があるはずです。

猫猫は全力疾走して、西の蒼穹壇へたどり着きました。

「おい!お前何をしている」

警備の武官に止められて、猫猫は舌打ちをします。

早くしないと間に合いません。

「緊急事態です。中へ通してください」

「だめだ、祭事中だ。お前のような下女が神事に口出しする気か?」

もっともでした。猫猫はただの下女で、なんの権力も持ちません。

何かが起こる確証があるわけでもありません。

「でも」

猫猫はぐっと拳を握り締めます。

緑青館のあの鼻のない妓女の姿がよぎりました。

「取り返しのつかないことはいつも、気付いてからでは遅いのだ」

猫猫は大きな声で武官に頼みました。

「命の危険があります。祭事を取りやめてください」

「お前が決めることじゃない」

「あの祭壇には、致命的な欠陥が見つかりました。誰かが工作した可能性があります。ここで中に入れなければ、後悔することになりますよ。こうして私が危険を説いているのに、それを拒んだのであれば」

猫猫はここで言葉を区切り、わざとらしく芝居がかった声を出します。

「ああっ、そういうことですか。私を邪魔してことが起こるのを待っているのですね。つまり貴方は、工作をやらかした輩と繋がっていると」

挑発的な目を武官に向ける猫猫。

次の瞬間、武官はこん棒で、猫猫の顔を殴り飛ばしました。

あまりの衝撃に、吹っ飛ばされる猫猫。

「視界が白い、耳が熱い」

猫猫は、騒ぎが起きれば祭事が止まるかも知れないと、わざと腹の立つ物言いをしたのでした。

しかし、祭事は続けられています。なおも殴りかかろうとする武官を、別の武官が止めに入ります。

ぼたぼたと血が落ちてきます。

鼻血が出ていました。まだ気を失うわけにはいかない、と猫猫は立ち上がります。

「気は済みましたか?通してください。」

猫猫は心の中で叫びます。

こんなことをしている暇はないのだ、もし何かが起きたりすれば牛黄がもらえない!

「中にやんごとなき身の方がいらっしゃるのでしょう?何か起きたら飛ぶのはあなた方の首ではありませんか。祭りを中断しろとは言いません!私を見逃してください、偶然鼠が入ったとでも言って。それなら、飛ぶのは私の首だけで済むでしょう」

できることなら斬首ではなく毒殺にと、壬氏に乞うつもりでいました。

猫猫の必死な様子に、武官たちは動揺しています。

「お前のような小娘の言を信じろというか」

「では、私の言ならどうだい?」

後ろから、近づいてくる人物がいました。

羅漢です。

「あなた様は…なぜこんなところに」

「それにしても、年若い娘を殴るとはどういうことだろうね。

怪我をしているじゃないか。誰がやった?」

羅漢は、笑みを浮かべながらも、武官に刺すような視線を向けます。

武官は思わず震えました。

「ともかくその娘の言う通りにしてやってはどうだい?私が責任を取るよ」

猫猫は一度も振り替えず、背中で武官の言葉を聞いていました。

握りしめた拳に力が入ります。

「図ったようなタイミングに。いや、今はアレを気にしている場合じゃない」

猫猫は走り出します。

「声の主が誰かなんて、どうでもいい」

走っていく猫猫の背中を、武官は楽しそうに見送りました。蒼穹壇に傷だらけの下女が入っていくので、周囲はざわつきます。

猫猫が入り口をくぐると、ギッと柱を固定している金具が不穏な音を立てました。

猫猫は祭壇の中央に向かって走ります。

柱の真下には、祈りをささげいている人物がいました。

「バキッ」

金具がついに壊れました。

唸るような風音と共に、金属柱が落下してきたのと、猫猫が祭司をかばって体当たりしたのは同時でした。

すさまじい轟音とともに、金属柱は、祭司と猫猫のすぐ後ろへと落下しました。

「…助かった」

猫猫が安堵のため息をついた途端、激痛が彼女を襲います。

見ると、落下した金属柱で足が抉られていました。

「縫わなきゃ」

「おい」

猫猫が顔を上げると、そこにいた祭司はなんと、壬氏でした。

「なんでこんな状況になっている?」

壬氏は祭司の衣装に身を包み、髪もまとめていました。

「壬氏さま。牛黄を、頂けますか?」

猫猫の顔は腫れあがり、足は抉れて大量の血が出ています。

「それどころじゃないだろう。どうしたんだ、その顔は」

壬氏は悲しそうな、やりきれない表情です。

優しく、猫猫の頬に手を添えました。

「なぜ、そんな顔をしているのだろう」

猫猫はぼんやりと思いました。

「すみません、先に足を縫わせて…」

そこで猫猫はふらつき、倒れ込んでしまいます。

「おいっしっかりしろ、目を覚ませ!」

血相を変えて叫ぶ壬氏の声を、猫猫はもうろうとした意識の中で聞いていました。

「壬氏、うるさいなぁ」

〜薬屋のひとりごと第32話ネタバレここまで〜

以上が、薬屋のひとりごと第32話のネタバレです。

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【漫画 薬屋のひとりごと】7巻ネタバレ

7巻(未発売)
33話34話

【漫画 薬屋のひとりごと】33話ネタバレ

薬屋のひとりごと33話は、ビッグガンガン2020年Vol.4に掲載されています。

以下、薬屋のひとりごと第33話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第33話ネタバレここから〜

猫猫は、壬氏の寝室で目を覚ましました。

医局で寝かせるのは何だから、と壬氏が連れてきたのです。

水蓮が目を覚ました猫猫の看病をしてくれています。

「いっ」

猫猫を、ひどい痛みが襲いました。

猫猫は足を15針も縫っていました。

しばらくすると、壬氏、高順、馬閃が水連に連れられてやってきました。

「どういう経緯であの場所にやってきたのか。なぜ柱が落ちるのが分かったのか、説明してもらおうか」

壬氏が神妙な顔つきで、猫猫に尋ねます。

「あれは、偶然が重なり合った事故です。しかし、偶然が意図して引き寄せられたようでした」

猫猫はゆっくりと説明し始めます。

一つ目の偶然は、浩然という高官が亡くなったこと。

二つ目は小屋でボヤが起き、同時に別の場所で祭具が盗まれたこと。

そして三つ目は、ほぼ同時期に祭具の管理をしていた官が食中毒で倒れたことでした。

そして、そのどれもが、誰かの思惑で起こされたことだと、猫猫は考えていました。

一同に緊張が走ります。「祭壇の柱は、両端に取り付けられた紐が天井の滑車を中継して、床に金具で固定される形で吊るされていました。もし、祭事の最中、事故に見せかけ誰かを狙うなら、盗人は柱を止める要である、この金具を狙うでしょう」

「そんなものが盗まれたら、作り直さないわけがないだろう」

馬閃が口を挟みます。

「当然作り直したでしょうね。祭事に使うなら、装飾を凝るのではないですか?」

「その可能性はありますね」

猫猫は、はっきりとした口調で言いました。

「その職人に心当たりがありました」

壬氏もはっとします。

思い当たる人物がいました。

「あの細工職人の一家のことか」

金具は火を焚く場所のすぐ近くで、床とワイヤーをつないでいました。

しかし、その金具が熱せられて壊れるようになっていたのです。

「ばかか、金具だぞ。燃えるわけがない」

馬閃が語気を強めます。

「でも柱は落ちました。祭壇の構造は問題なかったと思います。しかし、重要な金具の強度が及ばなかった」

金具は本来であれば、高い温度でしか溶けません。

しかしあの細工職人は、違う金具を混ぜ合わせることで、低い温度でも溶ける金具を秘伝の技で編み出していたのです。

そしてその秘伝は、弟子である息子たちには継承されていませんでした。

職人は秘伝の手掛かりを遺言に残していましたが、猫猫が謎を解かなければその秘伝は失われていました。

そうすれば、金具が解けた理由はうやむやとなり、犯人にとても都合がよかったでしょう。

「まさか、死んだ職人も殺されたのか?」

壬氏は深刻そうに尋ねました。

猫猫は、それは分からない、としたうえで続けます。

「職人の作業場では鉛が使われていたので、商業柄避けて通れない中毒死だったのかもしれません。ですが、そう見せかけた事件の可能性もあるでしょう。しかし少なくとも、死んだ職人に金具の制作を頼んだ人間は、その技術がなんであるか知っていたのではないでしょうか」

猫猫に言えるのは、ここまででした。

壬氏は考え込んでいます。

猫猫はその様子を見ながら、なぜあの場に壬氏がいたのかを考えていました。

「何者なんだよ、こいつ」

もし壬氏が、この大掛かりな事件で狙われるに値する人物なら―。

猫猫は恐ろしくなり、考えを打ち消しました。

それから程なくして、李白が猫猫を訪ねてきました。

事件に関連している官女は、やはり翠苓でした。

その翠苓が、死体で見つかったというのです。

証拠を集めて官が部屋に乗り込んだ時には、毒をあおって寝台の上に倒れていたそうです。

猫猫は驚きました。

医官による検死も済んで、死亡も確認されたということでした。

「どうなるのですか?」

「罪人だから墓には入れないし、棺に入れたまま明日には火刑になるんじゃないか」

李白の話によると、翠苓1人だけの犯行だったそうです。

猫猫は違和感を覚えます。

「あれほどこまごまとしたことを、全部ひとりで?」

李白が報告を終え帰っていった後も、猫猫は考え込んでいました。

「翠苓は簡単に自殺するような女だろうか」

猫猫は、薬草畑で翠苓と会った時のことを思い返します。

何を植えているのか、という猫猫の問いに、

「蘇りの薬」

と翠苓は答えました。

「そう口にした女が毒をあおって死んだ?」

猫猫は行動を起こします。

「壬氏さま、お頼みしたいことがあるのですが。例の官女を検死した医官とお話がしたいのです。死体置き場で」

「医官と話すのは構わないが、俺も同行するからな」

この国では、獄中死したものは火葬するのが習わしです。

中身がある棺は、黒と白の札が貼ってあり、空の棺桶は部屋の隅に重ねられています。

死体置き場に、猫猫、壬氏、高順が現れました。

検死を担当した医官を待ちます。

猫猫は、なぜか手にくわを持っています。

現れた医官は、医局で翠苓と親しげに話していた男でした。

顔色が悪く、やつれた様子です。

顔見知りが死んだ上に罪人扱いされたのですから、当然でしょう。

「単刀直入に、この官女が飲んだ毒には、曼荼羅華(まんだらけ)が使われていませんでしたか?」

翠苓の棺を前に、猫猫は言いました。医官は動揺します。

「断定はできない。症状から見てその可能性は高いが、数種類の薬が混ざっていて、特定するのは難しい」

曼荼羅華は毒性が強い薬草ですが、適量なら麻酔薬として作用します。

そして別名を、朝鮮朝顔といいます。

「もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ」

猫猫は、翠苓の言葉を思い出していました。

「では、本当にその毒か確かめましょうか」

猫猫は持ってきたくわを振りかざして、棺を開けようとします。

「黙ってみていてください!」

固く閉ざされた棺を、くわでこじ開けると、猫猫はふたを開けました。

一同は中に入っている死体を見て驚愕します。

「翠苓、じゃない?」

「嘘だろ、翠苓は確かに死んでいたのに」

医官は翠苓の遺体を検死しましたが、毒の正体をはっきりさせるために死体を切り刻もうとは考えませんでした。

翠苓に好意があったので、とてもそんなことはできなかったのでしょう。

つまり、医官は翠苓にいいように利用されたのです。

翠苓は人を死んだように見せる薬を飲んで、仮死状態になりました。

助けに来たものが棺桶を開けるころに息を吹き返し、棺を入れ替え、棺桶を持ってきた者と同じ格好をして、死体置き場から出ていったのです。

そしてその仮死状態にする薬に使われるのが、曼荼羅華と河豚毒でした。

「こっちの死体が燃やされた後なら、完全勝利だったはずですが、残念でしたね。生きていたら会いたいですね」

猫猫は不気味な笑みを浮かべます。

自分の命を懸けの代償にしてまで、みんなを騙そうとしたしたたかさに、猫猫は感動していました。

そして何より―。

「蘇りの妙薬、絶対作り方を教えてもらう!」

猫猫は湧き出る感情を抑えられず、高笑いしました。

一同はドン引きです。猫猫はひとしきり笑った後、ぴたっと動きを止め、振り返りました。

「すみません、足を縫ってもらえませんか?さっき傷口が開いたようなので」

「それを早く言え!」

〜薬屋のひとりごと第33話ネタバレここまで〜

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以上が、薬屋のひとりごと第33話のネタバレです。

薬屋のひとりごと33話は、ビッグガンガン2020年Vol.4に掲載されています。

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【漫画 薬屋のひとりごと】34話ネタバレ

薬屋のひとりごと34話は、ビッグガンガン2020年Vol.5に掲載されています。

以下、薬屋のひとりごと第34話のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第34話ネタバレここから〜

結局、壬氏は翆苓のことを、秘密裏に終わらせました。

死体置き場に棺を納品していた業者は、不思議なことに依頼を受けていないと言ったのです。

翆苓という官女についても、曖昧な点が多かったということでした。

翆苓は数年前、その才能を見出され、ある医師に養女に入ったようですが、それ以前のことはよくわかりませんでした。

「これは長丁場になるだろう」

と壬氏は頭を抱えます。

壬氏は、猫猫のことも心配していました。

放っておくと傷口がまた開くようなことをしそうなので、高順に猫猫の見送りをさせていました。

変人こと羅漢が、猫猫の父親であることは確かなようですが、猫猫の様子から何か事情があることがうかがえます。

壬氏はそれについても心配していました。

「明日は後宮か」壬氏の言葉に高順はうなずきます。

そして何やら薬湯を湯のみに注ぎ、飲み干しました。

「問題ないかと。いつもと同じです」

高順が毒見を済ませると、壬氏も鼻をつまんで飲み干しました。

某国より取寄せた芋の粉を溶かした薬は、毎日飲むことである特殊な作用を持ちます。

「この奇妙な甘さ、いつまで経っても慣れない味だな」

嫌なら飲まなくてもいいのに、という高順に、宦官としてのけじめだと壬氏は答えました。

後宮が現帝のものになった五年前に、宦官となった齢24の男、それが世間の知る壬氏です。

薬の作用は、男性機能を低下させるもので、壬氏は、「男でなくす」薬を6年間飲み続けていたのでした。

「そのうち本当に不能になりますよ」

高順の言葉に、壬氏は薬を思わず吐き出します。

「お前だって同じだろ!」

「子はもう成人していますし、先日孫が生まれました」

「だから、今更、新たに子を作る必要もないと。孫ってどちらの子だ?」

「上の息子の方です。末の息子も、そろそろ嫁をもらってもいいのですが」

「末子って、馬閃だろ。まだ19じゃないか」

「ええ、あなた様と同じ19です」

高順は、どことなく悲しそうな表情になりました。

「こんな仕事、早く終わらせろ、とでも言いたげな顔だな」

「早く孫を抱かせてください」

「努力する」

後日、壬氏と高順は柘榴宮を訪れていました。

かつてはさっぱりとして、無駄のなかった柘榴宮も、新しく後宮に入った楼蘭妃の趣味でしょうか。

今は絢爛で華やかな雰囲気に変わっていました。

「改めて、ここは寂しくなったな」

壬氏は思いました。

楼蘭妃の父親は、先の皇太后に気にいられた人物であり、かつて後宮女官を3000人まで増やした官でした。

ある意味、無理押しで入ってきた妃で、騒動が起きないかと心配していましたが、今のところ問題は起きていませんでした。

後宮には、宮廷内の権力調整を保つ機能もあれば、壊す機能もあります。

今のところ、皇帝の覚えがめでたいのは玉葉妃。

次いで梨花妃です。

帝は、楼蘭妃を下手に扱うわけにもいかず、10日に一度は通うようにしているようでした。

楼蘭妃はかなりの洒落物で、髪形も化粧も毎度変えていました。

後宮授業のときも、派手な羽飾りの不思議な衣装を着ていましたが、その他にも、南国の衣装や北方の異民族の服、少年のように胡服を着たり、腰を締め上げた西方の衣装を身につけもしました。

特徴のない顔立ちの反動でそうなったという噂ですが、真実かどうかはわかりません。

皇帝は訪れるたびに妃が誰なのかわからなくなり、あまり楼蘭妃に食指が動かないようでした。

乗り気でないと言えば、幼い里樹妃もそうなのですが、これは帝が、父たる先帝のよう幼女に手を出す嗜好を嫌悪しているためでした。

少女のころに現帝を産んだ皇太后の腹には、大きな傷跡が残っています。

小さい体での出産は困難を極め、赤子は腹を切って取り出されたのでした。

助からないと思われた母体は、異国より戻った医官により事なきを得ましたが、腹には傷跡が残ってしまいました。

幸いにも、子宮は無事で、その十数年後、皇太后はもう一人子を産んでいます。

先帝の子は、後にも先にも、その2人だけでした。

ただ、1人目のこともあってか、第二子の出産時、医官は皇太后につきっきりになり、当時の東宮妃である阿多妃の出産はないがしろにされました。

その時、阿多妃は子宮を失い、現帝の子も、間もなく亡くなりました。

「もし、その時の子が今生きていれば。なんて、くだらぬ妄想だ」

壬氏は鏡に映った自分を見て思いを巡らせました。

「さっさと次の東宮をこしらえてしまえばいい」

例の妃教育の後、皇帝の足の運びはずいぶんと増えていました。

壬氏は、結果は案外早く出るかもしれない、と思っていました。

壬氏たちは、翡翠宮を訪れました。

中に通されると、玉葉妃が座っていました。

「ああ、来たのね」

その様子はいつもと違い、顔色も悪く、辛そうな様子でした。

「体調がすぐれませんか?」

紅娘が他の侍女たちを追い出し、パタンと扉を閉めました。

「……実は」

壬氏は、猫猫に後宮へ行くよう指示していました。

「お前の大好きな仕事だ」

猫猫は喜び反応します。

「玉葉妃の月の道が途絶えているらしい」

それはつまり、妊娠を意味していました。

公主懐妊時に妃は、二度毒殺未遂にあっていました。犯人はまだ見つかっておらず、心中穏やかではないはずです。

壬氏は、今日からでも翡翠宮へ行くように言いました。

猫猫にとって、後宮へ行けるのはむしろ都合のいいことでした。

男子禁制の後宮であれば、羅漢と顔を合わせることはないでしょう。

「もしかして、気を利かせてくれたのか?」

どちらでもよいことだ、と思いつつも猫猫の頬は緩みました。

「あらずいぶんと機嫌がいいのねぇ。せっかく鍛えがいがある子が入ってきたと思ったのに」

水蓮の笑顔に怯えながらも、残りのお皿をしっかりと拭く猫猫でした。

〜薬屋のひとりごと第34話ネタバレここまで〜

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以上が、薬屋のひとりごと第34話のネタバレです。

薬屋のひとりごと34話は、ビッグガンガン2020年Vol.5に掲載されています。

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【漫画 薬屋のひとりごと】35話(前編)ネタバレ

薬屋のひとりごと35話(前編)は、ビッグガンガン2020年Vol.6に掲載されています。

以下、薬屋のひとりごと第35話(前編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第35話(前編)ネタバレここから〜

猫猫は再び、翡翠宮で働くことになります。

以前と変わらず、毒見をする毎日。

懐妊されたとする玉葉妃については、まだ定かではなく、月経が来ていないこと以外にこれといった確証はありませんでした。

しかし、翡翠宮内では箝口令が敷かれ、万が一の対策を行っていました。

猫猫は、皇帝には夜のむつみごとを控えてもらうよう、壬氏を通して伝えてもらいました。

意外にも、皇帝はたびたび玉葉妃を訪れ、公主(姫)と遊んで、玉葉妃とのたわいない会話を楽しんでいました。

「ただの好色おやじではないのかもしれない」

と猫猫は、3人の様子を見て思うのでした。

後宮内の暇つぶしは、相変わらず噂話が主でした。

よく話に上るのが、阿多妃の後釜である楼蘭妃です。

なんでも東西南北あらゆる種類の衣装をそろえ、毎日のように雰囲気を変えているようです。

「ありえないわ、あんな格好」

「この間の胡服は格好良くなかった?」

女官たちは口々に言いました。

後宮ではあまりにも目立つものは、出る杭は打たれる世界です。

楼蘭日の父は、先帝の時代からの重臣であるため、誰もいさめる人はいませんでした。

頼もしすぎる妃の後ろ盾は、かえって邪魔になることもあります。

阿多妃は子供が産めないので、相談役としても心強い存在でしたが、楼蘭妃はその後ろ盾から宮廷に影響を与えかねない立場です。

「無下にもできず、だからといって子ができても厄介だとは、殿上人ですら頭の痛い話だろうな」

猫猫は考えを巡らせるのでした。

猫猫は、久しぶりに後宮の医務室を訪れました。

「おや嬢ちゃん、久しぶりだね」

「奥の保管庫の掃除をしに来ました」

やぶ医者は人はいいものの、決して仕事ができるわけではありませんでした。

「宮廷の医局では、薬の監督不行き届きで減給の罰を受けた医官もいると聞きますよ?」

面倒くさがるやぶ医者を軽くいなして、猫猫は掃除に取り掛かりました。

掃除をしてひと段落すると、やぶ医者はおやつを出してくれました。

「疲れたときは、甘いものだよな」

きんとんの下に、上質な紙を皿代わりにしているのを見て、

「このおっさん、ぼんぼんだよな」

と猫猫は思いました。

「いい紙だろう?うちの実家が村をまとめて、紙を作っているんだ。宮廷にも出している御用達なんだよ」

昔は、紙は作れば作るだけ儲けられたものでしたが、先帝の母君であった女帝が、良質な紙の原料となる木の伐採を禁じたことで、紙の質は大きく下がってしまいました。

「幼いころは好きなお菓子を何でも買ってもらえたなぁ。でも木の伐採が禁じられてからは上手くいかなくなってしまって、違う素材で作り始めたら交易も駄目になって、祖父や私たち家族は村人に責められたものだよ」

やぶ医者の姉は、資金繰りのために後宮へ行き、さらには妹までもが後宮へ行こうとしたので、やぶ医者が宦官としてここへ来たのでした。

思いもよらず、やぶ医者の身の上話を聞き、猫猫は

「思ったより苦労してんだな」

と心の中でつぶやくのでした。

数日後、猫猫が掃除の続きをしようと医務室へ現れると、やぶ医者がひどく落ち込んでいました。

「どうかしましたか?」

「妹からの手紙で…御用達でなくなるかもしれないって」

御用達という名がつくと付かないとでは、売り上げは大きく変わってしまいます。

「…これは、確かに宮廷に卸せる出来じゃないな」

妹から届いた手紙は、ざらりとした感触になっていました。

「どうしてなんだろう、牛を買ったから紙をたくさん作れるようになるって、あんなに息巻いていたのに」

「牛ですか」

人力でやっていた力仕事を任せるために、妹は牛を購入していました。

材料も工程も変えていないのに、牛がやると何か変わるのでしょうか?

猫猫は、届いた手紙を丹念に確認します。

質が落ちたとはいえ、市井に出回っている粗悪品と違い、不純物もなく、繊維も均等に砕かれており、厚みにもムラがありません。

手を抜いたということはなさそうでした。

「問題は、表面の毛羽立ちと強度だろう」

猫猫が髪を引っ張ると、紙は簡単に千切れてしまいました。

「元々何か変わった造り方をしていたのですか?」

「いいや、普通の紙づくりと一緒だよ。ただうちは、糊づくりにこだわっているから。あっ詳しくは言えないよ」

やぶ医者はどこか自慢気に言いました。

「水なんかにもこだわりが?」

「まぁね。糊が適度に固まるように、湿度を調節するために、湧水を組み置いておくんだ」

最近牛を飼い始めて、糊のために汲み置いた湧水がある、というところに猫猫は引っ掛かりました。

「牛はどこで買っていますか?」

「そんなことまで、私にはわからないよ」

猫猫は葛湯を入れてやぶ医者に差し出しました。

「嬢ちゃん、これ分量間違えているよ。湯呑に張り付いて飲めないじゃないか」

やぶ医者が湯呑を逆さにしても、葛湯はこぼれないくらいに固まっていました。

「飲みやすくする方法を教えますので、まねして頂けますか?こうしてなめた匙で混ぜるのを繰り返します」

「なんか行儀悪いなぁ。おや、とろみがなくなってきたよ」

「葛湯と糊って、よく似ていますよね。牛って口の中にたくさん唾液をためていますよね。念のため、どこで水を飲んでいるのか、確かめてはいかがでしょうか」

「…!妹に手紙を出さないとっ」

慌てて手紙を書き始めるやぶ医者をよそに、猫猫は帰り始めます。

すると、そこに猫猫を呼びに来た者がいました。

猫猫が呼び出された場所に到着すると、そこで待っていたのは、青い顔をした李白でした。

「なぁ、妓女に身請け金っていくらくらいだ?」

「は、はい?」

〜薬屋のひとりごと第35話(前編)ネタバレここまで〜

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以上が、薬屋のひとりごと第35話(前編)のネタバレです。

薬屋のひとりごと35話(前編)は、ビッグガンガン2020年Vol.6に掲載されています。

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【漫画 薬屋のひとりごと】35話(前編)ネタバレ

薬屋のひとりごと35話(後編)は、ビッグガンガン2020年Vol.7に掲載されています。

以下、薬屋のひとりごと第35話(後編)のネタバレです。

〜薬屋のひとりごと第35話(後編)のネタバレここから〜

突然、妓女の身請け額について尋ねられた猫猫。

「わざわざ呼び出すから、翠苓のことかと思ってきたのに」

猫猫は、呆れた顔つきで李白を見ました。

「だってよ、嬢ちゃん!こないだ緑青館に行ったら三姫の一人が身請けされるって聞いてさぁ」

それで李白は、白鈴のことが心配になり、猫猫を呼び出したのでした。

猫猫は、身請けといっても相場は時価であるし、ぴんきりであることを説明しました。

「祝い金を抜いて言うなら、目安で行けば二百(農民の年収程度)を基準に、安い妓女ならその倍もあれば身請けできるでしょう」

「単刀直入に、超一品の総額で頼む」

李白はうなだれながら尋ねました。

身請け金は、妓女があと何年妓楼で稼ぐかという逆算に、多少の色を付け、その倍ほどの値を付けられるものです。

身請けを祝って、盛大に送り出すのが花街の慣習だからでした。

李白が思いを寄せる白鈴は、店に出始めたころから客を取り、ちゃんと稼いでいました。

身請けというのが妓女の借金の肩代わりだとすれば、そんなものは残っていません。

本当ならばとうに年期も開けているはずでしたが、それでも妓楼に残って稼いでいるのは、彼女の性癖が妓女という仕事に合っているからでした。

年齢だけで言えば価値がなくなっているはずなのに、容貌は衰えず、得意の舞踏も年々磨きがかかっています。

一方で、やり手婆としては店がしっかりしている時に最年長の白鈴を売り、新しい妓女を育ててうまく新陳代謝させたいところでしょう。

もし、白鈴が身請けされるとしたら、古い馴染みで候補は二つだと猫猫は考えました。

一つは、工房商の大旦那。

気前のいい好々爺で、夜伽ではなく、舞踏を楽しみます。

何度か白鈴に身請け話を持ち掛けてきたこともありました。

もう一つはお得意の上級役人。

こちらは夜の遊戯のお相手として、白鈴となかなか馬が合うようでした。

「気になるところといえば、翌日の客人が少し疲れているところか」

猫猫は思い返していました。白鈴は夜に負け戦がないことで有名でした。

ときに欲求不満になると、妓楼の男衆だけでなく、妓女や禿にまで見境のない、色欲魔でした。

そして、身請け以外にも、やり手婆が緑青館の管理を任せようかと考えているのも要点だと、猫猫は考えました。

表向き引退して、特別な場合にのみ客を取り、暇なときは自由に恋愛をする。

白鈴は自ら妓楼を出ていくという性格ではないので、あるいはそれが一番平和な気もしました。

「けれどそれは、あまりのもったいないだろう」

猫猫は思います。

猫猫が養父に引き取られるまで、猫猫の面倒を見てくれたのは、やり手婆と今の三姫である、白鈴、梅梅、女華でした。

特に当時、禿を卒業したばかりの白鈴には、世話になっていました。

出産経験はないものの、母乳が出る特別な体質の白鈴が、幼い猫猫に乳を与えてくれたのです。

妓女だったという理由で子を諦める女は多いですが、白鈴は強い母性を持つ女性であると、猫猫は考えていました。

李白は二十代半ばとまだ若いが、白鈴が自分以外の客にも奉仕していることを重々承知したうえで、彼女に惚れていました。

「駄犬っぽいが、根は真面目そうだし、女のために出世しようという、愛すべき莫迦なところもある。なにより、緑青館に初めて来たとき、丸二日以上白鈴の部屋にこもりきりだったが、やつれた様子はなかった。身請け先としては悪くない。あとは…」

猫猫は李白をじろじろ見ながら、考えを巡らせていました。

「李白様、お給金はいくら貰っていますか?年に銀八百?」

「おいおい、人をそんなに値踏みして」

李白は驚きつつも、まんざらでもなさそうな顔をします。

「では、千二百?」

「……」

下を向く李白を見て、年に銀千枚といったところか、と猫猫はお見通しでした。

「足りないか?」

「足りません。側近で一万は欲しいところです」

その額に李白は衝撃を受けます。

「なぁ、仮に一万俺が集めてきたとして、身請けができると思うか?」

「それは李白さまが、白鈴姉ちゃんに振られる可能性ということですか」

猫猫の言葉が矢のように心に刺さった李白は、涙目になります。

仕方ないなぁ、と猫猫はため息をつきました。

「李白様、服を脱いで頂けますか。別にやましいことはありません。私は見ているだけなので」

「脱いだら振られない?」

とんでもないことを言い出す猫猫でしたが、李白は正常な判断を失っていました。

「私が知っているのは、白鈴姉ちゃんの好みくらいです」

「…脱ぐ」

こうして李白は下着姿になってしまいました。

健康的な肌の色、力強さを感じる腕、ゆがみのない骨格、足腰にもしっかり全筋肉がついており、武官らしい、いい筋肉のついた体をしていました。

「これはいけるかもな」

まじまじと眺めていた猫猫が「では最後の一枚も脱いでください」と言った時でした。

扉が開く音がして、壬氏が顔面蒼白になって立っていました。

「お前ら一体何をやってる」

怒りに震える壬氏に連れ戻された猫猫は、お説教を受けていました。

「それで?なにをしていたのだ?」

「呼び出しに応じて相談を受けておりました」

「相談事で、なぜあの男があんな格好をする必要がある」

「やましいことはありません。好みの身体かを調べるには、実物を確認するのが一番でしょう」

色々と考えた猫猫でしたが、やはり白鈴の気持ちを重視したいと思っていました。

より好いた男の元へ行くのがいいと思ったのです。

猫猫は、李白の体つきから、毎日訓練を欠かさないまじめな人物であると思ったことを壬氏に告げました。

「私の身体を見ても同じようにわかるか?」

「は?」

面白くなさそうに猫猫の話を聞いていた壬氏が、突然言い出しました。

「李白の肉体より自分のほうが綺麗だと誇示したいのか。それは美しい身体をしているのだろう。けど」

猫猫はドン引きした様子で、心の中で毒づきます。

「壬氏さまの身体を見たところで何の意味もありません」

その言葉に、壬氏は意識が遠のきます。

「残念ながら、壬氏さまは私の姉とは合わないと思いますので」

「は?」

後日、壬氏は李白を呼び出していました。

美しい顔に満面の笑みを浮かべて、「いきなり呼び出してすまなかった」壬氏は話し始めます。

「どうにも、君は今、意中の相手がいるとか」

李白には、壬氏の意図が図りかねました。

「遊女の身請け話など、笑い話に過ぎないだろう。だが、白鈴を侮辱するようなことがあれば…」

李白は心の中で戦意を昂らせます。

「私が身請け金を肩代わりすると言ったらどうする?二万もあれば充分か?」

「それはどういう意味ですか?」

李白は警戒します。

「有望な官と仲良くなっておきたいというのは、誰もが思うことだろう?」

李白は考えました。二万もなくとも、自分のつてやたくわえを考えれば必要なのは4分の1ほどでした。

「自分のことを買ってくれるのはうれしいですし、申し出にものどから手が出てしまいそうになります。けれど、ここで銀を受け取るわけにはいきません」

李白は絞り出すような様子で、言葉を紡ぎました。

「貴方にとっては、妓女の一人かも知れないが、私にとってはたった一人の女なのです。妻として迎えたい女を自分で稼いだ金で請けずして、それで男と言えましょうか」

力強く言い切る李白に、壬氏は優しい瞳を向けました。

「なるほど。それは失礼した。今後話をしたいことがあるかも知れないが、よろしいかな」

「御意」

そう言うと、壬氏はさっそうと去っていくのでした。

〜薬屋のひとりごと第35話(後編)のネタバレここまで〜

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以上が、薬屋のひとりごと第35話(後編)のネタバレです。

薬屋のひとりごと35話(後編)は、ビッグガンガン2020年Vol.7に掲載されています。

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【漫画 薬屋のひとりごと】36話前編ネタバレ

「薬屋のひとりごと」36話は、ビッグガンガン2020Vol.9に掲載されています。

〜ネタバレここから〜

猫猫を呼び出した李白は、机を激しく叩きながら緑青館に行ったと話し始めます。

その時に三姫の1人が身請けされるという話を聞いて、自分のお気に入りの白鈴が誰かのものになってしまうのではないか不安でたまらないと言ったのです。

猫猫は、身請けと言っても相場はいろいろなので、目安は農民が1年で稼ぐのと同様の200だと答えます。

超一品の総額はどのくらいになるのかと猫猫には尋ねます。

猫猫は妓女があと何年で妓楼で稼ぐかを計算して、倍ぐらいの値段になることを知っていたのです。

花街の慣習として身請けは盛大に祝うことも知っていたので、ほんとはすでに引退している年齢にもかかわらず、全く衰えない美しさを保っている白鈴の相場はかなりのものになると考えます。

白鈴は借金もなかったのですが、彼女の色欲の強さから緑青館に残っていたのです。

緑青館を切り盛りしているやり手婆は、白鈴を身請けさせるか自分の後継者にして、新しい妓女たちを育てようと考えていたのです。

猫猫は白鈴がやり手婆の後継人になるのは、あまりにももったいないと感じていたのです。

猫猫は、赤ちゃんの頃から3姫とやり手婆に可愛がってもらっていました。

白鈴は、出産していなくても母乳が出る特殊体質で、猫猫にとっては姉でありまた母のような特別な大切な存在感です。

猫猫は、白鈴が母親になって幸せになることを願っていたのです。

心から白鈴を愛している李白ならと思い、給料を聞きます。

李白の反応を伺いながら大体を把握した猫猫は、側近で1万は欲しいと言います。

驚く李白でしたが、その1万を用意できたら身請けができるのかと尋ねます。

いくらお金を用意できても、振られてしまう可能性もあると猫猫は思います。

猫猫は、李白に服を脱いで欲しいと言います。

ふんどし1枚になった李白の体を観察して、李白の体が白鈴の好みかを確認します。

引き締まった筋肉で肌の色も良く、骨格も立派で李白なら大丈夫だろうと思います。

猫猫が、最後の1枚も脱いで下さいと言った途端、ものすごい音がして振り返ると、顔面蒼白の壬氏が立っていたのです。

平然と挨拶する猫猫の首根っこをつかんで連れて行きます。

壬氏は、猫猫を正座させて険しい表情で何をしていたのか聞きます。

李白から相談されていたと言うと、服を脱ぐ必要があるのかと苛立ちます。

猫猫は、指1本触れていないし好みの体か確かめるために、実物を確認していたと話したのです。

壬氏は、こわごわ李白が好みの体だったのか尋ねます。

猫猫が、李白の体がとても素晴らしい体だったと、感想を言い終わると、壬氏は自分の体を見てもわかるのかと聞きます。

それを聞いた猫猫は、壬氏が自分の体のほうがきれいだと示したいのかと呆れます。

そして、壬氏さまの体を見ても仕方ない。白鈴とは合わないと言い返します。

全ての事情を場合した壬氏は、突然李白を呼び出し「意中の女性がいるそうだな」と言います。

李白は、馬鹿なやつだと笑われるのかと拳を握り締めます。

しかし、壬氏は「身請け金を肩代わりすると言ったらどうする」と訪ねてます。

驚き思わず立ち上がってしまう李白でしたが、見ず知らずの自分になぜそんな提案をするのか警戒します。

壬氏は、猫猫が自分の姉の伴侶には李白がふさわしいと考えていると話します。

李白は自分のことを猫猫が、信頼していると聞いて驚き、猫がなついたから信用度できると思ったのかと聞き返します。

壬氏は、周りからの評価も聞いた上で判断したと言います。

ところが、李白は感謝を告げた後、自分にとって唯一の女性なので、お金は自分で稼いで身請けしてみせると言ったのです。

すると、壬氏は今後もよろしくと言って去って行きました。

〜ネタバレここまで〜

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以上が、薬屋のひとりごと第36話(前編)のネタバレです。

薬屋のひとりごと36話(前編)は、ビッグガンガン2020年Vol.9に掲載されています。

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【漫画 薬屋のひとりごと】1話〜最新話の全話・全巻ネタバレまとめ

下記の青文字をタッチすると、その話のネタバレをチェックできます。

1巻
1話2話3話4話
2巻
5話6話7話8話
3巻
9話10話11話12話
13話14話
4巻
15話16話17話18話
19話20話21話
5巻
22話23話24話25話
26話
6巻
27話28話29話30話
31話32話
7巻(未発売)
33話34話

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